今回はRCAの送信管843を使ったシングル・アンプを2台、紹介します。
RCAの843については、1990年頃?の「無線と実験」(MJ)に那須好男氏がカソード・ホロワー・ドライブの843シングル・アンプの製作例と共に、詳しく紹介されています。

那須氏の解説によると、RCA843は、ウエスタン・エレクトリック社のナス型の傍熱三極管WE-271Aのライバル?と説明しています。このWE‐271だとシングルで出力約2.5W程度のアンプになるようです。RCA843の規格と動作例を見てみると、
Ef=2.5V、If=2.5A、最大Ep 425V 、 最大プレート損失 12W
【A1動作例】
Ep 425V、 Ip 25mA、Eg -35V、 rp 4.8K、RL 12K 、Po 1.6W
となっていますが、この規格をみると直熱三極送信管のVT-25(10)
の特性にも似たところがあります。
VT-25は明るく輝くトリウム・タングステン・フィラメントですが、843は酸化物皮膜のヒーターです。
VT‐25(10)も、このRCA843も高電圧低電流タイプでグリッドがプラスの領域まで、Ep-Ip特性のリアリティが、きれいな送信管の特徴を持っています。
那須好男氏のアンプは、カソード・ホロワー・ドライブで設計されていますが、ここでは簡単な自己バイアスで設計、製作しました。
1号機は、20年ほど前に作ったもので、初段には6SL7を使用したもので、山水の出力トランスHS-5を10KΩとして使用していましたが、その後、このHS-5を71Aのシングルの製作のため、取り外し、電源トランスも別のアンプに使用したため解体してしまい、843は棚の奥にしまっていましたが、今年(2014年)になってから再び843の音が聴きたくなり、別の壊したアンプのシャシーの残骸を利用し、新たに作り変えたものです。

写真で見える電源部のチョークトランスには FUJITAKE (フジタケ)と書かれています。多分、昭和43年頃の高校生の時に作った6GA4のシングルアンプに使用したもの?だと思います。この写真は2号機ですが、1号機の回路図もご参考に末尾に掲載します。
■回路図です

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だと思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
出力トランスは843の内部抵抗を考慮すると、最低でも10KΩ以上は欲しいところですが、適当な手持ちがなかったため、中古のノグチトランスのPMF-10WSを7KΩで使用し、これで良しとしました。初段管を何にしようか迷いましたが、12AX7のパラにしました。
試聴の結果ですが、出力は、やっと1.5W位ですが、傍熱管でも送信管らしく、きめ細かな線のしっかりした音で、特に中~高域は艶やかに感じます。
1号機の測定電圧の入った手書きの回路図が残っていましたので、書き直して下記に掲載します。こちらも基本的には2号機と同じCR結合ですが、B電源はシリコン整流、初段管は6SL7(1/2)となっています。OPTは山水のHS-5を二次側で切替え、見かけ10KΩで使用しました。
このトランスは小型の狭帯域のf特OPTですが、実に聴きやすいご機嫌な音を出してくれます。

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また、今後も、他の送信管アンプも紹介しますので、お楽しみに・・・・・
では、今日は、このへんで・・・・・・・HIROちゃんでした。