今回は、71A(171A)真空管と、それを使用したトランス結合とCR結合のシングル・アンプをまとめて2台紹介します。
 
■71A(171A)真空管について
 
  71Aは、元々1925年に発表された171が最初で、171はトリタンのフィラメントでしたが、1927年になってフィラメントの規格が5V、0.25Aとなり171Aとなりました
71A(171A)は、前に紹介した12A(112A)と同様、6Vの蓄電池からレオスタットを使用して5Vに電圧を下げて使用する電池管です。日本でも多少、生産されたようですが、日本では、もっぱら12A(112A)がラジオ用として多用されたようです。
 
  71A(171A)は、私にとって45(245)と共に最も大好きな古典管です。出力はシングルで1Wも出ないカワイイ球ですが、清々しい中高音が非常に綺麗な球です。
そんな訳で、若いころから71Aアンプを作っては壊し、作っては壊しを繰り返し、何台作ったかも覚えていない位、今までに作りました。現在もシングル・アンプが4台、パラシングルが2台、プッシュプルが1台、壊さずに残っています。
 
71Aは、大好きな真空管のため、結構、本数もあります。特に真空管のコレクターではないのですが、何種類かの171Aと、71Aを持っているので、紹介します。現在使用しているアンプから引き抜いて写真を撮ったものが多いので、写真の球は、予備球ばかりではありません。写真の他にも何本かは持っています。
 
ナス管の171Aから紹介します。
 
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 左側2本はRCAで、構造は112Aと区別が出来ません。2本とも刻印で相当古い171Aです。おそらく80年位前の球だと思います。
そのとなりはシルバニアの刻印、一番右側はシルバートーンの171Aです。こちらも刻印物です。
RCAのものと比較すると写真では良くわかりませんが、シルバニアとシルバートーンはRCAと比べると、プレートの構造は普通の71Aに近い形になっていますが、やはり作りは71Aとかなり異なります。古びたシールが何とも言えません。。。。。
 
イメージ 2
 
   左からSONATRON、2番目はナショナル・ユニオン、3番目はOK、一番右側はソングバードの171Aですが、ナショナルユニオン以外の3社は、私は、あまり聞いたことはありません。4本とも刻印です。
これらのナス管は、見た感じ、ゲッターはマグネシウムです。紹介したナス管は、少しバラツキがありますが、全て正常に動作します。各社バラバラですが、適当に4本選び、プッシュプルやパラ・シングルのアンプに挿しても特に問題はないようです。(でもパラ・シングルとプッシプルには171Aは使用していません。シングルだけです)
 
次はST管の71A・・・・・・
 
71Aも、現在相当高価のようですが、私が購入したころは、だいぶ昔ですが、1本1500円か2000円位だったように思います?
 
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左側2本はRCA、右2本はケン・ラッド社の71Aです。
 
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こちらは元箱入りのナショナル・ユニオンの軍用JAN球の71A。中身はピカピカの非常に綺麗な球です。あと5本程持っていたのですが、「オーディオ父さんの独り言」のブログ名で知られる、自作アンプ仲間のKIYOさんにお譲りし、現在は6箱しか残っていません。この球は予備球です。
 
★KIYOさんが作った71Aパラ・シングル・アンプはこちらです。
 あとから、ゆっくり見てください。
    ↓
 
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この71Aはメーカー不明です。UNITED ERECTRON と書いてありますが、商社の名前だと思います。この球が一番多く所有しているため、アンプに多く使用しています。非常に特性が揃っています。今は、このUNITED ERECTRON と書いてある真空管をあまり見なくなりました。
これらの71A(171A)は2年ほど前に、アンプ作りを一度止めた時、全て処分(捨てることではありません)しようと思った球ですが、残した球です。
その時は、シングル用の小型出力トランスと共に、2A3をはじめ、200本ほどタダで処分してしまいました。去年から、このブログでもおなじみのKIYOさんとお会いしてから、再びアンプ作りの病気が再発してしまったのです。(あと10年位はアンプ作りをやるつもり。。出来るかな~? なので・・・これらの71A(171A)は私の「お宝」なので、もう、どなたにも譲るつもりは、ないです~。
 
■71A(171A)トランス結合シングル・
   アンプ
 
まずは、アンプの姿から・・・・これにボンネットが付きます。
ボンネット付きシャーシは、リード社のMK-350を使用しました。
写真ではナス管の171Aを挿しています。
 
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  ナス管やST管にMT管は似合わないのですが・・・・・ここではドライバーに12R-LL3又は、5965を使用します。どちらも内部抵抗が低い割にμが比較的高い球ですので、71Aのトランス結合には、もってこいの球ではないでしょうか。MT管なのが残念。製作当時は片ユニットだけの動作でしたが、昨年、メンテナンスした時にパラ接続としました、そのため12R-LL3の場合にはドライバーだけで何と9mAも電流が初段に流れます。
  このアンプの出力は約0.7Wですが、普段聴くなら十分な音量です。
また、このアンプは、B電圧切替により12A(112A)兼用のコンパチブル・アンプになっています。出力トランスの1次側Zpは7KΩとしているため、71A(171A)では少し高く、12A(112A)では少し低くなっていますが、まあいいだろう。。。。と良しとしました。
12A(112A)を挿した時の出力は71Aより、さらに小さく約0.3W位の出力となりますが、これでも十分な音量です。
電源トランスの5V端子が足らないので、整流管の80(80Kでも可)は6.3Vを抵抗で5Vに落として使用しています。
 71A(171A)とも12A(112A)とも小出力とは思えない素晴らしい音を出してくれます。特に中音~高音がきれいです。
そのうち、オールST管のトランス結合の71Aアンプを作りたいと思います。
 
■回路図です。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 
■CR結合71Aシングル・アンプ
 
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  このアンプはリードのボンネット付きシャーシのMK-300に組んだもので、30年以上前に作ったアンプです。そのため、トランスの塗装もシャーシ表面の塗装も、かなり劣化が見られます。
 
 そのため、このアンプは全て壊し、再塗装等を行い、全面的に作りなおすことにしました。イメージ 9
 このアンプもドライバーは、MT管で7ピンの6AV6を使用しています。
 作り直しにあたっては、オールST管でのアンプに変更し、回路も多少変える予定です。
 リニュアル(作り直し)は、今週からやる予定ですので、始まったら順次、ブログにアップしていきますので、ぜひ見てください。
  このアンプの回路図は書いてありませんので、省略しますが、6AV6を1本だけ使用したCR結合なので、あらためて回路図を紹介するほどではないでしょう。出力トランスとチョークトランスに今では入手困難なラックス製を使用しています。やはり出力0.7W位の小出力アンプですが、クラシックのヴァイオリン・ソロや室内曲を一人静かに聴くには最高のアンプだと思います。
 
【関連記事】
下記のアドレスをクリックすれば記事に繋がります。
■71A・ロフチン・ホワイト・アンプ完成
■71A・ロフチン・ホワイト・アンプの製作③(シャシー加工と使用真空管)
■71A・ロフチン・ホワイト・アンプの製作(部品集め・準備編②)
■71A・ロフチン・ホワイト・アンプの製作(計画・準備編①)
※この下の記事の71Aアンプは、今回とは別の71Aアンプです。
■下記の71A(12A兼用)シングル・アンプの周波数特性
71A(12A兼用)シングル・アンプの製作 ②
 アンプの回路図等の紹介があります。
71A(12A兼用)シングル・アンプの製作 ①
 アンプのシャーシの加工(修復)を中心の記事です。
■71A(171A)真空管とシングル・アンプ
 トランス結合の71Aアンプです。
■12A(112A)真空管と71A/12A/31コンパチブル・テストアンプ
上記のアンプの他にもあります
書庫の 「71A・12A・31アンプ集①」
にも71Aのパラ・シングル、プッシュプルアンプ等の製作投稿がありますので、こちらもご覧下さい。
 
では、今日は、このへんで・・・・・・・HIROちゃんでした。