■2A3ロフチン・ホワイト・シングル・アンプの製作③
 
 2A3ロフチン・ホワイト・シングル・アンプが完成しました。まずは完成したアンプの写真から・・・・
 
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■使用部品等について
 今回も、新たに購入した部品等は1円もありません。真空管とチョーク・トランスは新品の買い置きのストック品を使いましたが、それ以外は、ネジや配線コードも壊したアンプのものを出来るだけ使うなど、ほとんどが家にあった中古品を再利用しました。
 
・真空管
 
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 今回、使用した2A3は中国製のものでガラス管には2A3Bとプリントさ
れています。何故、Bなのかは分かりませんが、300Bの構造と似たシングル・プレートのもので以前、購入しておいたものです。
(中国製以外のRCA製などの手持ちの2A3があるので、参考に末尾で紹介します)
 ドライバー管は2A3と同じST管の6Z-DH3Aやトップグリッドの75のストックがあるので、これの使用を考えていましたが、GT管の6SF5の新品ストックが数本あったので、これを使用しました。今回は見た目にはあまり拘りませんでした。後でST管に変更も可能です.
整流管は電源トランスのBタップ電圧が多少低いのを考慮し、効率の良い傍熱管の5AR4を使用しました。
 
・使用シャシー
鈴蘭堂のSLシリーズの使い回しの中古品
 
・電源トランス
ノグチトランスの中古品PMC-150Mを使いました。この電源トラ
ンスはB電圧の最高電圧タップが350Vと若干、今回のアンプでは
低く、またB電流は150mAまでしかとれません。もう少し余裕が欲
しかったのですが、これで我慢します。
なお、このトランスは旧タイプの販売品のためか、磁気シールドが
ついていません。
  ヒーター巻き線が足らないので、ドライバー管用に6V、1Aのヒー
   ター・トランスをシャシー内部に追加しました。
 
・出力トランス
 春日無線変圧器のシングル10W用のKA-6625Sの中古品。
  このOPTはオリエント・コア製で、これまで使用した経験では、低域
  が少し弱いのですが、高域の音が非常に綺麗なトランスです。
 
・チョーク・トランス
  チョーク・トランスは適当な中古の持ち合わせがありません。150m
  A以上の10H位のものを使用したかったのですが、無いので、ストッ
  クとして購入しておいたノグチトランスのPMC-518(150mA、5H)
 の新品を使用しました。
 
・電解コンデンサ、抵抗類
 全て家にあった、あり合わせの物。多少、定数の違いは、これまで
 の経験から試行錯誤で工夫・・・何とかして問題の無い動作にして
  しまうのです。そのような訳で2A3のバイアス用コンデンサ以外は
  すべて、壊したアンプから取り出した中古品です。中古のケミコン類
  はリード線も短く配線で苦労した部分もあります。
   B電源平滑用の500V耐圧の適当なケミコンの持ち合わせがあり
  ません。少し容量が足らないのですが、止むをえません。
  ボリュームを含む抵抗類は、ホーロー抵抗は中古品。その他は家に
  あったあり合わせの抵抗です。
 
・その他のパーツ類
真空管用ソケット、電源スイッチ、スピーカー端子、入力端子など小物パーツは、全て家の中の中古品です。
 
■配線の様子
 シャシー裏の写真です。回路がシンプルなので、だいぶスッキリしています。
下の方に付いているスナップ・スイッチは以前のコンパチブル・アンプの時の切換えスイッチです。今回、出力トランスのインピーダンス切換えに使用する事を考えましたが、おっくうで止めました。
 
 
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■回路について
 回路図を下記に示しますが、抵抗は、手持ちの関係もあり、計算で得られた近似値のものを使用しました。これにより多少、動作点が変わっていますが問題の無い値となっています。
前回、投稿した製作予定回路からの定数等の変更はありません。各部の電圧の実測値を記入しました。電流値は、抵抗等の誤差もあるため理論値と若干異なります。
 なお、各部の電圧配分は、前回、投稿した製作予定の回路図の説明で予測した電圧と、ほぼ同じ電圧となっています。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 
今回の回路での2A3の動作は下記のとおりです。
 
