インドネシアはジャカルタを中心に10年以上ミュージシャン・俳優として活動しています、加藤ひろあきです。ここ数日のデモに関する投稿にたくさんの反応頂きありがとうございます。頑張って書いた甲斐がありました!励みになります。テリマカシ。
今日も懲りずにインドネシアの現状について書いてみたいと思います。どうぞお付き合いください。
みなさんもご存知かと思いますがジャカルタにおいては昨日、今日とデモは比較的落ち着いています。ですが、地方に目を向けるとバンドゥンで昨晩夜中に大学内に警察隊が乗り込み、催涙弾を打ち込むという事態が発生しました。
Area Kampus Unisba dan Unpas Bandung Ditembaki Gas Air Mata
記事タイトル: 「バンドンのUnisba大学とUnpas大学のキャンパス周辺が催涙ガスで攻撃される」
「Unisba: Universitas Islam Bandung」、「Unpas: Universitas Pasundan」という二つの大学に催涙弾が打ち込まれたという話なのですが、状況を見ると事態を混乱・暴徒化させたいと思われるデモ隊を装った黒服の集団が警察隊を威嚇し大学に逃げ込んだ為、大通りに催涙弾を打ったとのこと。その煙が風に乗って大学内にまで到達したというのがことの成り行きのようです。
“Sepanjang pantauan saya, baik melalui laporan maupun langsung saya lihat di CCTV di sini, saya lihat pantauan di sini, kami tidak melihat aparat kepolisian walaupun berpakaian preman masuk ke area kampus. Itu murni semuanya demonstran, ya saya sebutkan, pendemo, yang tadi di sweeping masuk ke area kampus," kata Rektor Unisba, Harits Nu'man, saat memberikan keterangan pers di Unisba, Selasa (2/9).”
「私の確認の限りでは報告を通じても、ここで直接CCTVを見ても警察官が私服であってもキャンパスエリアに入った様子は見られなかった。完全にデモ参加者、つまり先ほど一斉取り締まりでキャンパス内に入ってきたデモ隊だけだった」と、Unisba大学学長Harits Nu'manは 9月2日(火)、Unisbaでの記者会見で述べた。
「Mereka membuat framing di media sosial melalui akun-akun mereka bahwa petugas masuk ke kampus, membawa senjata peluru karet, dan menembakkan gas air mata. Semua itu adalah hoaks. Faktanya, di lapangan tidak ada satu pun petugas yang masuk ke area kampus, dan tidak ada petugas yang membawa senjata," kata Hendra, dalam rilis yang diterima wartawan.
"Setelah kondisi Jalan Tamansari bisa kami kuasai, situasi kembali aman dan kelompok berpakaian hitam tersebut melarikan diri," sambung dia.」
「彼ら(黒服の集団)は自分たちのアカウントを通じてSNS上で、警察隊がキャンパスに入ってきてゴム弾を持ち込み、催涙ガスを発射したといった“フレーミング”を行っている。しかし、それはすべてデマだ。実際には現場でキャンパスエリアに入った警察隊は一人もおらず、武器を持っていた警察隊もいなかった」
やはり意図的に暴動や対立を生み出そうとする者たちが存在することが濃厚になってきています。インドネシア人は皆そのことをわかっているので方々で対策し、注意深く行動しています。
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ただ、デモはこの二日間を通して新たなフェーズに突入したということができるかもしれません。
先日のデモは一部で暴徒化しバス停を含めて公共施設が燃やされたりもしましたが、国会も政府もこのデモを受けて問題とされていた「国会議員の手当」を基本的に廃止することを決め、旅行だと批判されていた「国会議員の海外視察」も当面凍結することを発表しました。
これはデモが一定の成果を得たということで国民の命を賭した行動が政府や国会を動かしたとも言えます。暴徒化はしない方がもちろんいいのですが、インドネシアのこのパワー自体は圧巻で、見習うべきところだと個人的には感じています。
さて、「新たなフェーズ」と言ったのは以下に紹介するこんな動きが出てきたからです。
"Poin-poin Lengkap 17+8 Tuntutan Rakyat untuk Pemerintahan Prabowo" selengkapnya di sini:
記事タイトル:「国民からプラボウォ政権への17+8の要求詳細」
この要求は「17+8」というタイトルで現在SNSに急速にシェアされている政府への提言、要求です。この要求策定の中心になったのは超人気インフルエンサーのJerome Polinで、一昔前は早稲田大学数学科に通う学生として日本でコンテンツを作成していましたが、現在インドネシアに戻ってインフルエンサー活動をする傍ら、教育関係の活動や様々なビジネスを展開しています。そのJeromeと数人のチームが登録者数1000万人を超えるYouTubeやもう間も無く1000万人に届くインスタグラムでフォロワーから政府への要求を募集し、それを集計し「国民の声」としてまとめたのがこの「17+8」だと言われています。
Jerome Polin cs Desak Pemerintah Penuhi Tuntutan 17+8, Apa Itu?
