■ビゼー/歌劇 「カルメン」 全曲
 
 オペラは正直、生で鑑賞したことがありません。ですからオペラについて、どうのこうのと評価する資格は全くないのですが・・・・オペラのCDだけでも音楽として楽しむ事は出来たとしてもやはり、「劇」は必要。生でなくてもDVDなどによる映像がないと、オペラはなかなか評価が難しく、無理があります。
 オペラはどうしても苦手意識が強く、よほど気が向かないとCDを聴いたり、DVDを鑑賞する気になれません。・・・・と言いつつ、有名なオペラのDVDやCDをかなり多く所有しています。
 まだ一度も聴いたり鑑賞していないCDやDVDが相当数あり、同じ曲でも何枚も持っているオペラが数多くあります。
特に大好きな曲というわけではないのですが、ビゼーの「カルメン」もその中のひとつで、いつのまにかカラヤンのカルメンだけで5種類、その他3種類と全曲盤だけで8種類も集めてしまいました。(マリア・カラスのハイライト盤なども入れれば相当数あります
 
曲の詳細な評価は出来ませんが、8種類の「カルメン」を紹介します。
 
■カラヤンの「カルメン」
 アンチ・カラヤンといいつつ、彼の音源は相当数持っています。私の持っているカラヤンの「カルメン」全曲盤は次の5種類があります。
 
●ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン交響楽団
  録音:195410月8日/ムジークフェライン・ザール
イメージ 1ジュリエッタ・シミオナート

Ms:カルメン)
ヒルデ・ギューデン(S:ミカエラ)
グラツィエラ・シュッティ

S:フラスキータ)
ルイザ・リバッチ(Ms:メルセデス)
ニコライ・ゲッダ(T:ドン・ホセ)
ミシェル・ルークス(Br:エスカミーリョ)
ジーノ・デル・シグノア(T:レメンダード)
 

 
  この録音は、ムジークフェラインでの演奏会形式による上演。最近、Memoriesレーベルでも発売されましたが、これはANDANTEの正規盤の2枚組。モノラルですが鑑賞には充分。フルトヴェングラーの意向で、ウィーンフィル、ベルリンフィルへの登壇が出来なかった?カラヤンが、ウィーン交響楽団と大曲を取上げていた時期の録音?・・・テンポの速い演奏ですが、熱い演奏で迫力も感じられる演奏です。
 

●ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  
ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン少年合唱団
  
録音:19631118-27日 ウィーン
 
イメージ 2レオンタイン・プライス、
 ミレッラ・フレーニ, モニク・ランヴァル(Sp ジュヌヴィエーヴ・マコー(Ms フランコ・コレルリ、 モーリス・ブザンソン(T ロバート・メリル、ジャン=クリストフ・ ブノワ、 ベルナール・デミーニー(Br フランク・シューテン(Bs)他

 
 理由は良く分かりませんが、この録音はデッカですが、発売はRCAというもの。名歌手揃いですが、個人的には脇役ミカエラのフレーニの若々しい声が印象的です。この後のバンブリーと共演した映像でもミカエラ役で、若々しい姿と声を聴かせてくれています。デッカの優れた録音で今なお、色あせない素晴らしい演奏だと思います。
 
●ウィーン国立歌劇場合唱団、ザルツブルグ音楽祭合唱団、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1967年7月29

イメージ 3グレース・バンブリー(Ms:カルメン)
ミレッラ・フレーニ(S:ミカエラ)
ジョン・ヴィッカーズ(T:ドン・ホセ)
フスティノ・ディアス(Br:エスカミーリョ)
ミレン・パウノフ(T:レメンダード)
ヨーン・ファン・ケステレン(T:ダンカイロ)
アントン・ディアコフ(Bs:スニガ)
ロバート・カーンズ(Br:モラレス)
オリヴェラ・ミリャコヴィッチ

S:フラスキータ)
ユリア・ハマリ(Ms:メルセデス) 他

 
 カラヤンは1966年と67年にザルツブルグ音楽祭でカルメンを上演していますが、この録音は67年のライブ録音。拍手も収められ、会場の雰囲気も感じられますが、1度聴けばいいかな・・・という感じでしょうか・・・カラヤンは、この演奏会をベースにして、ほとんど同じ顔ぶれで次に紹介する映像(これは映画ですネ)を撮影しています。彼のオペラ映画の第1作になっています。
 
●ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン国立歌劇場合唱団、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (映像)
録音・撮影:1967
イメージ 4グレース・バンブリー(Ms:カルメン)ジョン・ヴィッカーズ(T:ドン・ホセ)フスティノ・ディアス(Br:エスカミーリョ)ミレッラ・フレーニ(S:ミカエラ)オリヴェラ・ミリャコヴィチS:フラスキータ)ユリア・ハマリ(Ms:メルセデス)アントン・ディアコフ(Bs:スニガ)ロバート・カーンズ(Br:モラレス)ミレン・パウノフ(T:レメンダード)クルト・エクヴィルツ(T:ダンカイロ)マリエンヌ&スペイン舞踊団ワルター・ハーゲン・グロル(合唱指揮)
 
  これは完全に映画になっています。
やはり生でなくても映像があるとオペラも分かりやすくなります。ここでのバンブリーは、容姿といい、声といい正に「カルメン」の適役と感じる素晴らしい演技と声だと思います。
 また、ミカエラ役のフレーニが何とも可憐でもあり、これも適役。全体としてクチパクで画面と歌を合わせていて、多少違和感のある部分はありますが、オペラというより、「映画」として鑑賞するべき作品かも知れません。
 

●ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
パリ・オペラ座合唱団、シェーネベルク少年合唱団
録音:19829 

イメージ 5カルメンアグネス・バルツァ(メッゾ・ソプラノ)ドン・ホセホセ・カレーラス(テノール)エスカミーリョヨセ・ヴァン・ダム(バス)ミカエラカーティア・リッチャレッリ(ソプラノ)フラスキータクリスティーヌ・バルボー(ソプラノ)  他
 
 これはデジタル録音。カルメンはレチタティーヴォで歌われる部分が台詞で語られる版とレチタティーヴォで歌い続けられる版の両方がありますが、これは台詞盤、しかしクリュイタンス盤とは異なるようです。
 バルツァのカルメンは個性が強く私には感じますが、CDで純粋なオペラ音楽として聴くなら、デジタル録音で音も良く、この盤が最も無難かも知れません。ホセ・カレーラスも同じ名前のホセ役ですが、切実で甘い素晴らしい声を聴かせてくれます。
 
■その他の「カルメン」全曲
 
●カルロス・クライバー(指揮)
 ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団、ウィーン少年合唱団

 収録:1978年ライブ映像
 イメージ 6
カルメン:エレーナ・オブラスツォヴァ
 
ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ エスカミーリョ:ユーリ・マズロク ミカエラ:イゾベル・ブキャナン他

これは、ディアゴスティーニのオペラシリーズ第1回配本で購入したDVD。 演出・装置・衣装ともフランコ・ゼッフィレッリが担当し、上演されたライブ映像、何故か観客の男性が全員、蝶ネクタイの正装です。
 随所に映し出されるクライバーの指揮姿が強く印象に残ります(クライバーの天才的な指揮振りが大好きです・・・)
ゼッフィレッリが担当した舞台作りと、クライバーの指揮、そして素晴らしい歌手たちの演技と歌、この演奏は正に「カルメン」を堪能できる超名演ではないでしょうか・・・
 
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)

  パリ・オペラ国立劇場合唱団、管弦楽団
イメージ 7バンブリー、ヴィッカース、フレーニ 他
 歌手陣はカラヤンの映画版と主だった歌手は同じで、纏まりのある演奏だと思います。多国籍指揮者?のブルコスですが、クリュイタンスのカルメンにも似た、誇張のないカルメンだと思います。バンブリー、ヴィッカース、フレーニ はやはり素晴らしい。

 
●アンドレ・クリュイタンス指揮、パリ・オペラ・コミーク座管弦楽団

  &合唱団 録音1950年
 
ミシェル、ジョバン、ダンス他
 イメージ 8

 オペラ・コミーク版の全曲盤でモノラルですが聴きやすい音です。これはCDですが、私が初めて全曲盤を購入したのが、このクリュイタンス盤の東芝のLPレコードでした。(勿論、今でもLPは持っています)
 今回聴き直してみましたが、けっして劇的な演奏ではなく、誇張された部分も見られない演奏ですが、魅力ある演奏です。しかし、いつもフランスのオケのホルンの音は何故、あのようなポワ~ン(表現が悪いのですが・・・)という甘い音を出すのでしょうか・・・曲によっては違和感を感じる時もあります。。。。あまりカルメンとは関係ないか・・・
 
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