     Ep(プレート電圧):226V(410V-184V)
      Ip(プレート電流):61.3mA
     Eg(グリッド・バイアス):-45V(139V-184V)
     Pd(プレート損失):13.85W(226V×61.3mA)
 
  プレート電流が2A3の規格の60mAを若干1.3mAオーバーしていますが、その分、プレート電圧が226Vと規格の動作例250Vの90%と低くなっています。従ってプレート損失(陽極損失)は、226V×61.3mA=13.85Wと2A3の最大規格15Wに対し約92%の動作になっていますので、安全圏内で全く問題はありません。
 
■試聴結果 
 今回のアンプで最も心配していたのは「ハム」です。電源トランス、ヒーター・トランスは磁気シールド無し、B電源の平滑用ケミコンも少し容量不足、おまけに手抜きで2A3のフィラメントに付けるハムバランサーのボリュームも省略し、あり合わせの30Ω抵抗2本の中点使用で代用・・・それでも結果的には、ほとんどハムは聴こえません。スピーカーに耳を押しあててやっと聴こえる程度なので実質、ノーハムと考えて良いと思います。。
 
  音についてですが、つい最近、音の表現について投稿記事を書きましたが、音の表現は難しいものです。今回のアンプの音については、これまで2A3と言うと、多少、ボケた音?の印象があったのですが、今回完成したアンプは、非常にクリヤーな音であったとだけ記しておきます。我が家では、まだ現役のダイヤトーンの16センチ・フルレンジ・スピーカー、P-610に繋ぐと非常に相性が良いようです。。。
 これほどシンプルな回路で、NFB無しの無帰還ですが、2A3のシングル・アンプは、個人的な意見ですが、無帰還に限るような気がします。
これからも私のアンプは・・・シンプル・イズ・ベスト・・・・で、アンプ作りを続けたいと思っています。
 
■我家の2A3・・・・
  以前にも紹介しましたが、今回、使用した以外、現在持っている
  2A3です。
 
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    左から日本製(松下)、RCA、RCA(軍用JAN球)
   松下(ナショナル)の2A3の元箱には価格980円とプリントされて
   いました。。。
 
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  左からシルバニア(多分、中国製?)、ロシア/ソヴテック(今回、
  使用した中国製の2A3Bと同様、1枚プレートの2A3)、CEI社
 
 
最後にお笑いの一席・・・・「ナンジャコリャ~・・??」
 
 
 このアンプ・・・配線作業も回路が簡単なので、回路図も頭の中で何も見ないで一気に終わらせてしまった。・・・そして完成、再度配線を確認し、いきなり電源を入れて音出しとテスターで電圧の確認・・・
音が出たので・・ヨシ!・・と思ったら少しおかしい。音は出るが、かなり小さい・・・
 出力部の電圧をテスターで測ったら・・ナンジャコリャ~!?????
2A3のプレートとアース間が380V・・・少し低いな~!・・・そしてバイアスの3KΩ抵抗のフィラメント側の電圧を測ったら何と300V・・・ナンジャコリャ~?・・・これでは2A3のプレート電圧が80Vしか、かかっていない・・・ナンジャコリャ~・・???
 電源を直ぐに切って、配線の見直し・・・間違っていない!・・ナンジャコリャ~・・・もう一度、電圧を測ってみる・・やはり駄目!・・ナンジャコリャ~・・・アースでも浮いているのかと思い、何度も見直し、浮いていない・・・ナンジャコリャ~・・・バイアス抵抗とアース間は、ちゃんと3KΩ、他も問題無し・・・・ナンジャコリャ~・・・真空管がおかしいのかと2A3や6SF5まで、別の物に交換しても全く同じ・・・ナンジャコリャ~・・・仕方が無いのでアース線などの配線まで一部やり直し・・・それでも駄目・・・ナンジャコリャ~?????▼○※&△%■#4$E()※・・・・
(この間、なんと約4時間!)
ついに完成?したアンプを放り投げて作業を止めてしまった。
 
