■300B他、トランス結合・コンパチブル・テスト・アンプ
※2014/10/03 15:15 追加投稿
UY → UX変換ソケット・アダプターの制作について、末尾に追加
しました。
※300Bを使用した時の写真を追加しました。
これまで、多くのアンプを紹介してきましたが、まだ結構あります。
よくもまあ、こんなに作って・・・・また、よく残してあるな~・・・と自分でもあきれています。ここまで来ると完全なる病気ですね!
紹介出来るアンプは少なくは、なってきましたが、私にとっては、今回は少しばかり、とんでもない力作?を紹介します。
何故、とんでもないか・・・・と言いますと、実は、このアンプは「テスト・アンプ」・・・というとカッコイイのですが・・・・
聞いてびっくり、見てびっくり・・・300B、2A3、45などのUXベースの直熱出力管なら、多くの球が挿し換えOKという、コンパチブル・アンプ。
しかも、ST管の他に、主なUSソケットのGT管の三極管接続でも動作が可能という、名付けて「スーパー・コンパチブル・オールトランス結合・シングル・テストアンプ」という、とんでもない、それこそ世界で1台だけのオリジナル・アンプです。(だいぶオーバーな表現!)
このアンプは、私にとって、古典管を使用した、トランス結合シングル・アンプの集大成?ともいえる作品です。
今年の1月に制作した、比較的、新しいアンプです。
まずは、アンプの姿から・・・・・

リード社の大型ケースに、組み込ました。上部に穴があるため、放熱も、それほど問題になりませんでした。
見てのとおり、シンプルな前面、電源スイッチとネオン管、あとは左右のバイアス電圧監視用の電圧計だけ、というデザイン。
オールトランス結合で、出力トランス1個だけでも5Kgもあり、アンプの総重量は20Kg近い、重量級アンプになっています。

■回路と使用部品等について
回路は、入力、段間、出力トランスと全てタムラ製で、オールトランス結合としました。電源トランス、チョークはノグチ製、ヒータートランスは東栄変成器製です。回路図は末尾に記載します。
■主な使用(挿し換え)可能な出力管の一覧
本体の電源及び付属の外部フィラメント(ヒーター)電源装置使用で、電圧が2V、2.5V、5V、6.3V、7.5Vの出力管の多くが使用できます。
付属の「外部フィラメント(ヒーター)電源装置」の写真です。

電圧により、ACとDCが使用できます。GT管使用では、ヒーター片側をアースしているために独立した電源が必要なので、この外部電源装置を使用します。
このアンプで使用(挿し換え)出来る出力管は、300Bや2A3をはじめ、次の通りです。私の所有している真空管だけを書いてみると・・・
●2V電池管(外部電源装置を使用)
31
●2.5V管(本体電源)
45、2A3、3Y-P1、46、47
※3Y-P1、46、47は、UY→UX変換
アダプター使用による三極管接続動作。ソケット・アダプターに
ついては、末尾に追加記事が、あります。
●5V管
12A、71A (本体専用AC電源)
300B (本体AC又は外部電源DC5V)
※持っていませんが、WE-275A等も使用可。
●6.3V管・・・6A3、VT-52
(外部電源AC又はDC6.3V)
●7.5V管・・・VT-25(10)、VT-62(801)
(外部電源DC7.5V・・・AC7Vを整流)
※持っていませんが、50も使用可。
●GT管(但し3極管接続動作)
(外部ヒーター電源使用)
6G6G、6F6、6V6、6L6、6L6系(5881等)
EL34(6CA7)、KT-88、6550
※持っていませんが、その他、6K6、KT-66、KT-77等
■B電圧の切換え方法
B電圧は、使用する出力管により、整流管の挿し換えと、末尾回路図のB電圧調整用の抵抗2本のON、OFFの組合せで切り替えます。(回路図のB電圧切替用(A)及び(B)のスイッチ)
■バイアス切換え
自己バイアスにより、切換えスイッチによりバイアス抵抗値を切り替えます。バイアス電圧は前面パネルの電圧計で確認します。なお、電流計は直熱管使用とGT管使用で切り替えます。(回路図のM1、M2)
■前段の電源と使用真空管について
前段のB電源は、出力管の挿し換えによるドライバーのB電圧の変動防止のため、出力管のB電源とは別に独立電源としました。
なお、ドライバー管には、テレビ管の6BQ7Aを基準管としていますが、ここもコンパチブルで、やはりテレビ管の6R-HH8や6R-HH2の他、6DJ8、7DJ8もそのまま差し替えが出来ます。これらの球は、内部抵抗が低いのでトランス結合が可能なのです。また、ここは、ピン接続の9番ピンの扱いが多少異なりますが、6FQ7でもOKになるようにB電圧とカソード抵抗を決定しました。
■使用整流管について
整流管は出力管により、5Y3、5U4G、5R4、5V4、5AR4などを変えながら使用します。
■各出力管の挿し換えによる、出力トランス1次側
のZp切換えについて
出力トランスはZp=5KΩを使用しました。これにより、12Aや、VT-25などの場合には二次側の4Ω端子に8Ωを負荷し、見かけ上、1次側を10KΩとし、2A3、6A3は、16Ω端子に8Ωを接続し、1次側を2.5KΩとします。そのためにスピーカー端子は0、4、8、16Ωに4個の端子を付けます。
■部品配置とシャーシ加工について

上から見た、部品配置です。いつもシャーシの加工は、適当にぶっつけ本番のおっつけ作業のため、大失敗!・・・なんと段間トランスの間にUXソケット用の穴を開けたのですが、300Bが狭くで挿すことが出来ません。これには、がっかり・・・・仕方なくUXソケットをずらして、穴を開けました。
しかし、失敗は良いアイディアが浮かぶものです。「そうだ、失敗した穴にはUSソケットを付けてGT管まで使用できるアンプにしてみよう!」いつものコンパチ爺いのひらめきです。
というわけで、写真の段間トランスの間の黒いソケットはUSベースです。なお、上の写真では出力管にUX-45を挿していますが、300Bでもこの場所だとOKです。

※300Bの場合の
写真です。
(2014/10/03 追加投稿)
前の写真が小さく見にくいですが、チョークトランスと整流管のところにB電圧切替のスイッチ(A)(B)の2個があります。
なお、この写真では整流管に5Y3を使用していますが、300Bの時は5U4Gなどを使用します)
また電源トランスと出力トランスの間に本体のフィラメント(ヒーター)電圧と外部電源切換えのスイッチ、バイアス切替、及びハムバランサーのボリューム2個があります。

また、ケースについていた内部シャーシの1か所にL型のアルミ板及びシャーシ周囲の折り曲げ部分にも2mmのアルミ板(棒)で補強しました。
■配線の様子など

入力トランスは、タムラのTK-5、狭帯域のトランスですが、ストックがあったので使用しました。
※写真の出力管は45です。

この71A、12A用のヒーター・トランスは、シャーシの背面の内側に取り付けました。
写真に写っている整流管は、5Y3です。

シャーシ内の配線の様子です。右側半分以上が電源部です。切換えスイッチや外部電源コネクタなど、非常にめんどうな配線でした。
■回路図です。
設計には、特に適正な各部の電圧を確保するため、抵抗値を求めるのに非常に苦労しました。完成までは、シャーシ加工と補強に1日、配線作業に2日の3日間で完成しましたが、小出力管の31、12Aから300Bまで、全ての出力管の動作に合わせるまでの抵抗値の決定などは、何回も抵抗を交換しては球を全て交換しながら決めました。
こんなに苦労したアンプは初めてです。
そのような事もあり、このアンプの回路図の抵抗値については非公開で記載しました。
こんなバカバカしいアンプを作られる方はいないと思いますが、決して参考には、しないでください。こんなアンプは製作者の自己満足であり、結局、コンパチブル・アンプは面白いのですが、最終的には一番気に入った球で聴くようになってしまうのが多いのです。
それでも私は、このようなコンパチブル・アンプを作るのが好きなのです。
回路図はアンプと外部用ヒーター電源装置のどちらも記載します。
●アンプ回路

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
●外部フィラメント(ヒーター)電源装置回路

■使用手順書、及び各真空管使用時のデータ・シート
の作製
このアンプは非常に扱いが厄介です。切換えスイッチを間違って操作すると、球によっては、一発で真空管を壊してしまいます。そのために、各切換えスイッチには、使用真空管名、切換え抵抗値を記入したラベルが貼ってあります。
また、各真空管によってスイッチのON、OFF、切換えのマニュアル及び各真空管の動作データー・シートを作製しました。データ・シートは各スイッチ切換え毎の出力管のEp(プレート電圧)、Ip(プレート電流)、Eg(バイアス電圧)、Rk(バイアス抵抗)、RL(出力トランス1次側Zp)、Pd(プレート損失)のデータを測定し、記入してあります。
手順書及び各真空管の動作データ・シートも非公開とします。因みに小出力管の31、12A、71A,6G6GでもPd(最大プレート損失)はオーバーしません。
■試聴結果について
ここでは、出力管の種類が多すぎるため、個々の音についての感想などは書きませんが、300Bをはじめ、どの出力管でも、トランス結合特有の力感と、芯のある素晴らしい中音域の音であったことだけを記しておきます。
なお、使用したノグチの電源トランスは旧タイプのもので電磁シールドがついていません。また、配線等も適切ではない部分もあり、左チャンネルのみ多少、ハムが出ますが、少しスピーカーから離れれば、ほとんど聴こえないので良しとしました。
このような、凄い?馬鹿げた、大型コンパチブル・アンプが、あと2台もあります。順次、紹介します。このうち、1台は、数十種類の音を楽しむことが出来ます。お楽しみに・・・・・
【追加記事】 2014/10/03 投稿
■46、47、3Y-P1用ソケット・アダプターについて

46、47、3Y-P1は、全く異なる真空管ですが、ソケットは、どちらもUYの5本足です。共通する足もあり、写真のように、壊れたUXベースの真空管のハカマ部分にUYソケットを取り付け、次のように接続します。
そうすると、46、47、3Y-P1も三極管接続となります。
このアダプターを使うと、普通のUXの直熱管3極管と同じように使用出来、他のアンプにも、45の代わりに46をアタプターに挿して使用することができます。(46のA動作の3極管接続は45に近い音がします。但しプレート損失をオーバーしないこと)
※接続方法(作り方)
UYソッケットの1番 → UXソッケットの1番に接続(F1)
UYソッケットの2番 → UXソッケットの2番に接続(P)
UYソッケットの3番 → UXソッケットの3番に接続(G)
UYソッケットの4番 → UXソッケットの3番に接続(G)
UYソッケットの5番 → UXソッケットの4番に接続(F2)
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。