■カール・ベームのベートーヴェン交響曲
 
イメージ 1最近、1980年のザルツブルク音楽祭でのカール・ベーム指揮/べートーヴェン交響曲第2番、第7番のライブ盤が発売され、通販で購入しました。ベームのべートーヴェン交響曲は、あとから紹介するようにウィーン・フィルハーモニーOとの全9曲の全集をはじめ、結構、枚数を持っているため、購入をためらいましたが、「最晩年における気になる1枚」ということで、通販の購入ボタンを押してしまったものです。
 この1枚、期待を裏切らない素晴らしい名演でした。第2番、第7番とも、ゆったりとしたテンポの演奏ですが、だれた感じは感じられず、第2番はとても心地よい演奏、特に第2楽章は美しい演奏です。第3楽章、第4楽章も格調の高い演奏です。
 驚いたのは第7番、最晩年の演奏とは思えない第1楽章の重厚さと力強さ、深い味わいを聴かせる第2楽章、そして第3楽章、第4楽章のテンポは驚くほどスローテンポですが、緊張感と、リズム感のある迫力は、とても最晩年の演奏とは思えません。特に第4楽章での金管楽器は全体のバランスが崩れるような炸裂音!コーダの部分では大爆発です。
 ベームの演奏はセッションにおけるスタジオ録音では、オーソドックスですが重厚で深みのある演奏を聴くことが出来ます。しかし、ライブ演奏では、「燃えるような迫力と、力強さのある演奏」を聴かせてくれます。正に、この1枚はベームのライブを十分に楽しむことの出来る1枚です。
 
イメージ 2 この1枚、実は前記のザルツブルク音楽祭から、わずか2カ月後の10月6日、昭和女子大学人見記念講堂で行われた来日公演でのNHK収録による音源CD。曲目はザルツブルク音楽祭と同じ第2番と、第7番です。基本的には2曲ともスローテンポでの演奏。こちらも最晩年とは思えない演奏ですが、2か月前のザルツブルク音楽祭での演奏に比べると、録音の関係もあるのかも知れませんが、ややおとなしく感じますが、ウィーン・フィルならではの弦の美しさと、木管楽器の響きが魅力です。
この同じ2曲を比較して聴いてみると、録音状態の違いはあるものの、個人的にはザルツブルク音楽祭盤のほうが好みですが、堅実な演奏である来日公演を好む方も多いと思います。
ベームはこの来日公演の1年後に亡くなっています。彼の生演奏を聴けなかったのは残念です。
 
 第2番、第7番の2枚を紹介したついでに、私の所蔵しているベームのベートーヴェン交響曲全曲を簡単に紹介します。
 
 イメージ 3このウィーン・フィルハーモニーOとの全集は1970年から72年にかけて録音したものですが、オーソドックスな演奏だと思います。この中では私にとって第6番「田園」が思いである1枚です。
 当時、大学1年の時に発売されたLPで、同じ大学の友人のK君が、「この田園を購入して聴いたら、凄く素晴らしかったので、聴いてみたら・・・」とLPレコードを大学まで持ってきて貸してくれたのです。当時の録音の素晴らしさと共に「田園」の演奏に感動し、その後、LPを購入しました。これは数ある「田園」の中でも名盤だと思います。
 
また、モノラル録音ですがベルリン・フィルとの第5番は、私にとって初めて購入したベームのLPレコードで思い出の多いレコードです。
 ベルリン・フィルとの1961年の第3番「英雄」は重厚な名演で、ベルリン・フィルの素晴らしいアンサンブルを聴くことが出来ます。
 
 その他では1973年8月のザルツブルクでの第3番「英雄」、1977年の来日公演における第5番と第6番「田園」のライブ録音、少し古い録音ですが、ステレオ録音で聴ける1963年の来日公演における日生劇場での、第9番「合唱」のライブ演奏、モノラル録音ですが、1963年のバイロイト祝祭O・合唱団でのライブ録音などが興味深く観賞することが出来ます。
 
 カール・ベームはフルトヴェングラーとは異なり、亡くなってから日本では少し人気がなくなってしまったようにも感じますが・・・、まだまだ私にとっては、外すことの出来ない好きな指揮者の一人です。
 
【カール・ベーム/ベートーベン交響曲のライブラリー】
一部のもの以外はすべてCDで買い直ししています。
 
■交響曲第1番ハ長調Op.21
 ●ウィーン・フィルハーモニーO(1972
 
■交響曲第2番ニ長調Op.36
 ●バイエルン放送交響楽団 (ライブ/録音年不詳)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972
●ウィーン・フィルハーモニーO (1980/8/17ザルツブルク・ライブ)
●ウィーン・フィルハーモニーO
 (1980/10/6昭和女子大学人見記念講堂ライブ)
 
■交響曲第3番変ホ長調「英雄」Op.55
●ベルリン・フィルハーモニー   (1961)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972
●ウィーン・フィルハーモニーO (1973/8/22ザルツブルク・ライブ)
 
■交響曲第4番変ロ長調Op.60
●ヘッセン放送交響楽団 (1953 ライブ)  モノラル
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972
 
■交響曲第5番ハ短調Op.67
●ベルリン・フィルハーモニー   (1951)  モノラル LP
●ウィーン・フィルハーモニーO (1970
●ウィーン・フィルハーモニーO (1977/3/2 NHKホール・ライブ)
 
 
■交響曲第6番ヘ長調「田園」Op.68
●ウィーン・フィルハーモニーO (1971
●ウィーン・フィルハーモニーO (1977/3/2 NHKホール・ライブ)
 
■交響曲第7番イ長調Op.92
●ベルリン・フィルハーモニー   (1958)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1970/9/6ルツェルン・ライブ)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1975/3月NHKホール・ライブ)LP
●ベルリン・フィルハーモニー   (ライブ/録音年不詳)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972
●ウィーン・フィルハーモニーO (1980/8/17ザルツブルク・ライブ)
●ウィーン・フィルハーモニーO
 (1980/10/6昭和女子大学人見記念講堂ライブ)
 
■交響曲第8番ヘ長調Op.93
●ウィーン・フィルハーモニーO (1953)モノラル LP
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972
 
■交響曲第9番ニ短調Op.125 「合唱」
●ドレスデン・国立歌劇場O (1941)モノラル LP
●ウィーン交響楽団 (1957) モノラル
●バイロイト祝祭O・合唱団 (1963/6/23ライブ)
●ベルリン・ドイツ・オペラO・合唱団
  (1963/11/7 東京/日生劇場ライブ)
●ウィーン交響楽団 (ライブ/録音年不詳)
●ウィーン・フィルハーモニーO (1972)・ウィーン国立歌劇場合唱団
●ウィーン・フィルハーモニーO (1980)・ウィーン国立歌劇場合唱団
 
 
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 では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。