■ベートーヴェン/ミサ曲ハ長調 Op86
ベートーヴェンのミサ曲というと、晩年の作品である「ミサ・ソレムニスニ長調Op123」があまりにも有名で、録音も多く、クレンペラーやカラヤンなど多くの名盤が知られていますが、この曲は録音もそれほど多くないためか、あまり一般的には人気がないようです。
しかし、このミサ曲は「ミサ・ソレムニスニ長調Op123」が、どちらかというと教会での演奏というより演奏会用のミサ曲という感じが強いのですが、この「ハ長調ミサ」は曲の演奏時間も「ミサ・ソレムニス ニ長調」の約半分、通常の教会でのミサ曲の構成で作曲されているミサ曲の中でも、名曲のひとつだと私は思います。
アマチュアの合唱団のメイン・ステージ用としては、ピアノ伴奏やエレクトーンによる伴奏ですが、しばしば演奏され、私も定期演奏会等で何回か聴いたことがあります。
人気があまりないためか、録音もあまり多く無い中、私のこの曲のライブラリーは、次の5枚があります。
■カール・リヒター指揮/ミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団(1969)
ソプラノ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ
アルト:ユリア・ハマリ
テノール:ホルスト・ラウベンタール
バス:エルンスト・ゲロルト・シュラム
アルト:ユリア・ハマリ
テノール:ホルスト・ラウベンタール
バス:エルンスト・ゲロルト・シュラム
この演奏が私が初めて「ミサ曲ハ長調」を聴いた録音です。
大学時代にレコード店でアルバイトをしていた時に、初めてこの演奏録音が日本で発売される時に、メーカーから店に届いたLPの見本盤(試聴盤)でした。
店長から「この曲は売れないからHIROちゃんにあげるよ・・・・」と言って頂いたLP。我が家には、このような、アルバイト店から頂いたLPの見本盤が何枚かあります。
ジャケット無しの「非売品」「見本盤」と書かれたラベルのLPで、今回の紹介のために探したのですが、整理が悪いため、LPレコードの中にうずもれて、見つかりませんでした。

右の写真は、CD。マルケヴィチ指揮によるモーツアルトの「戴冠ミサ」とのカップリング。この「戴冠ミサ」も名演です。モーツアルトの「戴冠ミサ」も私の大好きな曲。全曲を何回か歌っていますが、この曲は機会を見て紹介します。
さて、この演奏ですが、リヒターというと、どうしてもバッハの曲の演奏家というイメージですが、リヒターは、モーツアルトのレクイエムなどでも素晴らしい演奏を残しています。このべートーヴェンもヤノヴィッツなどソロも素晴らしく、合唱では特に2曲目の「グローリア」と3曲目「クレド」では、ベートーヴェンらしい重厚さも見られる演奏です。もともとハ長調なので、どちらかというと重みのある感じではありませんが、2曲目の「グローリア」の終わり頃のフーガでは、ベートーヴェン的な響きを感じる名演だと思います。
どうしても、この演奏が聴きなれていたり、思い入れのある音源なので、この録音が、私の最も好きな演奏となっています。
■カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/ニュー・フィルハーモニアO、合唱団
エリー・アメリング、 ジャネット・ベイカー、
テオ・アルトマイヤー、マリウス・,リンツラー

このCDは、EMI原盤のブリリアント・レーベルの3枚組の中の1枚。同じジュリーニの「ミサ・ソレムニス ニ長調」もカップリングされています。
この演奏も名歌手揃いの演奏です。全曲を通して、やや遅めのテンポで曲が進みます。特に1曲目の「キリエ」では、かなり遅いテンポです。しかし引きずるような、ダレた遅さではありません。「キリエ」の
「Kyrie eleison 主よ憐れみ給え」という歌詞を考えると、このテンポがいいと思います。3曲目「クレド」も、かなり遅く感じますが、4分の3拍子のリズムをうまくコントラストをつけています。
全体通して非常に纏まりのある名盤だと思います。
■トマス・ビーチャム指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、
ビーチャム合唱協会
ジェニファー・ヴィヴィアン、モニカ・シンクレア、
リチャード・ルイス、マリアン・ノワコウスキ
ジェニファー・ヴィヴィアン、モニカ・シンクレア、
リチャード・ルイス、マリアン・ノワコウスキ

この録音は、1958年と古い録音ですがステレオで音もまあまあいいです。1曲目の「キリエ」は少し遅いテンポではじまります。しかし、この演奏・・・聴いていくと私にはベートーヴェンの曲ではなく、ヘンデルの「メサイヤ」的に聴こえる感じ?です。全体としては、この演奏も纏まりのある演奏だと思います。
■ギュンター・ヴァント指揮/ケルン放送SO/合唱団 他

ギュンター・ヴァントは、バイエルン放送SOと、この曲を録音していますが、私は持っていません。このCDは1954年のモノラル録音。
この演奏では「サンクトゥス」と終曲の「アニュス・デイ」が特に良く、感情が良く表現された名演。ステレオでないのが非常に残念。
■ヴォルフディーター・マウラー指揮
アンサンブル・東京/東京・オラトリオ・ソサエティー 他

このCDは、SONY 、RCA 、ARTE VOVAで構成された60枚組の「ベートーヴェン全集」の中の1枚。
全体的にやや早めのテンポですが、多少、ソリストの歌い方がイマイチ。合唱はとても綺麗な響きですが、オケもイマイチ、管楽器のバランスが少し良くないように感じます。
最近は体調の関係や仕事の関係で、歌っていた一般の合唱団は退団しましたが、特別演奏会などでは、今でも時々ですがステージに乗せて頂いています。機会があれば歌ってみたい曲です。
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では、今日は、このへんで・・・・・・HIROちゃんでした。