断食から18日が経過したインドネシアはジャカルタからこんにちは、加藤ひろあきです。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

前回、「断食月:ラマダン」関係で一曲ご紹介しましたが、今日も「ラマダン」やこの後の「断食明けの大祭:レバラン」に関連して宗教的な一曲をご紹介します。

 

 

今回は4月4日にリリースされたばかりの楽曲「Al Majiid」をご紹介。

 

この楽曲はバリ島出身の作曲家・プロデューサー「Ammir Gita」とバンドゥン出身の作曲家・バイオリニストの「Achi Hardjakusumah」の二人の共作として発表されています。

 

「Al Majiid」とは「アッラー九十九の美名」と呼ばれるイスラム教がクルアーンやスンナに示す神の様々な呼び方の一つであり、「アッラー」を表しています。

 

この楽曲のテーマは「帰(る)」ということ。

 

「伝統的に断食月:ラマダンが終われば、みんな断食明けの大祭:レバランの時期にそれぞれの故郷に『帰』っていく。そして人間は誰しもやがて創造主の元に『帰』っていく。この楽曲はその事を表現したくて作った」

 

とAmmirはインドシアの音楽系メディア「Pop Hari Ini」のインタビューで語っています。

 

 

共同制作者のAchiは、この楽曲がインドネシアの宗教的な音楽に新しい色を付け加えてくれるのではないかと話していて、その理由としてまず、ヒーリングミュージックの作曲とプロデュースを得意とする「Ammir」が制作に関わった事で、「ヒーリング」の要素が多分に盛り込まれることになった点を挙げています。

 

実際、Ammirはヒーリングミュージックを数曲リリースしていますし、ソーシャルメディアでもインドネシアの様々な伝統楽器とコラボレーションを通じて民族的な特徴を取り入れたヒーリングミュージックの構築にトライしたりしています。

 

今回は楽曲にヒーリングの要素が入り、曲の後半には歌の後ろで「takbir」と呼ばれる「「アッラーは最も偉大なり」を意味するイスラム教の慣用表現」が繰り返し流されています。

 

この「Takbir」やイスラム教における礼拝への呼びかけである「アザーン」はその旋律が本当に美しく、僕の大好きなバンドColdplayがヨルダンで行ったライブのエンディングは鳥肌が止まりませんでした。

 

 

話を戻して、もう一つの理由としてはいわゆる「オリエンタルスケール」を使わなかったこと。

 

この「オリエンタルスケール」とは中近東でよく用いられている音階で、アラブでは「マカーム・ナワサル」と呼ばれているものです。音階を書くと「C D Eb F# G Ab B」と1オクターブ内に4つの半音程あるのが特徴です。

 

よくわからんわ!って方はこちらをご覧ください。

 

 

かえるの歌をマカームで弾くのおもしろすぎ。

 

と、普通のイスラム宗教かはこの音階を使うことが多いわけですが、今回紹介した楽曲「Al Majiid」はそうではなく僕らが普段からポップスなどで耳にする普通の音階で作られていますよということです。

 

そして最後に歌詞を敢えて英語にしたという点。

 

イスラム教のニュアンスを持っている楽曲もその美しさをユニバーサルに表現して伝えることができるんだということですね。

 

「I'm comming home to you, I'm comming home to you. Lord of mercy, lord of mercy.」

 

と最後の部分で繰り返し謳われていますが、このバックに先ほども書いた通り「'Allahu Akbar':アッラーは偉大なり」という言葉が旋律とともに取り込まれています。

 

非常に美しい一曲なので、「イスラム教」とか「アッラー」とかを一度置いておいて是非聴いてみてください。

 

 

個人的には、バリ島出身の「Ammir Gita」がこれをプロデュースしているのは面白くて、バリ島といえばヒンズー教の割合が最も多い地域なので、本人とお話ししたことがないのでAmmirさんがイスラム教かヒンズー教かはわからないのですが、それでもヒンズー教が生活の中に溢れている環境で育っていることは間違いなくて、その彼がイスラム教に関連するこの楽曲を手掛けているのは興味深いです。
#その辺りのことが書かれているインタビュー記事などは見つけられませんでした。。。

 

ちなみに「Achi Hardjakusumah」は僕の活動を追ってくれていたり、ライブをインドネシアで見に来て下さっている方には馴染みの顔だと思いますが、僕のバンドでバイオリンを弾いてくれています。

 

僕のシングル曲「Tidak Apa-apa」や「Saa IKou! feat. Ayana Shahab」ではサウンドプロデュースも担当してくれていて、僕の音楽活動を支えてくれているミュージシャンの一人です。

 

 

 

Achi自身はイスラム教徒で、今回この楽曲「Al Majiid」を制作し発表できた事をすごく喜んでいました。イスラム教徒だけでなく、もっと幅広い方々に聴いてもらいたいと話していたので、この機会に皆さんも是非聞いてみてください。

 

というわけで、今日は「Ammir Gita」「Achi Hardjakusumah」の共作シングル「Al Majiid」をご紹介しました。

 

それではあなたにとって今日が昨日よりちょっとでもいい日になりますように。

 

ひろ。

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