■ジャンク・コーナー/真空管編 9
 6AV6 (12AV6/4AV6/3AV6)
 
今回紹介するジャンク真空管は7ピンのMT管、6AV6です。真空管ラジオの自作の経験のある方にとっては、とても懐かしい真空管です。6AV6は、MT管の5球スーパー・ラジオの検波・増幅用として多用されていました。参考にMT管を使用した5球スーパー・ラジオの標準回路図は下記のとおりです。
 
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 6AV6 (左、東芝(マツダ)製、右、松下製)
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使用目的が同じST管の6Z-DH3Aのミニチュア管のような真空管です。また、トランス・レスの5球スーパー・ラジオでは、ヒーター規格が12.6Vの12AV6が必ず使用されていました。
 そのために、同じ5球スーパー用出力管の6AR5同様に6AV6もラジオ用真空管ということで、オーディオ・マニアからは駄球扱いにされている感があります。
6AV6は双2極、3極管(複合管)ですが、3極部の電気的特性は、オーディオ用として多用される12AX7の片ユニット(1/2)と同じで高増幅率管(μ=100)です。
異なるのはヒーター・カソード間最大電圧くらいです。
 
  ●ヒーター規格 6AV6/6.3V、0.3A
             12AV6/12.6V、0.15A
                4AV6/4.2V、0.45A
                3AV6/3.15V、0.6A
  ●最大プレート電圧 300V
  ●最大プレート損失 1W
  ●ヒーター・カソード間最大電圧 ±90V(12AX7は±180V)
  ●動作例
    ・プレート電圧(Ep)  100V    200V
    ・プレート電流(Ip)  0.5mA   1.2mA
    ・グリッド電圧(Eg)  -1V     -2V
    ・増幅率(μ)      100     100
    ・プレート抵抗(Rp)  80kΩ    62.5kΩ
 
  ですから12AXを1本使用するところを、この6AV6を2本使用すれば、回路上の抵抗値の定数は12AX7と同じ値で全く問題なく使用できます。よほどバイアスが深い出力管でなければ、シングル・アンプなら「6AV6」1本だけで充分にドライブ出来ます。
ただ、オーディオ・マニアの方から言わせると6AV6は、あくまで大量生産のラジオ用であり、プレートも小さく音も悪い、おまけに7ピンのMT管なので見栄えもしない・・・ということで6AV6をアンプに使用する方は、ほとんどいないでしょう。
私は、この6AV6、12AV6をジャンク、新品とも比較的多く持っているので、良くアンプに使用します。
実は、6AV6は昔から、メーカー製のアンプにも多く使用されていました。参考までに3社のアンプの回路図を紹介します。
 
「ビクター・アンプ/MLA-12」
※「無線と実験401回路集」からコピーしました。
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 このアンプでは6AV6オートバランス方式(グリッド抵抗分割位相反転回路)6BQ5のプッシュプルとなっています。
 
「ナショナル・アンプ/US-910」
※「無線と実験401回路集」からコピーしました。 
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 このアンプでは6AV6PK分割方式による位相反転回路で、こちらも6BQ5のプッシュプルとなっています。
 
「クライスラー・トライアンプ/R5P-3」
 ※「無線と実験501回路集」からコピーしました。
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  これはアンプと言っても、5球スーパー・ラジオの出力部をプッシュプルにして出力を大きくしたようなレシーバーですね。
 現在、「クライスラー」というメーカーはありません。昔はアンプやスピーカーも扱っていた国内のオーディオ・メーカーでした。このR5P-3アンプでは出力管に5球スーパー・ラジオと同じ6AR5をプッシュプルで使用しています。ここでも6AV6を2本使用したオートバランス方式による位相反転回路ですが、このオートバランス回路はグリッドリーク抵抗を共用した、少し古いタイプの位相反転回路です。面白いことに、このクライスラー社のプッシュプル・アンプでは、6AR56AV6を使用したこの回路のアンプが多かったようです。
   
 10W用と15W用のプッシュプル出力トランスの新品2組が使わずに残っているので、そのうち、6AR56AV6を使ってプッシュプル・アンプを作ってみようかと考えています。(最近はシングル・アンプばかり作っているので、たまにはppアンプもいいでしょう。6AR56AV6は手持ちの球が、まあまあ本数を持っているので買う必要はありません)
いつ、作るかは分かりませんが・・・製作アンプ計画には入れておきましょう。
・・・6AR5は駄球ではありません。とても良い音のアンプが出来ますよ。。。。出力管として使用する他に、3極管接続にしてパワー・ドライブに使用するといいですね。プッシュプルの位相反転で6AR5の3極管接続でPK分割してもパワー感が出ます。この6AR5の出力管以外の使い方については、近いうちに紹介します。。。
 
    ・・・・・・ おまけのコーナー ・・・・・・
 国産の主なメーカーのMT管の元箱です。私の持っているMT管の新品のストック品は、ほとんど国産の真空管です。これらの箱を見て懐かしいと思われるオールド・ファン?の方は多いでしょうね。。。。
 
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これまでに紹介したジャンク真空管の投稿記事です。
■ジャンク・コーナー/真空管編 8 は、こちらです。 
6AN8/5AN8 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 7 は、こちらです。
6Z-P1、3Y-P1 真空管 
■ジャンク・コーナー/真空管編 6 は、こちらです。
6J6(5J6)、6M-HH3(5M-HH3)真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 5 は、こちらです。
今後、紹介予定の主なジャンク真空管リストです。
■ジャンク・コーナー/真空管編 4 は、こちらです。
6CS7 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 3 は、こちらです。
6BN8 真空管
http://blogs.yahoo.co.jp/hirochan29dec2951/67482583.html
■ジャンク・コーナー/真空管編 2 は、こちらです。
6DJ8、6R-HH8、6R-HH2、6BQ7A 真空管
■ジャンク・コーナー/真空管編 1 は、こちらです。
  
12R-LL3、12AV7、5965、5963 真空管
    
 
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。