インドネシアのエンターテイメント界で活動している僕の目標の一つに、インドネシアの方に日本をもっと身近に感じてもらったり、日本のコンテンツに触れてもらえる機会を増やしていくということがあります。

 

そういう意味で、僕がジャカルタに拠点を移した2014年よりも前から活動を行っていて日本とインドネシアの距離を縮めるのに大きな役割を果たしてくれているグループに「JKT48」があります。

 

こちらに来て最初のうちは僕自身イベントなどへの出演もままならず、JKT48の皆さんが立っているような大きなステージには立てませんでしたが、有難いことにここ数年はステージでご一緒させて頂く機会が増えました。

 

そもそもは2013年に六本木ヒルズで行われた「インドネシアフェスティバル」にJKT48からジェシカ・フェランダさん、センディ・アリアニさん、そしてナビラさんの3名がゲストとして参加されており、そこで僕がMCを担当したのが初めてのお仕事だったのですが、それからずっと僕も個人的にJKT48を応援させてもらっています。

 


*みんな、若いne!!!(mcrafttkhさんの動画より)

 

この時ご一緒した御三方はすでにJKT48を卒業されていますが、その後お仕事で一緒したり、個人的にも交流を続けさせて頂いており、それぞれ未だエンターテイメント界で頑張っている同志でもあります。ありがたや。

 

さて、そんな「JKT48」ですが、昨晩こんな動画がYouTubeチャンネルにアップロードされて大きな話題になっています。

 

黒いバックに「発表」とだけ表示されたサムネイルに様々な憶測が流れましたが、実際にビデオを観てみると、元JKT48メンバーで現在は同グループのGMであるメロディー・ヌランダニ・ラクサニさんから以下のような発表が行われました。

*内容は要約です。

JKT48は新型コロナウイルスが発生した3月後半から主要な活動のほとんどを制限せざるを得ない状況になった。JKT48シアターでの活動はもちろん、握手会などの活動はまったく行うことができず、その分オンラインでのライブイベント配信、オンライン2shotイベントなどを行ってきた。

 

現在、JKT48はアカデミー生を含めて約70人のメンバー、50人の運営スタッフが毎日稼働しているが、シアターでの活動、握手会、コンサートが開催できない今、ビジネス面での損失は計り知れないものとなっている。

 

そして今、いよいよ現在のシステムで活動を継続するのが困難な状況になった。この数ヶ月間、運営チームや株主が9年間続いたこの「JKT48」が解散以外の選択肢を取れるよう話し合いを続けてきた。

 

話し合いの結果、新型コロナウイルスで苦しい、厳しい今のような状況だからこそ「JKT48」はインドネシアの方に元気やポジティブなものを届け続けるべきだと判断した。

しかし、現在のシステムでの継続は不可能。

 

よって、今後の活動継続のため、メンバーとスタッフの人員削減を行う。

 

なかなか生々しい「発表」にびっくりしましたが、いよいよエンターテイメント界にも目に見えて影響が出始めました。

 

いや、本当はもう当の昔、半年以上前からエンタメはひっそりと減っていっていました。

 

ある程度名前が売れていて、お金の蓄えは多少あるというタレントやミュージシャンはまだしも、まだエンターテイメントだけではご飯が食べられないような人たちは軒並み5月、6月、7月に廃業していました。

資金がショートして撮影が継続できない映画やドラマ、テレビ番組が多発し、イベントを企画運営するイベンターの皆さんも軒並みその姿を消していきました。

 

僕の友人のミュージシャンでも、このコロナをきっかけに音楽をやめた人が何人もいます。生きていけないのです。この国のアーティストの収入源であるイベントが開催できないので。

 

「JKT48」は僕らと比べても遥かに大所帯です。

だからこそ魅力もあるわけですが、この状況下での運営が困難を極めていることは容易に想像できます。

 

それでも、前に進む判断としてこの発表を行った「JKT48」は流石だなと思いました。

 

インドネシアの特にエンタメ界では、タレントやグループにとってマイナスの情報を発表する、ましてや「現在うまくいってませんよ」と伝えるなんていうことはほぼ行われません。

内部のこと、現状を赤裸々に伝えていくという方法はこのインドネシアエンタメ界でほとんど取られていない手法です。

ましてや、「JKT48」のようにある程度の地位を獲得していて、活躍しているグループがそれを行うインパクトたるや相当なものです。

 

でも、それこそが48グループの真髄なのではないかなとも思うのです。

ファンとアイドルが一緒に成長していくのが48グループなんだと聞いたことがあります。だとすれば、この困難も分かち合ってファンと一緒に乗り越えたいという運営側の願いなんだろうと思います。

 

自分ごととしてこの問題に向き合うファン、それはもはやただのファンではなく、「仲間」になっていくのだと思います。

昨日の動画を観ていた方の中には、「仲間」が助けを必要としている時に助けられなくてどうする!と火が点いた方も多かったのではないかと推測します。

 

さらに、ここから削減されるメンバーの物語も始まります。

ファンの方々にはそれぞれ「推し」と呼ばれる応援しているメンバーがいるわけですから、その方達を巻き込んだドラマが今後繰り広げられるのでしょう。

 

それもエンターテイメントと言ってしまえばそれまでなのですが、それでも人の将来や未来がかかっていることなので、これも自分ごとして味わう方が増えるでしょう。

 

そのストーリーを乗り越えた先にまたどんな未来を描いていくのか。

僕も同じエンタメ界で活動するものとしてその行く末をしっかりと見守りたいですし、僕に出来ることがあるならば支援し、応援していきたいと思っています。

 

断腸の思いではあると思いますが、この決定と発表が「JKT48」をさらに魅力ある、素晴らしいグループにしていくことを祈念しています。

 

今日は「JKT48」が昨晩行った「発表」について書かせてもらいました。

 

みなさんにとって、今日が昨日よりちょっとでもいい日でありますように。

 

ひろ。

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