本編に入る前に告知です。
加藤ひろあきが翻訳をしているインドネシアの小説「珈琲の哲学」がぎょうせい出版から絶賛発売中です。
表紙はグラフィックデザイナーの坪島未来さんにお願いし、この短編集を表現する最高に素敵な表紙に仕上げてもらいました。
インドネシアの現代ベストセラー作家「ディー・レスタリ」の短編集。
映画化されて大ヒットした短編「Filosofi Kopi」も収録されており、読み応えのある作品です。面白い読書体験になると思いますので、ぜひお手に取ってみてください。
よろしくお願いいたします。
さて、今日も「PPKM Darurat:緊急公衆活動制限」15日目のインドネシアの模様をお届けしたいと思います。
まずはなんと言っても、このニュースでしょう。
人材・文化開発担当調整相:ムハジル・エフェンディ氏が政府会議を終え、「PPKM Darurat:緊急公衆活動制限」の今月いっぱいまでの延長を発表しました。
当初は7月20日までとされていましたが、一向に下がらない新規陽性者・死亡者の状況を鑑みて7月31日まで延期されました。つまりあと2週間の延期です。
この2週間の延期を受けて大打撃を受ける職種は何個もありますが、中でもショッピングモールは100%の営業停止を受けており、非常に厳しい状態が続いています。
インドネシアショッピングセンター経営者協会(APPBI)はこの延長によって、いよいよショッピングモールの営業は立ち行かなくなり、これまで自宅待機や給与の一部カットでどうにか凌いできた従業員を解雇せざるをえないところが増えると警告しているのが上記の記事です。
ショッピングモールは多くのテナントを抱えて、そこからの賃貸料や売り上げで利益を得ているわけですが、そもそもモールを開けられないのに賃貸料を要求すれば、当然その店がきつくなり、契約を更新しなかったり、賃貸料の滞納をしたりするわけで、しわ寄せは結局テナント側に来て、その影響でテナントで働いていた従業員が解雇されるという流れはこれからさらに加速しそうです。
活動制限が継続される割に、コロナ関係の数値はまったく改善の傾向を見せず、際立った補償もないことから、企業にも国民にも不満が溜まってきています。
こちらはメダンで起きたコーヒー屋台のおじさんが取り締まりを行った警察と言い合いになった末にお湯をかけて応戦したというビデオ。
さらにはマランという都市ののとあるカフェでは、警察用の特別価格を用意し、通常より高い価格でコーヒーを売っているというのが以下の記事。
「今は店の運転資金も底を尽きかけていて、割引のプロモーションなどができないので、だったら支援とかなんとかいってる政府や警察に3倍の値段で売ってもそれを買って支援してくれるだろうと思ってやってます」とはオーナーの弁。
まあ、こういったニュースはくすっと笑いたくもなるニュースではありますが、国の対策やその進め方に不満を持っている人は多いですし、何よりも生活していけなくなってくるので、ジャカルタでも制限を無視して活動を始める人はこの先増えていくと考えられます。
そんな中、モデル・タレント・俳優として活躍する「Didi Riyadi」さんがジョコ・ウィドド大統領宛の公開書簡を自身のソーシャルメディアにアップし、反響を呼んでいます。
その内容は、「『PPKM Darurat:緊急公衆活動制限』を拒否する」というもの。
・「PPKM Darurat:緊急公衆活動制限」が目立った効果を発揮できていないこと
・この政策によって大量の労働者が解雇されていること
・政府が指定した「必須分野」とそれ以外という区分に関して月給を受け取っている人々にとってはそういった区分が当てはまるかもしれないが、日銭を稼いで生きている人たちにとっては全ての職種が「必須分野」であり政府から支援もなく苦しんでいる現状を鑑みるべきということ。
・大した効果を発揮していないのだからもっと別の方法を検討すべきで、それは中間層やそれより下の貧困層の、本当に経済的に打撃を受けている人々の生活に寄り添った形であるべきだということ。
まとめるとだいたいこのような内容で、それが非常に丁寧なインドネシア語で書かれています。ジョコ・ウィドド大統領への敬意は示しながらも、エンターテインメント業界を含めて非常に厳しい局面を迎えていると訴えていて、今急速に拡散されています。
と、ちょっと気が重くなるような展開ではあるのですが、それでもこの国に生きる人たち(僕も含めて)には明日がやってきて、ご飯を食べて生きていかなければならないわけなので、少しでも可能性があることにはトライして、感染を避けながらも生き抜く方法を模索して頑張っていくしかなさそうです。
国と国を比べるものでもありませんが、様々なことに「補償金」が付く日本はやっぱりすごいな〜とも正直に思っています。
お互い健康で過ごしていきましょう!
いい週末にしましょうね。
あなたにとって、今日が昨日よりちょとでもいい日でありますように。
ひろ。