■シューベルト歌曲集「美しき水車小屋の娘」
クラシック音楽を聴かれる方は、いろいろなタイプがあります。とにかくバッハのみを聴かれるなど特定の作曲家の曲に拘る方や、逆にバッハは嫌いなので聴かない・・・交響曲や管弦楽は聴くけど声楽曲は聴かない・・などなど人によって異なりますが、膨大な曲があるクラシックなので、どんな聴き方でも人それぞれ好みもあるので良いと思います。 
私は、とにかく何でも聴くタイプ。作曲家もジュズアルト、デ・プレ、パレストリーナといったルネッサンスの曲から現代音楽まで、また交響曲、協奏曲、室内曲、器楽曲、宗教曲、オペラ、声楽、などなど何でも聴くタイプ。有名曲はなるべく何でも多く聴く・・・そんなタイプなのです。クラシック音楽を好きになったのは小学校時代から、本格的にベートーヴェンなどを聴き始めたのが中学校時代です。それから50数年・・・・いつの間にかLPやCDが1万枚以上になってしまいました。勿論、時々ですが演奏会にもいきます。
 
さて、前置きが長くなりましたが、今回はシューベルトの歌曲集から「美しき水車小屋の娘」を紹介します。「冬の旅」「白鳥の歌」と並び一般的にシューベルトの3大歌曲集のひとつです。「冬の旅」が一番有名?でしょうか・・・しかし、この曲は私にとって非常に疲れる曲です。当時のプログラムを探さないと、いつだったか忘れましたが、30数年前だったと思いますが、フィッシャー・ディースカウの生の演奏会で、この「冬の旅」全曲を聴いたことがありましたが、終わりのころは少し疲れました。この時のピアノ伴奏は、指揮者のサヴァリッシュで名演でした。サヴァリッシュのピアノ伴奏も良かった・・・
しかし、「冬の旅」と比較すると、この「美しき水車小屋の娘」の方が親しみやすい曲だと思います。
ホセ・カレーラスやパバロッティ、ドミンゴといったテノールのイタリア・オペラのアリアを聴くのも良いですが、私はベートーベンやシューベルトなどドイツ・リートを聴く方が好きです。あまりドイツ・リートを聴かれない方には、この曲がおすすめですのでぜひ・・・・
 
この歌曲集は「旅に出た若者が、美しい水車小屋の娘に恋をしますが、狩人が現れて彼女を奪っていき、絶望した若者は小川に身を投げ、小川は彼に優しく子守唄を歌う・・・」という物語で20曲の歌からなっています。
その20曲の曲目です。
  • 1曲 さすらい Der Wandern
  • 2曲 どこへ? Wohin?
  • 3曲 止まれ! Halt!
  • 4曲 小川への言葉 Danksagung an den Bach
  • 5曲 仕事を終えた宵の集いで Am Feierabend
  • 6曲 知りたがる男 Der Neugierige
  • 7曲 苛立ち Ungeduld
  • 8曲 朝の挨拶 Morgengruß
  • 9曲 水車職人の花 Des Müllers Blumen
  • 10曲 涙の雨 Tränenregen
  • 11曲 僕のもの Mein!
  • 12曲 休み Pause
  • 13曲 緑色のリュートのリボンを手に Mit dem grünen Lautenbande
  • 14曲 狩人 Der Jäger
  • 15曲 嫉妬と誇り Eifersucht und Stolz
  • 16曲 好きな色 Die liebe Farbe
  • 17曲 邪悪な色 Die böse Farbe
  • 18曲 凋んだ花 Trockne Blumen
  • 第19曲 水車職人と小川 Der Müller und der Bach
  • 第20曲 小川の子守歌 Des Baches Wiegenlied

この曲の私のライブラリーは5枚だけです。DGに録音したフィッシャー・ディースカウの3回目の録音が最も良い、との評価が多いのですが、残念ながら私はこの音源は持っていません。第1回目のモノラル録音とEMIへの2回目の録音しか持っていません。
 しかし、この曲は、元々テノールのための曲です。ディースカウのようにバリトンやバスによって低く移調して歌われることも多いのですが、本来はフリッツ・ヴンダーリヒのような、独墺系作品を得意とするテノールによって原調で歌う方が相応しいと思っています。
 
 
イメージ 1 ライブラリーの紹介ですが、私のお薦めは、何といってもフリッツ・ヴンダーリッヒです。
右のCDはヴンダーリヒのモノラル盤、ピアノはクルト・ハインツ・シュトルツェ
 
 
 
 
 
 
イメージ 2
  彼は1957年に前記のモノラルでも録音していますが、やはり1966年の録音が最高でしょう。ピアノはフーベルト・ギーゼン。
 フリッツ・ヴンダーリッヒが、今でも多くのクラシックファンから愛し続けられている理由。それは前にも投稿で書きましたが、彼の天性ともいえる美声。「甘い声ながらも力強さと、表現力の豊かさ」・・・ではないでしょうか。正にこの曲は、全曲を通しヴンダーリヒがお薦めの1枚。
しかし、この録音は彼にとって最後のスタジオ録音。同じ年に35歳11カ月という若さで彼は事故で亡くなっています。何とも残念。私の最も好きなテノール歌手で、いつの間にか気がつけば、彼の録音した歌曲やオペラなどのLPやCDも50枚位、集まってしまいました。
 
イメージ 3 同じテノールのペーター・シュライヤーも聴きごたえがあります。彼も何回かこの曲を録音していますが、わたしのCDは、ブリリアント・レーベルで再発売された時のシューベルトの歌曲集7枚組の中の1枚。
ピアノ伴奏はワルター・オルベルツ。
 
 
 
 
  
イメージ 4 ディースカウの有名なDGの録音はありませんが、1回目の録音が右のCDです。ピアノはムーアです。
彼の若き時代のモノラル録音を収めた10枚組の廉価盤BOXの中の1枚。
 これは1951年の録音です。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 5 1961年、2回目のEMIの録音では20曲の歌の前と後ろでプロローグとエピローグを朗読のかたちで付しています。
ピアノの伴奏のムーアも名演。2人の息はぴったりで、伴奏の方が素晴らしく聴こえる時があります。この録音CDは、持っていましたが、買い直した彼のEMIへの録音を纏めた11枚組のBOXの中の1枚。
 
 
 
 私の勝手な考えですが、この曲はヴンダーリッヒ、シュライヤー、ディースカウを聴けばOKだと思うのですが・・・ヘルマン・プライ・・・うーん・・
彼の歌は音が少し不安定(下がり気味)?に感じるのですが・・・
 最近のテノール歌手は全く分かりません。多分、名歌唱もあるのでしょうね・・・・
 
 今回は単に私のライブラリーの紹介だけでしたが、声楽曲に興味のあまりない方でも、おすすめの歌曲集です。
 ぜひ、機会があれば、聴いてみてください。。。
 
 
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