前回までEL34/6L6GCのアンプは全てプッシュプル・アンプでしたが、今回はシングル・アンプを紹介します。しかもEL34/6L6系のコンパチブル・シングル・アンプ、おまけに三極管結合と五極管結合の切替、NFBのON/OFF切替、さらには・・・・・何と直熱管の6B4G(オクタルベースの2A3の6.3V管)も兼用できるという、コンパチブル・シングル・アンプです。
 多くの方が、このアンプのタイトルを見た時、EL34と6L6系のコンパチブルについては、それほど疑問は感じなかったと思いますが、何故、直熱管の6B4Gの兼用が可能なのか不思議に思われた方も多いのではないでしょうか。何故、6B4Gが兼用できるかは回路図の説明の部分で説明をするとして・・・・・まずは、その姿から紹介します。
 
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写真では、松下(ナショナル)製のEL34(6CA7)を挿してあります。
EL34の代わりに6L6GCなどでも良いのですが、直熱管の6B4Gを挿してみると・・・・・こんな感じです。(整流管は5AR4のままですが、出力管に合わせ、ST管タイプの5V4GなどでもOKです)
 
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6B4Gだと、見た目がだいぶ変わりますね。。。。。。。。。
配線の様子ですが、切替スイッチを5個も使用しています。・・・いつものように綺麗な配線ではないので、あまり良く見ないで下さい。
 
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■何故、6B4Gまで兼用で挿し替えができるのか?
 
EL34と6L6GCなどとはEL34のピン接続の1番ピンがG3で、6L6系はNCなので1番ピンと8番ピンを接続し、両方の球のプレート損失を超えないよう設計すれば基本的には、そのまま挿し換えて兼用が簡単に出来ます。
 しかし、どうすれば6B4Gも兼用に出来るかですが・・・・直熱の古典管アンプを作られた方であれば、回路図の電源部のヒーター(フィラメント)のハムバランサー部分の切替スイッチを見れば、その理由がわかると思います。
実は6B4Gのグリッドとプレート、ヒーター(フィラメント)のピン接続は6L6、EL34と同じなのです。(6B4Gのグリッド=6L6の第1グリッド) 問題は6B4Gは直熱管のためカソードがありません。したがって自己バイアスの場合は、フィラメントにハムバランサーを入れ、中点からバイアス抵抗とコンデンサを入れなければなりません。幸い6L6、EL34などのカソードピンの8番ピンは6B4GはNCです。従って、回路図のようにハムバランサー部分に切替スイッチを付ければ使用できるのです。6L6やEL34の時はハムバランサーからのアースとなり、好都合です。お分かりいただけたでしょうか?(なお、2A3や6B4Gの自己バイアスの場合、通常はバイアス抵抗は750Ωを使用しますが、ここでは800Ωにしました)
初段管には見た目も考え、6SL7を予定していましたが、ラジオ用の6AV6の手持ちが多くあったので、これを使用しました。6AV6は7ピンのMT管ですが、シールドケースに収めたためか、見た目の違和感はあまり感じません。(私の勝手な思い込みですが・・・・)
 
■回路図です。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 
試聴の結果ですが、6B4Gはフィラメントの点火が交流(AC)なので、若干ハムが出ますが、ほとんど気になりません。しかし、できればDC点火にした方がよかったと思っています。6B4Gは2A3に似た音を出してくれます。
意外といいのがEL34の三極管接続のNFBなしの音です。EL34の三極管結合が、こんなにイイ音がするのかと感心します。
 しかし、このアンプ、先の大地震(当地は震度6強!)で棚の小型スピーカーがアンプに落下、そのため写真でわかるように電源のブロックケミコンの頭がつぶれて破損しています。そのため、あらためて電源を入れ、各部の電圧を回路図に記入しようと思いましたが、危ないので止めました。新しくケミコンを交換しようと思いましたが、別のアンプを作りたいので、このアンプは部品取り用に解体の予定です。(最近はアンプが増えすぎたので、新しいアンプを作るときは、既存のアンプを壊して部品を流用するようにしています)
いつ壊すかわかりませんが、少しもったいない感じも少ししますね。。。。
  このアンプは、アマチュアだからこそ出来るアイディア・アンプだと思っています。このようなアンプを設計するのも楽しみの一つです。私が作るアンプの半分以上は、何種類かの球が使用できるコンパチブル・アンプのためか、ローカル仲間からは、「コンパチ・じじい」と呼ばれています でもコンパチブルは止めた方がいいです。切替のスイッチがないアンプならいいですが、ヒーター電圧やB電圧の切替までやると、スイッチ操作の間違いで球を一発で破損させます。・・・・・・・
 
【関連記事のご案内】
EL34、6L6のプッシュプル・アンプについては、書庫の「EL34・6L6系アンプ集①」に何台か投稿してあります。ぜひ訪問してみてください。
 
■ご参考
  「オーディオ父さんの独り言」のブログ名でおなじみのKiyoちゃんがEL34のパラシングル・アンプの記事を投稿しています。
 下記のアドレスをクリックすれば、直接Kiyoちゃんのブログ記事に繋がります。訪問してみてください。他にも真空管アンプの記事が満載です
 
では、今日はこのへんで・・・・・・・HIROちゃんでした。