■グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」
グノーと言うと、「ファウスト」で大成功を収めるなどオペラを多く作曲していますが、グノーは交響曲なども書いています。
また後半生において主に宗教曲を手掛けています。中でも「アヴェ・マリア」は有名ですが、この曲は元々バッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲に旋律をのせたもので、『グノーのアヴェ・マリア』と呼ばれている曲です。また、あまり知られてはいませんが「レクイエム」も作曲しています。(CDは1枚持っていますが、有名ではないためか、ほとんど発売されていません)
グノーの宗教曲のうち、今回紹介するのは、「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」です。「聖セシリア・・・」と書いてあるものもあるようです。
「荘厳ミサ」となっていますが、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」のような重厚な曲とは異なり、一度聞けば忘れることのできない、明るく、とても美しい旋律の多いミサ曲です。宗教曲はどうも・・・と仰る方でも一度聴くと、その旋律の美しさにほれ込むはずです。
この曲は合唱界ではとても人気のある曲で、アマチュア合唱団の定期演奏会などで、ピアノ伴奏やオーケストレーションを組み込んだエレクトーン伴奏で良く取り上げられています。
私もアマチュア合唱団に所属していた時に、この曲全曲を、これまでに3回、ステージで歌った経験があります。その中でも昭和54年11月(まだ独身の20歳代でした。。。)に茨城県芸術祭として「茨城県合唱連盟創立30周年記念演奏会&第39回茨城交響楽団定期演奏会」として演奏したステージに合唱団員の一人として、この曲を歌っています。この演奏会では客演として指揮者・荒谷俊治氏、ソプラノ・常森寿子さん、テノール・田口興輔氏、バス・高橋修一氏という当時の豪華メンバーを迎えた演奏会で、私にとって、とても良い思い出と経験となっています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、このミサ曲は、残念ながら発売されているCDが非常に少ない曲ですので、推薦するCDは、このCDとか・・・演奏がどうのこうの・・・とかいう事ではなく、この曲の構成と内容を簡単に紹介し、CDの紹介は末尾の2枚だけです。どちらも名演とされる音源です。機会があれば、ぜひ聴いていただきたい美しい名曲です。
1、キリエ Kyrie ト長調 4/4
オーケストラの短い導入部で合唱が始まります。その後、合唱と独唱者は交互に"Kyrie eleison"と歌い、美しさと透明さに満ちたこの楽章が終わります。このキリエを聴き始めると、もうすぐにグノーの美しい旋律の虜になります。
2、グローリア Gloria ニ長調 4/4
4部に分かれた長大な楽章、第1部は弦楽器のトレモロに乗った美しい金管楽器とハープの前奏の後、美しいソプラノのソロが合唱のハミングと共に歌います。第2部は、力強い合唱とソロの3重唱で "Gratias"と歌われ、第3部は"Domine fili unigenite"では、バスが独唱を始め、テノール、ソプラノが加わる3重唱となり、合唱も加わります。最後の第4部は合唱で第2部と同じメロディーを"Quoniam tu solus"と歌い力強くクライ
マックスとなります。
3、クレド Gredo ハ長調 4/4
何部かに「グローリア」のように「クレド」も分かれています。荘厳な前奏が始まり、合唱がユニゾンで"Credo~・・・"と歌います。 とても堂々とした曲です。次にアダージョになり"Etincarnatus est"に入り、3重唱と合唱が互いに歌っていきます。その後、転調して"Crucifixus"と3人のソロが歌い、合唱となります。最後は合唱で高らかに "Et resurrexit"と歌われ、最後のクライマックスとなり最後は「Amen」で終わります。(合唱団員としては、転調もあり、この曲が最も難しいと思います。歌っても疲れます。まあ・・・他のミサ曲も「クレド」は歌う側にとっては難曲が多いんです・・・・)
4、オフェルトリウム Offertorium 変イ長調 4/4
この楽章は管弦楽とオルガンだけで演奏される非常に短い楽章です。とても癒される間奏曲のような感じの曲で、大変美しい天国的なメロディーです。何度聴いてもあきません。管楽器とヴァイオリンの美しいこと・・
(合唱団員としてクレドまで歌うと結構、疲れるため、合唱の無いこのオフェルトリウムをステージできいていると、とても癒されます)とても好きな楽章です。
5、サンクトゥス Sanctus ヘ長調 9/8
アンダンテでテノールのソロによって歌われますが、叙情的で、ここでも流れるような美しいメロディーが歌われ、合唱がこれに続き同じ旋律を繰り返していきます。この旋律も一度聴くと忘れません。
6、ベネディクトゥス Benedictus 変ロ長調 4/4
短い楽章で、ソプラノ・ソロが "Benedictusu"と歌い合唱が続きますが、その美しさはなんとも言えません。
7、アニュス・デイ Agnus Dei ニ長調 12/8
前奏の後、合唱が "Agnus Dei"と歌い、テノールソロが"Domine non sum dignus intres"と続きます。そして、合唱が再び "Agnus Dei"と繰り返します。ソプラノ・ソロと合唱がこれを繰り返し「Amen」でこの楽章が終わります。
(8)ドミネ・サルヴム Domine Salvum
この曲は付加曲となっていて、コンサートなどでは割愛されて演奏されるのが多いようです。私が合唱団員として歌った3回のステージ演奏では、全てこの付加曲は歌われませんでした。個人的な意見ですが、この曲は付加曲無しでアニュス・デイで終わった方が良いように感じます。
■CDの紹介
私のライブラリーは2枚

グノー: 聖チェチーリア荘厳ミサ曲
ゼーフリート(S)、シュトルツェ(Bs)、他
マルケヴィッチ&チェコPO&Cho
【録音】1967年

グノー: 聖チェチーリア荘厳ミサ曲
ジャン=クロード・ハルトマン指揮, ピラール・ローレンガー(S)
ハインツ・ホッペ(T), フランツ・クラス(Bs), ルネ・デュクロ合唱団
パリ音楽院管弦楽団
【録音年】1963年,
なお、このCDにはジョン・バルビローリ指揮, ハレ管弦楽団による「小交響曲」が、カップリングされています。
※現在、CDのカタログ上では、たぶん、この2枚だけしかないかもしれません。ぜひ聴いていただきたいCDですね。
では、今日は、このへんで・・・・・・HIROちゃんでした。