■1626 (VT-137) ロフチン・ホワイト・パラ・シングル・
   アンプの製作 その②   完成しました
 
※2015/03/02  21:30 追加投稿
 回路図とアンプの詳細な説明の記事を
 追加し、修正しました
※2015/03/04   23:30 一部加筆投稿
※2015/03/20   周波数特性を末尾に追加
※2015/04/06   回路図修正(設計ミス修正)
              電源部文章追加
 
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  まだ、トランス・カバーは作っていません。(後日、100円ショップ品を使用して作ります)
ゴム足も無いので、まだ付けていません。出来たら、また紹介します。
電源スイッチは、後ろ側に付けて前面はスッキリとしました。
 これまで何台かの1626アンプを作りましたが、ロフチン・ホワイト回路での直結アンプは、はじめてです。しかも今回はパラ・シングルです。
 完成後の各部の電圧は、ほぼ設計とおりでしたが、最終的に1626のバイアス電圧をEp、I p曲線からみた、適正電圧にするために、初段のプレート電圧を調整。当初の設計では、B電源のデカップリング抵抗は27KΩでしたが、1626のバイアス電圧がやや浅いため、33KΩとし、最終回路としました。(回路図参照)
 
 イメージ 3
 
シャシー内の配線の状態は、こんな感じです・・・・・
設計ミス修正のため、配線が少し変わりました。
2015/04/06
写真入れ替え
  
イメージ 2
只今、試聴中です。  
思ったより出力が出ています。
1.5W以上、あるかもしれません。
 
 ※2015/03/02  21:30 追加投稿
■回路とアンプの説明
  これまで、自作真空管アンプのホームページやブログで、1626のミニワッターや、プッシュプル・アンプは、多く紹介されていますが、ロフチン・ホワイト回路でのアンプは、ほとんどありません。しかも、今回はパラ・シングルの直結アンプ(ロフチン・ホワイト・アンプ)です。もしかしたら・・・本邦初かもしれません・・・
 前述のように、これまで1626では、シングル・アンプとパラ・プッシュ・アンプ(ミニ・オルソン)を作りましたが、前回のパラ・プッシュプル・アンプでは寄生発振を止めるのに苦労しました。
 パラ接続では寄生発振しやすく、その経験を生かし、今回の設計をしました。回路図の後にアンプの説明をします。
2015/04/06 追加投稿
なお、最初に投稿した回路図には設計ミスがありました。下記の回路図は修正後の回路図です。(最初の回路では1626のカソード電圧が高いにも関わらず、ヒーター・バイアスをかけずに、ヒーターをアースしていました)
 
イメージ 4
 
 このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 
 
■アンプ部(増幅部)
 
今回のアンプでは、入力でのボリュームは省略しました。(コントロール・アンプを使用します)
 基本的には、パラ接続を除けば、普通のロフチン・ホワイト・アンプの回路ですが、3極管のため、いつものようにNFBは、かけずに無帰還アンプになっています。
(いつも書いているように、私は3極管アンプの場合には無帰還とするのがポリシーです。)
 
 寄生発振防止のため、1626のグリッド入力部には、10KΩをシリーズで入れました。ここは前回のパラ・プッシュ・アンプの時に1KΩや2KΩでも発振したために10KΩにしたところ、ぴたっと発振が止まったため、今回のアンプでも10KΩを入れました。これにより寄生発振はありませんでした。
(※2015/03/04 追加記事)
しかし、この方法は、10KΩもシリーズにしているので音に影響があるかもしれません。プレート側での対策が良かったかもしれません。)
 
 1626のカソード抵抗は、1本毎に6KΩを入れた方が良かったのですが、手持ちの適当な抵抗が無かったので2本共通で3KΩとしました。1626の特性もまずまず揃っていたので、特に厳選したペア管でなくても、特に問題はありませんでした。
 初段管には、高μ管の6Z-DH3Aを使用しました。マニアの方の中には、ラジオ球の駄球として、ノイズや雑音が多くて使い物にならない・・・と仰る人がおられますが、そんなことはありません。十分ドライブ球として使用できます。(5球スーパー・ラジオ用に大量生産されたために、多少、不良品に近いのは、あるかもしれませんが・・・・好きな球です)
 1626のバイアス電圧は、それほど深くないため、初段は、高μの3極管1本で十分ドライブ出来ます。
 
このアンプの1626の1本あたりの動作は、次の通りです。
・Ep(プレート電圧):330V-120V=210V
・I p(プレート電流):40mA÷2=20mA
・Eg(グリッド電圧):-31V (120V-89V)
・Pd(プレート損失):210V×20mA=4.2W
 
