最近の巨人原監督の采配がどうにもやるせない。
投手起用でまたかと思わせられたのが9月13日の阪神戦。
先発横川凱のピッチングは決して悪くはなかった。阪神の勢いを考えれば良く持ちこたえていたと思うのだが、3回、無死満塁の場面であっさりと交代させられてしまった。
ヒットを打たれるのはある程度仕方はないし、元々モーションは大きいので走りやすいのは確かだが、まだ流石に交代は早すぎるのではないかと思う。
明らかに長持ちしないと先に想定したうえでの交代だということも納得いかなかったが、しかもリリーフは松井颯である。
確かにこのところ結果は残していたが、いくらなんでもまだ自信の持ちきれていない新人に無死満塁での登板は無茶だ。
全体に球は浮いていたし、制球も今ひとつだったので松井を責めるのは酷だとは思うが、満塁ホームランはあまりに痛かった。
正直、そこまで横川を信用出来ないのならば何故最初にこの大事な試合に先発させたのか甚だ疑問であるし、先発として送り出したのなら、例えピンチでも点を取られるまでは信頼して任せるべきではなかったのかと思う。
結果的に、信用されずに代えられた横川も、酷な場面で打たれ自信を無くした松井も潰された格好になってしまったのではないだろうか。
本当に勝負をかけたい場面での選手の起用法についてはことごとく結果は裏目に出て、しかも選手は精神的にダメージを受ける最悪の采配が目立つ。
今までの投手起用や代打のタイミングも言いたい事は色々あるが、特に憤ったのが門脇誠の起用法である。
門脇誠は今年中盤以降で私が最も注目していた新人だ。
サードで見せた守備範囲の広さと反応の速さ、それも一見派手に見えるが打球を体の正面で捕球する基本に忠実で堅実なプレイが素晴らしい選手である。
守備で多くのピンチを救った実績と足があるため守備固めや代走の印象が強かったが、私はここぞという場面で見せる勝負勘の良さに注目していた。
代走の場面ではチャンスを逃さずホームに滑り込むシーンを度々見せ、膠着した場面で打席に立てばショートの頭を超える絶妙な当たりで塁に出る。何よりも1点を取る貪欲さが今の巨人では最も強く感じられる選手だと思ったのである。
あくまでも印象の話なので申し訳無いが、今年の坂本や岡本、丸達超一流プレイヤー達には感じられない勝利への執念を感じるのだ。
だが、私の印象とは裏腹に原監督にはあまり評価されていないのか、中々スターティングメンバーに名を連ねる事ができなかった。
仮に試合に出る事になっても終盤大事な場面での門脇に代打を出す事が多かったのだ。
まだ実績がなかったり、その日当たっていなかった時ならまだしも、それが前の打席まで猛打賞だった時ですら代えられてしまうのである。
しかもそれが実績のあるベテランであればいざしらず、その時点でさほど実績のない別の新人だったりする。
確かに他のスター選手の所で代打を出し難いのはわかるが、今の巨人で最も意外性があり、ギラギラしている新人である門脇を引っ込めるということはチーム全体の雰囲気も観客の期待も停滞させてしまうのだ。
しかも今年はそのほとんどが失敗しており、わざわざ流れを相手に渡してしまっている印象なのである。
この事は以前にも触れたことだったのだが、最後までその不可解ぶりが変わらなかったということになる。
そしてまさに今日、9月14日の阪神戦の事だ。
阪神のマジック1で目前での胴上げをなんとしても阻止したい巨人だったが、やはり打線が湿って点が取れず、チャンスらしいチャンスもない状況だった。
先発の赤星は抜群のコントロールで素晴らしい投球だったし、岸田のリードもあり勢いに乗る阪神の怒涛の攻撃を見事に躱していた。残念ながら6回に捕まり3失点したものの、良く耐えた方だと思うのだ。
ここでまず不可解だったのが二塁に吉川ではなく中川が守っていた事だ。
決して中川は守備が下手な訳では無い。
前回も二塁で見事なファインプレーを見せていたのが印象深いが、そもそも二塁の守備は不慣れな上、意外になんでも無い所でエラーをする集中力の無いところがあるのだ。
いくらこのところ打って無いとはいえこの大事な試合で守備の要である吉川を外したことが疑問だったのである。
案の定、7回に中川のタイムリーエラーで4点目が入り、結果的にはこれが決勝点となってしまった。
まあこれは中川が土に足を滑らしてしまった事もあり不可抗力な部分もあるとはいえ、こういう運のなさも今年の巨人を象徴している。
そして8回、大城のタイムリーで4-2まで追い上げ、一死二塁の絶好の場面での門脇の打順に対しての代打、これには流石に怒りを覚える采配だった。
確かにこの日の門脇は当たってはいなかったし、左投手で不利なのはわかる。
だが、いつもこういう場面での勝負強さがあったからこその2番起用ではなかったのか?
しかもこの日の代打はほとんど実績を残していない萩尾である。
これほど緊迫感のある場面で実績の足りない新人を使う神経にも呆れるが、ここまで信用されていない門脇の辛さは相当なものだったであろう。
結果萩尾は全く打てる気配も無く三振し、追い上げムードはすっかり冷え切ってしまったのだ。
毎度言う事だがこれはあくまでも結果論だ。
門脇が打つという保証も無いし、萩尾が凡退すると決めつけるのも萩尾に対して失礼だ。
だがそれでも、単純に可能性だけ考えれば、そして来年以降の巨人を間違いなく担うであろう将来性を考えれば、こういう時こそ門脇に託すべきでは無かったのではないかと思うのだ。
こういう流れやファンの期待を無視し、単なる勘としか思えない采配を見せつけられてしまうと今年はやはり負けるべくして負けているのだと実感してしまうのだ。