その内容は以下のようなものです。
即時に実現を求める17項目(~2025年9月5日まで)
1. 市民の治安維持からTNI(軍)を撤退させ、デモ参加者の犯罪化を行わないことを保証すること。
2. アッファン・クルニアワン氏および8月25日~31日の行動で犠牲となったすべてのデモ参加者の死を調査するチームを設置すること。
3. 国会議員(DPR)の手当、給与、新しい特権の引き上げを凍結すること。
4. 予算の透明性を公開すること。
5. 国会の倫理委員会に問題のある議員を調査させること。
6. 非倫理的で国民の怒りを引き起こす政党幹部を解任または処分すること。
7. 政党が国民の側に立つという公約を発表すること。
8. 政党幹部を市民との対話の場に参加させること。
9. 拘束されたすべてのデモ参加者を釈放すること。
10. デモ警備における過剰な弾圧と暴力をやめること。
11. 弾圧を命令または実行した職員や関係者を逮捕し、法的に処罰すること。
12. TNIを直ちに兵舎に戻すこと。
13. TNIが警察の職務を引き継がないようにし、内部規律を徹底すること。
14. 民主主義の危機の中で市民空間に介入しないこと。
15. 労働者に適正な賃金を保障すること。
16. 政府は大量解雇を防ぐための緊急措置を講じること。
17. 低賃金やアウトソーシング問題の解決に向けて労働組合と対話を始めること。
長期的に実現を求める8項目(~2026年8月31日まで)
1. 大規模に国会(DPR)の浄化と改革を行い、監査を実施し、議員の資格要件を引き上げること。
2. 政党改革:政党は財務報告を公開し、監視機能を適切に果たすこと。
3. 公正な税制改革を行うこと。
4. 資産没収法案を成立させること。
5. 警察を改革し、専門的かつ人道的な組織にすること。
6. TNIを兵舎に戻すこと。
7. 国家人権委員会(Komnas HAM)およびその他の独立監視機関を強化すること。
8. 経済および労働政策を見直すこと:国家戦略プロジェクト(PSN)、ダナンタラのガバナンス、雇用創出法(UU Ciptaker)の評価を含む。
この「17+8」の要望の面白いところは具体的な項目もそうですが、そこに期限が付いているということ。
ウェブサイトを見るとそれぞれの項目が達成されたかどうかの目印も付けられており、要求するだけでなくそこから監視を続けて推移を見守りやすくしています。こういう活動は概して主張して終わりになってしまうことが多いのでゲーム形式でこうしてポップに追えるのはクリエイティブなアイデアだなと感心します。
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これに付随して、この政策提言に使われているフォントやデザイン、そして色合いが新たなムーブメントを生み出しています。その名も「Brave Pink Hero Green」です。
Pinkは報道写真でバズった武装したデモ隊に1人で立ち向かうピンクのジルバブを被ったおばちゃんから取られていて「Brave」、Greenはデモで命を落としたOjolドライバーAffanさんが着ていたジャケットの色から取られて「Hero」を表しています。
この独特の少しレトロな緑とピンクの色合いをアイコンデザインや様々な主張ポストに反映させて、ハッシュタグ「#ResetIndonesia」を付けて投稿するのが一つのトレンドになっています。
早速、ワンクリックで写真をこの「Brave Pink Hero Green」テイストに変えるサイトも登場し、みんなのアイコンがこのデザインに置き換わり始めています。こういうトレンドを生み出すのは本当に上手いのがインドネシア。
かくいう僕もアイコンをこのデザインに変えました。エンタメ要素も伴ったこの活動の行く末に凄く興味があるので、自分もその一部となって参加しながら様子を見ていきたいと思います。
ちなみにサイトはこちら。興味ある方はどうぞ。
この「Brave Pink Hero Green」のデザインにはしっかりとデザイナーが関わっているそうで「デザインがダサいものは出鱈目だ。政府や活動を邪魔する煽動者からの罠だから注意」と言っており、面白いなと。それだけを判断基準にするのは危険ですが、ここからは更にスマートな形で抗議をしていくぞというアート界からの宣言でかっこいいです。
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最後に今日ジャカルタで行われた心温まるデモについて書いて終わりにしたいと思います。
Ojol Bagikan Ribuan Mawar dan Beri Pelukan kepada Personel TNI-Polri di Monas
記事タイトル:「モナスでオンラインバイクタクシー運転手が数千本のバラを配布、インドネシア国軍と警察の隊員に抱擁も」
今日、大規模なデモ行進が行われましたがOjolがバラの花を用意し警戒にあたる警察、軍の人たちに配りながら歩いたのです。この活動は仕組まれた扇動には決して乗らない、この国を平和に安全に変えていくのだというインドネシア国民の決意表明に見えました。
パフォーマンスだっていいじゃない、これができたことが大きな一歩です。
ボランティアで燃やされたバス停の片付けをしてる人たちも、落書きを消してまわっている人たちも、そんな人たちに無料の水や食料を渡す人たちもみんなこの国が少しでも良くなるようにときっと願って行動しています。
インドネシアで外国人として生きる自分に何ができるのか。まずはこうして日本語で伝えることなのかなと思っています。
綺麗事かもしれないけれど、みんなで手を取り合って素敵な未来を掴みにいきたいです。また更新します。テリマカシ!
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