今回は、テレビの純三極管の偏向用真空管を利用した、シングル・アンプを紹介します。戦後、日本ではオーディオ用の三極管としては6BX7の片ユニットのような東芝の6GA4をはじめ、6C-A10、6R-A8、8045G、6336Aなどが開発され、6R-A8、8045G、6336Aなどは、ラックスのアンプキットで多く使われていました。
6GA4以外は、三極管といっても構造的には多極管で内部で三極管接続された三極管です。何となくですが、三極管アンプは純三極管の方が音的にも魅力を感じます。あくまでも何となくですが・・・・・。
 しかし、テレビ用の真空管を見てみると垂直偏向用や垂直発振用などの偏向用真空管には、純三極管が多くあり、オーディオ出力管としても利用できる球がワンサとあります。GT管も多くありますが、双三極管も含めたMT管だけ見ても、6S4A、12B4、6CS7、6DE7、6EW7、6R‐AL1、6R-A6、6R-A9などなど、たくさんあります。これらの真空管は最大プレート損失も大きく、プッシュプル・アンプにすると、かなりの出力が期待できますが、今回は簡単な回路の6R-A9を使った小出力のシングル・アンプです。
 また、これらの球は、300B、2A3、45などの古典管のパワードライブには、非常に適している真空管だと私は勝手に思っています。古典管なので全てST管で・・・・・とか、凝ってくると同時代の真空管ばかりで・・・・・とか考えてしまうのですが、見た目に拘らなければ、テレビ管は大いに利用すべきだと思っています。
 
話がそれますが・・・・・・
 
■何故、テレビ管でアンプを自作するのか・・・・
 (私のアンプ作りの考え方・・・・・)
 
テレビ用真空管なら前述の偏向管以外でもチューナー用や、UHF用の高周波管などの多くが、アンプ前段の12AX7や、12AU7の代わりに低周波電圧増幅用としての利用も十分可能です。(テレビ管は本来オーディオ管ではなく、設計上、ノイズ対策がどうのこうの・・・・三極管としての直線性が良くないのでオーディオ用としては云々・・・・・と言われる方は、使わない方がいいと思いますが・・・・・・) 私は使われなくなったテレビ管やラジオ管でも利用できるものは大いに利用して楽しむべき。それがアマチュアの真空管アンプ自作者の面白いところではないかと考えています。・・・・・・
 私は、もちろん音にもある程度、拘るところもありますが、私は単に真空管アンプを作る事が好きなのです。
 測定器を使用して、歪率や残留ノイズ、周波数特性などの諸特性の良いアンプを作ることこそ、アマチュアだから出来る事で、音の追求ができると思うのですが、私のアンプ作りのタイプは少し違います。
私の耳で普通に音楽を聴くのであれば、20Hzの超低音やネズミじゃないので15KHzの音などの超高音は、ほとんど聴こえません。ですから周波数特性は、それほど拘りません。正直、笑われるかもしれませんが私の耳には、カマボコ特性の音が心地よく聴こえる時が多いのです。
結果的に作ったアンプの諸特性を友人宅で測ってもらったら・・・・・う~ん、こんな特性だったのか・・・・で私は十分。あまり追求はしない。
 300Bが真空管愛好者の間で、多くもてはやされますが、300Bばかりが真空管ではありません。マニアの方の中には、三極管アンプしか作らない・・・・・・ビーム管の音は嫌い、あるいは大好き・・・・アンプは出力100W以上・・・・欧州管しか作らない・・・・なんでもいいんです。
 ラジオ球と、ちっちゃな出力トランスで作ったアンプや、ミワッターアンプの音がたとえブーミーなラジオ声のアンプでも・・・・・、いろいろな出力管を50V以下の低電圧アンプで作って音が出た~・・・という楽しみ方でも・・・・なんでもOK。ラジオ声でも、それなりの音の楽しみ方があるのでは・・・・というのが私のアンプ作りのポリシー。
アンプを作られる方のタイプは、いろいろです。
(諸特性を重視されるマニアの方は、測定器のデータやオシロの波形などを見ながら・・・・いろいろと追求すればいいのです。私は金がないので測定器は買えずテスターのみ)
今、手元にあるテレビ管の多くは、昔(中学時代)使い方もわからずに、電気屋の裏庭などに捨ててあったテレビから、黙って引っこ抜いて集めたものや、秋葉原で50本位ビニル袋に入れて300円位で買った球が多いんです。それを使ってアンプを作るのが楽しいのです。
 
前置きが長くて・・・・ごめんなさい。では、本論に戻して・・・・・
 
6R-A9のシングル・アンプです。 
 
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リード社で販売されている汎用ケースをアンプケースとして、コンパクトに組み込みました。
 
部品の配置は、こんな感じ・・・・・・・・・
 
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今回、使用した6R-A9の写真です。左が6R-A9、ご参考に右側は、特性が少し似ている6R-A6です。(※写真は、ヒーター規格9Vの9R-A6です) 同じプレート損失10Wの球で見た目も同じように見えますが、良く見ると6R-A6の方がプレートも大きく、グリッドも大きいです。見た目、6R-A6の方がアンプにしたら、イイ音が出そうです?
 
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■回路図です。
 
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このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だと思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
 B電源は、6X4による、半波(片波)整流、平滑用のチョークトランスも500Ωの抵抗で代用していますが、三極管でも傍熱管のためかハムは全く聴こえません。
 前段のドライブ管は6R‐A9のバイアスが低いので、12AU7でも十分、ここは少し適当ですが12AT7でも、12AX7やそれらの類似管でもOKでしょう。
 聴いた感想も適当ですが、芯のしっかりした音に感じます。
なお、NFB回路にON、OFFスイッチを付けてみましたが、ONにすると音が奥に引っ込みすぎる感じになり、NFB無しのOFFの方が、私には心地よく聴こえます。
なお、出力は、1.2Wくらいです。十分な音量です。
 
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では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした。