コンパチブル・シングル・アンプ (改造)
  6F6-シングル・アンプ(6V6/6L6/EL34等兼用可)
 
    今日 (2/13) の昼間に 「気まぐれ日記」 の書庫で投稿しましたが、
下記のようなコンパチブル・シングル・アンプが本日、完成しました。
 
 2015/02/14  10:00  一部、記事と写真について追加投稿しました。
 
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今回のアンプは、コンパチブル・アンプと言っていますが、このアンプは、実際にはGT管の6F6-GTのシングル・アンプが設計の基本となっています。
 右の写真のようにボンネット付きのシャーシに作ったもので大きさは300×160×170mmというコンパクトなアンプです。 
 トップの写真は6F6-GTではなく、6L6-GC(ST管タイプのG管)を挿して撮影しました。
 
■アンプの回路等の説明
 元々、このアンプは、6V6シングル・アンプで、整流は真空管(5Y3)、
ドライブ管は12AT7(1/2)でしたが、今回はB電源はシリコン・ダイオード整流とし、これまでの整流管(5Y3)の穴には、B電源のケミコンを取付て、電源部を強化しました。
 なお、12AT7の初段ですが、これまでは、両チャンネルとも1本づつ使用(片側1/2ユニットのみ使用)でしたが、今回は、パラ接続としました。
ここは高域特性が良いとされるSRPP回路にするか迷いましたが、力感がある?パラ接続としました。
 ここの初段には、今回、12AV7(μ=約40)を使用していますが、この球は一般的ではありません。しかし、ここは初段もコンパチブルで、12AT7や、12AU7、5814、5963、5965、12R-LL3、12AX7、7025などでも、電圧配分と入力感度は変わりますが、そのまま挿し換えが出来ます。但し12AX7と、12AT7は、少し入力感度が高くなります。ここは中μ管の方がいいと思います。
  12AV7でなければ、12AU7あたりがいいように思います。12BH7Aでも感度は低くなりますが、そのまま挿し換え出来ます。
 初段管のプレート抵抗は、持ち合わせの関係で100KΩとしましたが、プレート抵抗の比較的低い中μ管も使用するので、パラ接続ですから、もう少しだけ低い抵抗値でも良かったかもしれません。
 
  出力管ですが、前記のように、6F6で基本設計していますが、球によりEp(プレート電圧)とIp(プレート電流)との特性曲線カーブから見た適正Eg(グリッド電圧)には、少し電圧がずれていますが、ソケット接続の同じ6K6や6V6系、6L6系(6L6-GT,5881など)の出力管がそのまま挿し換えが出来ます。
 また、USソケットの1番ピンと8番ピンを接続していますので、EL34もそのまま挿すことが出来ます。
 6F6の設計となっていますので、出力トランスの1次側Zpは7KΩとなっています。6V6やEL34には少し高い値ですが、特に問題はありません。かえって歪が低くなるかもしれません。NFBは出力管からの簡単なカソードNFとしました。
 
  出力は約3~4W位ですが、石アンプの3Wとは異なり、石アンプの10W以上の音に感じるはずです。
 出力管の違いによる音の違いは微妙ですが、見た目の変化もあり、とても楽しいアンプです。主な真空管を挿した写真です。出力管で見た目も大きく変化します。
 
 ■6F6-GT使用
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  このアンプの基準管です。5極管でラジオ管の駄球というマニアの方もいますが、綺麗な音です。
約2.5~3Wの出力です。この6F6はNEC製のものです。
 
 ■6V6-GT使用
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   この6V6-GTは、クリア管ではありません。ガラスの色がブラックです。
出力は、上記の6F6とほとんど同じです。  
 
 ■6L6GC使用
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 この6L6GCはST管タイプのG管。 中国製の新品ですが、バラツキも少ない方でビーム管らしい広がりのある音です。出力はB電圧が低いので6L6でも約3.5~4W位になります。 
 
■5881使用
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 5881は6L6系の球で電気的特性は同じですが、Pd(プレート損失)が結構大きい球です。この5881は、ソブテック製でしっかりした作りです。出力は6L6と同じ。
  
 ■EL34(6CA7)
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 スマートで背の高い球ですが、このアンプに付属のボンネットを付けても大丈夫です。収まります。
 出力はB電圧が低いので4W位ですが、とてもしっかりとした音です。
 
※2015/02/14 追加投稿
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  欧州管のKT-88を試しにアンプに挿してみました。
Ep(プレート電圧)は下がりますが、1本あたりのKT-88の電流は、約50mAなので、このアンプでも使用可能です。
KT-88としては低電圧動作となりますが、十分な音量となります。
もちろん、その他の6550や、KT-66、KT-77も、そのまま使用することができます。楽しめるアンプです。
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 ■真空管以外の主な使用部品
 
  電源トランス:山水PT-120B 現在は入手困難なトランスです。
           このトランスは約120mAのB電流が取れます。
           このアンプの総電流は使用する出力管により、異なり
           ますが6F6/6V6で約75mA、EL34/6L6でも80
           ~85mAと、かなり軽い動作ですので、十分な容量、
           もったいないくらいです。   
 
  出力トランス:ノグチトランスPMF-6W
           6W用の普及品ですが、まずまずの周波数特性の
           トランスです。重低音などは望めませんが、中域で
           の音は定評があります。
 
  シャーシ  :リード社のボンネット付きの小型シャーシ(MK-300)
                      です。シングル・アンプにはもってこいです。          
          少し古くなり、再塗装も考えましたが、そのまま使用
          しました。
 
  ※電源トランスのB電源タップを換えて電圧を高くすれば,6L6や、
    EL34では出力を大きく出来ますが、出力トランスも小さく、電流
   も多くは流せません。
   また、B電源整流後のケミコンの耐圧が350Vなので、シリコン・
   ダイオード整流による、電源ON時におけるケミコンへの高電圧を
   考慮すると、これ以上のB電圧を上げることは望ましくありません。
   この出力で良しとします。
   (元々は、繰り返しになりますが、6F6-GT用アンプです)
 
■回路図です。
  6F6シングル・アンプですが回路図の真空管はEL34で表記して
  います。
  なお、6F6と6V6使用時の各部の電圧は、ほぼ同じく、また6L6と
  EL34使用時の各電圧も、ほぼ同じくらいになります。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。 
 
 では、今日はこのへんで・・・・HIROちゃんでした。