前回は、ウエスタンの310Aを初段管に使用したWE-300Bシングルアンプを紹介しましたが、今回は300B/2A3兼用のコンパチブル・シングル・アンプを紹介します。なお、このアンプは、300B/2A3/6A3/45/VT-52のコンパチブル・ロフチン・ホワイトアンプ製作のため、出力トランスのU-808を取り外してしまったこと、また、電源トランスも他のアンプ製作に流用したために現存していません。(このアンプは1994年に製作したものです)
なお、300B/2A3/6A3/45/VT-52のコンパチブル・ロフチン・ホワイトアンプについては、あらためてロフチン・ホワイト・アンプ集②で順次、紹介します。

壊す前に撮った写真です。この写真では300Bではなく、2A3が挿してあります。(300Bでも撮れば良かった)
■解説と回路図です
特に説明は必要ないかもしれませんが、300Bと2A3の切替は、フィラメント回路の電圧切替だけです。この回路ですと300Bでも2A3でも、ほぼ同様の動作となります。
このプレート電圧等で2A3がOKなのか?と疑問を持たれる方が、おられるかもしれません。通常、2A3の動作例はEp250V、Ip60mA、Eg-45V(RK750Ω)となっていて、この場合、プレート損失(Pd)はEp250V×Ip60mA=15Wです。
このアンプの回路の場合、RKは1KΩなのでバイアスの電圧は高くなりますが、電流は51mAと750Ωより少なくなります。このアンプの2A3の動作時のプレート損失は、プレート電圧(340V-51V)×51mA=14.7Wとなり、2A3の最大Pd規格(15W)はオーバーしていないため安全値内です。
少しうるさい方は、「Ep、Ipの特性カーブから見ると適正なバイアス電圧ではない」と、おっしゃる人もおられると思いますが、このアンプの場合、基本的には最大プレート損失を超えない設計であれば特に大きな問題はないと考えます。(コンパチブル・アンプ設計では、このプレート損失が、どの球を使用してもオーバーしないよう設計することが重要だと考えています。)
なお、電源トランスには300B用の5V端子が無いので6.3Vに1.1Ωを付けて5Vにしています。 (6.3V-5V)÷1.2A(300BのIf)=1.0833Ωで1.1Ωにしました。これでばっちり5Vになります)
また、6SL7のヒーターは、トランスのヒーター巻き線が足らないので出力管と共有していますが、特に問題はないと思います。

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないでください。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だと思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
このアンプでは、300Bでも、2A3でも低域から高域までバランスの良い音で楽しめます。出力トランスのU-808は、かなり昔のトランスですが、癖のないOPTだと思っています。お金があれば・・・・もっと買えたのに
)

300Bシングル・アンプは、前回のWE-310Aドライブのものや、今回紹介したアンプの他にも、6SL7のSRPPドライブのものや、ST管の6Z-DH3Aを使ったものなどを作りましたが、全て2A3などとのコンパチになっています。
【関連記事】・・・ブログ内の他の300Bアンプです。
WE-310AとWE-300Bのシングル・アンプの製作記事です。
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■WE-310A、WE-300Bシングル・アンプ(GF回路採用)
■WE-300Bシングル・アンプの紹介
では。今日はこのへんで、・・・・・・HIROちゃんでした。