・・・・そして・・アンプ作りの先輩お友達、KIYOさんにアンプの配線を見ながら電話・・・・・
 
HIROちゃん:「こんなの初めてだよ~電圧が、○※&△%■#$・・
         で原因がわからないよ~!・・・もう疲れて嫌になっちゃ
         った~・・」
KIYOさん:「アースはおかしくない?」
HIROちゃん:「大丈夫・・・」
KIYOさん:「バイアスの3KΩはアース間でちゃんと3KΩになって
       るの?」
HIROちゃん:「大丈夫・・・こんなの初めてだよ~」
KIYOさん:「球はOKなの?」
HIROちゃん:「大丈夫・・・挿しかえてみたよ・・わかんない・・・・・」
     ~この間、いろいろと話した後・・・暫くして・・・
KIYOさん:「この間、やっぱり○○さんが、同じような事があり、音が
       出ないとアンプを家まで持ってきたので、配線を見たら
       UXソケットの接続を上から見たのと下から見たので接続
       ピンをまちがえていたんだよ。2番ピンがプレートで3番が
       グリッドなのに逆に繋いていたんだよ、すぐに直してOK
       だったよ」
HIROちゃん:・・・配線を見ながら・・
       「あれ~!・・アハハハハ・・・逆に繋いでる~!」
KIYOさん:「アハハハハ・・・」
HIROちゃん 「アハハハハ・・・」  ・・・2人で大笑い・・・
 
 そうなんです。経験の長いHIROちゃんですが、接続を間違っていたのです。これまで300Bや45、71A、2A3と多くのアンプを作ってきましたが、接続を間違えて気が付かなかったのは、初めてです。今回は6SF5の接続だけは確認し、・・・後は、慣れたところで回路図も何も見ないで一気に配線をしたのですが、ついにHIROちゃんもボケてきたかと、
 
もちろん、半田でつなぎ直し・・・アンプはすぐに正常に動作!
 
そして電話・・・・
HIROちゃん:「KIYOさん、今度はOK・・・直りましたよ~」
KIYOさん:「いや~電話だけでアンプが直るんですネ~アハハハ・・」
 
メデタシ、メデタシ・・・お笑いの一席でした。
 
 それにしても真空管は不思議ですネ~・・・グリッドとプレートを逆に繋いても音が出るんですネ~???? ちゃんと電極の役目をするのでしょうね。???? ナンジャコリャ~?????
 
・・・・ご案内・・・・
・・・・・・前回投稿のこのアンプに関する記事は、こちらです。・・・・・・・
■2A3ロフチン・ホワイト・アンプの製作②
  及びロフチン・ホワイト・アンプの設計法
■2A3ロフチン・ホワイト・アンプの製作①
 
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イメージ 5最近、製作したロフチン・ホワ
ト・アンプの記事です。
この製作記事は書庫の「ロフチ
ン・ホワイト・アンプ集」ではな
く、「1626/VT-137アンプ」
の書庫にあります。
 小型送信管のパラ・シングル
のロフチン・ホワイト・アンプで
す。
 詳しくはこちらです。
 1626(VT-137)パラ・シングル・ロフチン・ホワイト・アンプ
   ↓
 
 今回のアンプの他にもロフチン・ホワイト・アンプの記事があります。
画面、右の下記の書庫からご覧ください。
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71Aロフチン・ホワイト・アンプ
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2A3/45/VT-52/6A3/300B コンパチブル・ロフチン・ホワイト
  アンプ・・・・とんでもない大作?
 
では、今日はこのへんで・・・・・HIROちゃんでした。