 1626の規格の最大プレート電圧は250V、最大プレート損失は、5Wに対し、84%(4.2W÷5W×100)と軽い動作となっています。また、1626のEp、I p 特性曲線から見たバイアス電圧も、ほぼ適正な電圧になっています。
 
■電源部
 電源部ですが、B電源の整流は、16266Z- H3A、双方とも傍熱管なので、シリコン・ダイオードでも差し支えないとは思いますが、ヒーターの立ち上がりをあわせるために、同じ傍熱管、5AR4の真空管整流としました。また、電源トランスのB電圧のタップが280Vと少し低かったので、効率の良い5AR4を使用したものです。整流後の50Ω10W)は、ケミコンへの突入電流防止のために、入れました。
 チョーク・トランスですが、本来ならば10Hのチョーク・トランスがハム防止の観点からも望ましいのですが、手持ちが無く、ジャンク品のギター・アンプから取り外した150mA/3H の裸品をシャシー内に組み込みました。
 なお、チョーク後には、470μFの大容量のケミコンを使ったのでハムは、ほとんどありません。このケミコンには、600V2.2μFのフィルム・コンデンサをパラっています。(今回のアンプでは、1626のカソード抵抗3KΩにも250V2.2μFのフィルム・コンデンサをパラっています)
 当初の設計では、B電源の初段管へのデカップリング抵抗は27KΩでしたが、1626のバイアス電圧がやや浅くなったため、33KΩとし、初段管のプレート電圧を調整、今回の最終回路としました。
 
 参考までに初段管のB電圧安定化のため、ブリーダー抵抗(42KΩ=24KΩ+18KΩ3W)を入れ、4.2mAをアースに流していますが、ロフチン・ホワイト回路では、このブリーダー抵抗値と初段管へのB電源デカップリング抵抗値(このアンプでは両チャンネル兼用で33KΩ)が、初段管のプレート電圧を決定する設計のポイントとなります。ロフチン・ホワイト回路では [(出力管のカソード電圧)-(初段管のプレート電圧)]が、出力管のバイアス電圧(グリッド電圧)になるためです。
 
2015/04/06 追加投稿
 なお、ロフチン・ホワイト回路のため、1626のカソードに高電圧がかかります。1626のヒーター・カソード間の最大電圧(耐電圧)が規格表には記載されていません。古い小型の真空管のため、耐圧が低いことも予想されるためにブリーダー抵抗の18KΩから76Vと少し高めのヒーター・バイアスをかけています。これにより1626のカソード・ヒーター間の電圧は・・・
120V-76V=44Vとなりますので、この電圧で心配はないでしょう。
(古い真空管では、この耐圧が50V位の真空管もあるので・・・)
 
■主な使用部品
 
  今回の製作にあたって、使用した部品ですが、シャシーは奥澤製
  ( 300mm×200×60mm)の買い置きストックの新品、出力トラン
  スも東栄変成器 OPT-5S で買い置きストック品です。この出力トラ
  ンスは、普及品?のケース無しの安価なトランスですが、なかなか良
  いトランスです。
   真空管は全てストックの新品。1626は、軍用のJAN球です。
  電源トランスは別のアンプ(6BQ5アンプ)からの入れ替え取り外し品。
  チョーク・トランスは前記のとおりジャンク品です。
  小物類は、ほとんどが家にあったストック品で、コンデンサ類は、中古
  品を多く使用しています。
  今回、改めて購入した部品は、抵抗4本だけで済みました。
  (使った金額は40円×4本×消費税=172円でした~)
 
■試聴結果について
 完成してから、まだ、あまり聴いてはいませんが、思ったより出力が出ています。1.5W以上はあるかもしれません。
 この1626アンプでは、プッシュプルより、パラ・シングルの方が良いような気がします。また、ロフチン・ホワイト回路としたために、カップリング・コンデンサによる音の影響が無いので、音がストレートに出てくるようです。
小出力とはいえ、十分な音量です。
 以前、紹介した71Aロフチン・ホワイト・シングル・アンプと共に3極管らしい輪郭のしっかりした音のように感じます。
 
【2015/03/20 追加投稿】
 ・・・・周波数特性・・・・
 ブログでおなじみのKIYOさんにお願いして、このアンプの周波数特性を測定していただきました。
 測定結果ですが、チャートのように、低音と高音がバランスよく?落ちている、カマボコ特性・・・と言っても2.5dBで20Hz~20KHzと言ったところでしょうか。NFBをかけていない裸の無帰還アンプとしては、充分優秀な特性です。この特性ならばNFBをかける必要は全くないと思います。
 
では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした。