■チャイコフスキーの交響曲の名盤(名演奏)
今年は、何故かコンサートで生のチャイコフスキーの交響曲を聴く機会が2回ありました。
小林研一郎指揮/ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団による、6番「悲愴」、そしてブロムシュテット指揮/NHK交響楽団による第4番を、福島県いわき市の「いわき芸術文化交流館アリオス」で聴くことが出来ました。どちらも名演でした。(コンサートの感想は、ブログの書庫「コンサート」に投稿してあります)
そのようなこともあり、今回はチャイコフスキーの交響曲について、私の代表的なライブラリーを紹介します。
正直、私は、チャイコフスキーの交響曲は、あまり聴くことがありません。それでも、6番「悲愴」は、まあまあ良く聴く方で「第5番」「第4番」も時々、聴くことはありますが、1、2、3番は、ほとんど聴くことがありません。
なので、同じ指揮者の「交響曲全集」としては、次の3種類しか持っていません。ここでは、この全集の寸評と、4番、5番、6番「悲愴」については、ライブラリーも、まあまあ、それなりに結構持っていますので、特に第6番「悲愴」の演奏を中心に、印象にあるものだけ、簡単に書いてみたいと思います。
なお、録音年月については、発売年などとの間違いがあるかも知れません。
【交響曲全集】
■カラヤン/ベルリン・フィルハーモニーO
第1番から第3番までは、1977年から79年にかけてのグラモフォン録音で、これらの曲は、カラヤンは、1度しか録音していませんが、4番、5番、6番「悲愴」については多くの録音を残しています。カラヤンのこれらについては、このあと、纏めて「カラヤンのチャイコフスキー交響曲」として述べたいと思います。
■マルケヴィチ/ロンドンSO
国内盤の全集は、1~6番の他にニュー・フィルハーモニアOとの「マンフレッド交響曲」と「フランチェスカ・ダ・リミニ」が入った5枚組ですが、私のは輸入盤。4枚組で1~6番のみです。
マルケヴィチについては、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が非常に印象に残っていたためと、安価だったので購入したものですが、少し期待はずれ?全曲とも、纏まりのある演奏ですが、どちらかというと過大な感情の表現は、ありません。緻密な演奏だとは思いますが、私には一度、聴けば充分かな?という感じです。
■ロストロポーヴィチ指揮
ロンドン・フィルハーモニック
※2017/03/16 追加投稿
ロストロポーヴィチ指揮/ロンドン・フィルハーモニックの
全集を購入しました。末尾に記事のアドレスを掲載しました。
■4番、5番、6番「悲愴」のライブラリー
この3曲については、LPレコードも含めると相当数ありますが、ここではCDとDVD(映像)のみの紹介とします。
この投稿をするのに何曲かを聴き直してみましたが、あらためて聴くと新しい発見もありました。
この3曲の中では、6番「悲愴」が最も好きです、私は、この6番「悲愴」だけは、演奏の重厚さやアンサンブルが、どうのこうのより、多少癖のある演奏でも、ある種のセンチメンタル的で感傷性のある濃密な感情表現のある演奏を好みます。
■カラヤンの「4番」「5番」「6番(悲愴)」
ライブラリー
アンチ・カラヤンの私ですが、いつの間にかチャイコフスキーの交響曲も結構、集まってしまいました。正規録音のものとして、全てではありませんが、次のものを持っています。「よくもまあ、カラヤンは、こんなに録音したな~と思います」・・・・が、・・・アンチ・カラヤンといいつつ、これらの音源を買いあさるバカもいるんですね(笑い)。。。。
※表記の略
PO:フィルハーモニア管弦楽団
BPO:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
VPO:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
なお、録音年は多少、間違いがあるかも知れません。
●第4番
・PO(1953)
・BPO(1960)
・BPO(1966)
・BPO(1971)
・BPO(1973)※DVD映像
・BPO(1976)
・VPO(1984)※DVD映像
●第5番
・PO(1952)
・BPO(1965)
・BPO(1971)
・BPO(1973)
・BPO(1973)※DVD映像
・BPO(1975)
・VPO(1984)※DVD映像
●第6番「悲愴」
・VPO(1948)
・PO(1950)
・BPO(1964)
・BPO(1971)
・BPO(1973)※DVD映像
・BPO(1976)
・VPO(1984)
・VPO(1984)※DVD映像
・BPO (1988/05/02)
東京公演(サントリーホールでのライブ) CD
以上がカラヤンの私のライブラリーですが、彼のチャイコフスキーは、ベートーヴェンの交響曲より、ずっといいですね。
話は、それますが、カラヤンのベートーヴェンの交響曲は、ライブでは好きな演奏もいくつかありますが、どうしても私は、好きになれません。あまりにも纏まりすぎた外面的にスマートでゴージャス?な優秀演奏、しかも、BPOの音は、もの凄く素晴らしいのですが、何故か面白くありません。
しかし、BPOのチャイコフスキーは、6番でみられる、繊細さとロマンティシズム、感傷性は素晴らしく、4番、5番での迫力、緊張感、など、どの録音でも感じることが出来ます。言葉を変えれば、いつも書くのですが、カラヤン魔術師の催眠術?による聴かせ上手な演奏だと思いますが・・・・どうでしょう?・・・「聴かせ上手」という言葉は悪いでしょうか?
曲にもよりますが、一種の催眠術にかけられ、素晴らしく聴こえるのです。(このように書くと反論される方が多いと思いますが、勿論、素晴らしい録音は、たくさんあります。)

その中でも4番、5番、6番「悲愴」については、私はEMI録音の1971年盤、とグラモフォンの1975~76年録音のものを準推薦としましょう。
最も好きなチャイコフスキーではありませんが、どれか一つくらいは、お薦めして褒めないと、カラヤン・ファンに怒られるので・・・・・
しかし、晩年の1984年の(BPOとの喧嘩後?)VPOとの第6番「悲愴」も捨てがたい演奏で、特にVPOのヴァイオリンの奏でる第1楽章は、素晴らしいものがあります。(これも準推薦)
(なお、1973年のDVDの映像は、3曲とも多くの客の背中側から映したステージの演奏会場に被せた曲のタイトルから始まりますが、いかにもライブみたいに見せたインチキの演出。始まりのあの映像はいらないですね)
今回は、カラヤン以外も指揮者別に、代表曲を紹介してみましょう。
■メンゲルベルク

●第5番
ベルリンPO
●第6番「悲愴」
コンセルトヘボウO
(1937)(準推薦)
●第6番「悲愴」
コンセルトヘボウO
(1941)
ウィレム・メンゲルベルクの6番「悲愴」(1937)は、SP録音で音は悪いですが、演奏は、これが一番好きかも?(1941年盤と混用しているとの話もある?)4楽章を通し、全体的にテンポ・ルバートが目立ちますが、弦の何とも言えないビブラート、他の演奏では決して聴くことの出来ない、強烈なポルタメントを多用した濃厚な感情表現。第1楽章の前半の体がとろけそうな美しいメロディーの歌わせ方。。。古い演奏だ・・・と言えば、それまでですが、やはりこの演奏は、ただものではない名盤だと思います。録音の古さを忘れます。
(このオーパス蔵盤の復刻CDは、何故かハイカットされていないので、ヴァイオリンの音が良いのですが、ハム音が目立ち、気になります。昔のLP復刻盤の方が聴きやすい音のような気がします)好きな演奏で、LPは、同じ演奏のものを2枚持っています。
■フリッチャイ

●第6番「悲愴」
ベルリン放送SO(1959)(推薦)
●第6番「悲愴」
バイエルン放送SO
(1960/11/24ライブ)
ステレオ録音で悲愴を聴くなら、少し古いですが、私は1959年録音の、フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン放送SOの演奏が一番、好きです。
