僕がよく行くあるBarでの話です。
何杯か飲んだ後で、締めにもう一杯だけ飲んで帰ろうと
「シェリー樽のモルトで一杯ください。」
と注文しました。
それで出てきたのが、写真のモルトです。
キングスバリーという会社がボトリングしたグレンリベットの1955年ものです。
1955年に樽詰され、2005年にボトリングされたモルト。
つまり50年物です。いくらになるのか想像もつきません。
まだモルトの味なんて大してわからない頃で、
お金もそんなに持っていません。
「別のにしてください。」と言うつもりでした。
でも、これを出してきたバーテンダーが言いました。
「注文する前に少し話を聞いてください。
このボトルはハーフでしかお出しできないものです。
実は、このボトルはある常連の方から頂いたものなのですが、
その方に、このようなボトルはそんなにあるものじゃないから
できるだけ多くの方に飲んでいただきたい。
だからハーフでしか出さないでくれ、と言われました。
また、金額も高いと一部の方しか飲めなくなってしまうので
1,000円くらいで出してください、と言われたものになります。
ですので、ハーフで1,000円でお出ししますが、どうなさいますか?」
ハンマーでガツンと頭を殴られた思いでした。
酒と酒飲みをここまで愛する人がいるのかと
頭が下がりました。
ショットで1,000円くらいの酒をいつも飲んでいるので、
ハーフで1,000円であっても普段の倍になり決して安いものではありません。
でも、50年ものを飲めるチャンスは、そうありませんし、
なによりも、このボトルをお店に提供した方の気持ちに報いなければという
思いで注文し飲みました。
味とかは正直あまり覚えていませんが、
このとき出会った衝撃は、今でも忘れられません。
こんなでっかい酒飲みになりたいなぁ。
