今回は12A(112A)真空管と、テスト用のコンパチブル・シングル・アンプを紹介します。
■UX-12A(112A)真空管について
12Aは昔のマグネチック・スピーカーを使用したラジオに多く使われた真空管で、元々はナス管の112が原型です。この112は1925年に発表された球でフィラメントの規格は5V、0.5Aで光輝くトリタン製でしたが、1927年には5V、0.25Aなり、以後はトリタンではありません。
その後、ナス管からST管になり、日本でも多くラジオに使用されました。日本製の12Aは米国製に比べると、大きさが一回り小さく、76などと同じ大きさです。
私は真空管のコレクターではありませんが、12A(112A)を何本か持っていますので、紹介します。12A(112A)は、71A(171A)や45(245)等と共に私の最も好きな真空管の一つで、紹介する球は、全て私の「お宝」です。
※2014/08/28 追加投稿
112のフィラメントについて、「爺寿春助」さんから、コメント欄に、ご指摘がありました。読んで下さい。
■RCA112Aなどの「ナス管」
112Aなので、トリタンではありません。ナス管でゲッターは、
マグネシウムだと思います。RCA刻印のものです。

銀色のゲッターで中が全く見えないので刻印の裏側にしてみると・・・・・・

いかにも古い真空管っていう感じですね。
下の写真は「Van Dyke」と「DUOVAC」の112A、どちらも刻印入り。

これらの真空管は、おそらく80年位前?のものだと思いますが、多少バラツキがあるものの全て正常に動作します。
■日本製の12A
日本製の12Aです。どちらもマツダ製のものですが、左側の真空管には昭和18年4月製造とスタンプがありましたが、現在では、薄くなり、ほとんど読み取れなくなりました。この真空管は、30年ほど前、球屋さんに飾ってあったものを、無理にお願いして2000円で売ってもらったもの。2本とも多少エミ減が見られますが、2本とも正常に動作します。

次は松下製の12Aの「元箱入れ」です。箱の底には定価が260円とスタンプがあるので、戦後に作られたものだと思います。この真空管は親戚の叔父の電気店の倉庫にあった物を私が見つけ、タダで頂いたもの。東北の田舎町のだだ1軒の電気店でしたが、かなり昔に閉店しました。この真空管と一緒に松下の2A3(1本だけ)や、76、12Fなどの球も頂きました。

中身はピカピカの一級品!4本とも特性が揃っています。もう1箱あるのですが、断線は無いのですが全く動作しません。ピンの半田をやり直してもだめです。どこが悪いのか分かりませんでした。

この真空管は亡き叔父の形見みたいなものなので、手放すことが出来ません。
■UX-12A(112A)テスト用
コンパチブル・シングル・アンプ
(71A/31兼用)
このコンパチブル・アンプは12A(112A)の動作確認用に製作したもので、12Aの他、71A(171A)、31の電池管の動作が確認出来ます。
テスト用のアンプのため、12A、71Aの5Vと、31用の2Vのフィラメント電圧の切替のみで、B電圧の切替スイッチも付けず、プレート電圧(Ep)もかなり低くしてあります。また、テスト用ということで、ハムバランサーも抵抗2本で省略、バイアス抵抗も固定で12A、71A、31とも全て軽い動作としています。また、トランスカバーも付けていません。
参考までにUX-31は、フィラメント規格2V、0.13Aの電池管、日本のUX-12Aと同じ大きさの真空管です。
写真の左側からレイセオン、RCA、コロラド製の31です。プレートの構造が日本製の12Aと、そっくりです。

71A(171A)については、71A(171A)の未投稿のトランス結合シングル・アンプが、まだありますので、後日、あらためてアンプと一緒に紹介したいと思います。71Aのナス管171Aも何本かありますので・・・お楽しみに・・・

ドライバーは古典管に似合わない7ピンMT管の6AV6を使用しています。近々に71A(171A)・12A(112A)のオールST管を使用したコンパチブル・シングル・アンプを作る予定です。
前述のようにプレート電圧を低くして軽い動作にしているので、出力は、かなり小さく、12A、31で約0.2W、71Aでも0.3~0.4W位です。
それでも、能率の高いスピーカーであれば十分な音量です。動作確認用のアンプですが、繊細な明るい音を楽しむことが出来ます。クラシック音楽ならヴァイオリンのソロや室内曲にピッタリのアンプです。
■回路図です

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
次回は71A(171A)真空管とシングル・アンプを紹介します。
12Aアンプは下記のアドレスの他、「71A・12A・31」アンプ集の書庫にも投稿があります。(トランス結合もあります)
※下記のアンプはコンパチブルですが、なかなかのアンプです。
では、今日は、このへんで、・・・HIROちゃんでした。