この演奏は、全曲で50分以上、第1楽章は約22分という、出だしは超スローな不気味ともいえる序奏部。一音、一音が魂を感じます。そして感情のこもった第2主題の美しさ。第1楽章での木管の音が、また素晴らしい!。この録音の4年後、1963年、彼は49歳で、この世を去ります。それを自分が予期したような、正に悲愴感あふれる演奏。ゆったりとした前半の演奏。そしてpppppのあとのffの全合奏の強烈な展開部、緊張感と、そして迫力が伝わってくる、すさまじい演奏。2楽章もきれい。3楽章の後半の迫力も凄い。そして、クライマックス後に消えるように終わる4楽章。大好きな演奏です。1960年の11/24ライブ盤も素晴らしいです。ここでも私は第1、第4楽章が好きです。モノラルですが聴きやすい録音です。
■ムラヴィンスキー/レニングラードPO

●第4番(1960)
(推薦)
●第5番(1960)
(推薦)
●第5番
1975/6/7東京公演ライブ゙
●第6番「悲愴」(1960) (推薦)
●第6番「悲愴」
1975/6/7東京公演ライブ
この他にもモノラル盤のLPもありますが、ムラヴィンスキーのチャイコフスキーは大変定評のある名盤です。一糸乱れぬ特に低音部の重厚な弦のアンサンブル!6番「悲愴」は、カラヤンとは対照的な演奏で感情表現もありますが、一言で言うなら「雄大なスケールと重くて暗い、ロマンティシズム、堂々とした悲劇性的な神秘性を感じる演奏」でしょうか?・・・
4番、5番は、もうチャイコフスキーの音楽ではないような個性的な凄演!としか言えません。
特に1960年の4番、5番、6番「悲愴」は名盤でしょう。
■バルビローリ/ハレO
●第4番
●第5番
●第6番「悲愴」 (準推薦)
この中では、第6番「悲愴」が非常に個性的な感情表現。特に第一楽章では、魂を揺さぶるような、抑揚と、うねるような独特な濃厚な表現が目立ちます。このような悲愴感も悪くはないですね。
聴く人によっては、鼻について、いやだ~というでしょう。
■マゼール/クリーブランドO
●第4番
●第5番
●第6番「悲愴」
最近、亡くなったマゼールに敬意を表し、「マゼール・グレイト・レコーディングス」の30枚組セットの中のもの。元々、クリーブランドOとのベートーヴェン交響曲全9曲のために購入した、非常に安価だった輸入盤セット。
残念ながら、まだ聴いていません。彼のVPOとの演奏も聴いたことがありません。そのうち聴きましょう。。。。。
■小澤征爾
●4番/BPO
●4番/パリO
●5番/ボストンSO
●6番/パリO
いずれも緻密な演奏ですが、小澤さんの生の演奏を聴いてしまうと、物足りなさを感じます。4番がいいかも。
■朝比奈隆/大阪フィルハーモニーSO
●第4番 ※DVD(映像)
●第5番 ※DVD(映像)
●第6番「悲愴」※DVD(映像)
このDVD(映像)は、チャイコフスキー生誕150周年を記念して、当時82歳だった朝比奈氏が1990年に3カ月連続で、大阪ザ・シンフォニーホールで演奏した映像作品。朝日放送(ABC)によるハイヴィジョン収録です。堅実な演奏ですが、私は、朝比奈隆さんの演奏は、ブルックナーやベートーヴェンの方が感動が大きいですね。曲は3曲とも、普通の演奏だと思います。悪くはありません。
■バーンスタイン/ニューヨークPO
●第6番「悲愴」(1964)
1986年とは異なる旧録音。新録音は聴いていないのですが、これは意外と、あっさりとしたところもあり、あまり感動はしませんでした。
私には普通の演奏に感じます。
■ホーレンシュタイン/ロンドンSO
●第6番「悲愴」
まあ、これも良くもなく、悪くもなく、普通の演奏だと思います。
この他にも、未整理のCDや、前記のようにLPも多く、あるのですが、聴いた曲を思い出しながら書くのも疲れました。(時々、聴き直したり・・・・)
この辺にしておきましょう。
※2017/03/16 追加投稿
ロストロポーヴィチ指揮/ロンドン・フィルハーモニックの
全集を購入しました。下記に記事があります。