何故か勝てない山崎伊織と何故か勝てる赤星優志 | あくまでも私の持論なんですが

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ここまでくると運気の差としか言いようのない結果となった9月20日と21日の対阪神戦。


またも山崎伊織は好投しながらも勝ちがつかず、赤星優志には勝ちがついた。


どちらも絶妙なコントロールとストレートの切れの良さが魅力の投手だが、多彩な変化球とその精度の良さで三振を取れる山崎に対し、以前は真っ直ぐ以外にはこれといった決め球の無い赤星には先発で長いイニングを投げるのは難しいのでは?という印象が私にはあった。


正直、今季2軍から上がってきてこれ程勝てるとは思ってもいなかったのだが、真っ直ぐのキレに磨きがかかり、変化球、特にカーブが良くなった様に感じる。

特に先日の試合は赤星の持ち味が最大限に活かされた投球だったのではないかと思う。


岸田のリードで序盤から高めの真っ直ぐを有効に使い、決め球としてのカーブを活かしていた。

途中で大城に捕手が代わると、今度はカーブを初球から使い真っ直ぐで打ち取るといった配球の違いが出て阪神打線を翻弄していたのである。


元々コントロール自体は悪くない赤星だったが、今回は四球を出さなかった事が非常に大きい。


以前にも触れたが、巨人の投手の共通した問題は四球の多さだ。しかも1点も与えたくない回での先頭打者や、ツーアウトまで簡単に取ってからといった肝心な場面での流れを変える四球を与えることが非常に多いのである。


20日の逆転を許すきっかけとなったのも8回で菊池大稀が大山に与えた四球である。

二死を取るまでの菊池の投球はけして悪くはなかった。

大山に四球を出した後も佐藤のヒットやノイジーの逆転タイムリーはどちらも紙一重の結果であり、菊池の球が悪かったわけではないのだ。

確かにノイジーに対しては真っ直ぐで押しても、歩かせるつもりでもっと際どい球という意識でも良かったとは思うが、どちらにせよこういう結果が出る所に勢いや運の良し悪しの差を感じるのだ。


全てはこの流れを変える大山へのカウント3-2からの四球が非常に大きかったと思うのだ。


これについては毎度の事だが捕手のリードにも問題があると思う。

大城のリードは読みやすい。同じ球が続けてくる事は殆どない上にピンチになればなるほど外角低めの変化球に偏りがちで、その事を他チームにはしっかりと見抜かれている。


それでなくとも阪神打線は岡田監督の教えとして塁上にランナーがいる場合、良い投手ほど高めの真っ直ぐは殆ど投げないので低めの変化球に注視するというのがあるらしい。

となれば低めの変化球はかなりの確率で見極められて四球になるということになったり、甘くなった変化球を狙い打ちされるのだ。


今回の赤星については岸田のリード自体が初球から積極的にストライクを取りにいった事もあるが、四球にならないようにかなり気を使っていた様に見えた。


例えばこの日打たれたヒットは殆どが2-2以降だが、カウントが悪くなる前にストライクで勝負している。

特に四番大山には3ボールまでは際どい球を投げるが、それ以降は甘くなっても良いという感じでストライクを取りに行き結果的に打たれている。

まあ普通はカウントが悪くなって甘い球を投げるのは良くない事ではあるが、赤星の場合はストライクが入らなくて苦し紛れに投げるのではなく、際どい所で勝負した結果カウントが悪くなった時に絶対にボールにしない意識で投げているのがわかるのだ。

四球で出すくらいなら打たせた方がまだましだ、という開き直りが良い結果に結びついていたのではないかと思う。


再三ピンチの場面はあったものの、何とか無得点で切り抜けた赤星と要所で点を与えてしまった山崎の違いが幸運を呼び込む差だったのかもしれない。


明暗は別れたがどちらの試合もその差は本当に紙一重だったと言えるのではないだろうか。

結果的に勝ちに繋がった6回の岸田を引っ込めての大城の代打は采配というよりは無謀な賭けだった。


これで結果が出なかった場合、ここまでの好投を支えていた岸田から大城に代わる事でどの様な影響が出ていたかは判らない。それ以前に次の打席で赤星は交代となっていただろうし、そうなれば流れはどう転ぶかわからなかったのだ。


結果的に大城の代打満塁ホームランで大量リードし、赤星は楽に投げ続けることが出来た。

心配していた大城のリードもこの日は実に冴えており、初球から大胆にど真ん中にカーブを要求するなど岸田とはまた違った形の積極的な配球が阪神打線に付け入るスキを与えなかったのだ。

本当に完投させても良かったのではないかと思うほどにこの日の赤星には流れがあった。


正直、いつもならばここまで好投でしかも初完投、初完封の可能性もあった赤星を代えた原采配に苦言を呈するところなのだが、今回だけは仕方のないところではなかったかと私は思う。


やはり大勢が今後使えるかどうかを今のうちに確認する必要があり、5点差といった余裕のある場面は今の巨人にはなかなか無いチャンスだった。


結果的には阪神に勢いを付けさせたのは痛かったが、大勢は今季使えない事がはっきりとしただけでも充分な収穫だったのではないだろうか。