挨拶
テレビエグザムも就職セミナーの一つですから、参加する学生さんも自分たちがどう見られているか多少なりとも意識しているようです。
年輪を重ねた一目で会社の関係者である事が見て取れる紳士に、おはようごじます。
受付のお姉さんに、おはようございます。
自分とあまり変わらないように見えるあんちゃんだけどスーツを着ていないからきっと若手社員だろう青年に、おはようございます。
白いスタッフジャンパーを着た面談とは一切関係のない僕たち運営スタッフにおはようございます。
面談ブース以外でもどこで誰に見られているかわかりません。学生さんたちは、均一のハッピースマイルを心がけています。世の中に慣れた笑顔です。中には学生さんを迎える立場の僕たちが後ずさりたくなるほどの頬の筋肉の使い方をしてくる方もいらっしゃいます。
とても健気です。
彼らが普段どれだけの挨拶をしているかは知りません。もしかしたらしていないかもしれません。だから、普段挨拶なんてしていないのにこういう時ばかり張り切って、なんてやっかみを言う人もいるかもしれません。
でも、就職セミナーはそういう時なのだから、僕は張り切っていいと思って学生さんたちをみています。
学生さんの中にはこちらからおはようございますと声をかけても、俯いたまま軽く頭を上下させるだけの人もいます。こいつらに挨拶したところで得もなければ、損もしないだろう。彼の顔はそう言っていました。
とても正直です。
だから僕たちも正直に、そんな彼らに気分は良くないです。
ああいうのに限って、面談では知ったふうに語るんだよな。
ある会社の方の言葉です。
挨拶を、建前とか本音とかそんな一種のものだと思っていると後でもったいない事になってしまうのかもしれません。
ある年、一人のアルバイトスタッフが僕のところに嬉しそうにやってきて、女子学生さんからメールアドレスを渡された報告しました。聞いてみると、爽やかな笑顔でやってきたその子は他愛もない質問をしてきた後で、是非テレビの仕事がしたいので何か情報があれば教えて欲しいと言ってきたとの事でした。
しかし、残念な事にメールアドレスを託したそのスタッフは何の情報も持っていなければ、その後持つこともありませんでした。ただ、彼は他のスタッフに比べて気持ちの良い挨拶の使い手でした。ナチュラルな爽やかさです。
その子は必死になるあまりハッピースマイルに道を惑わされてしまったのでしょうか。そうでなければ僕のところにアドレスを持ってきてくれても良かったのですから。
次回は「喫煙」についてのお話です。