蝉が鳴いている

お父さんが
旅立ってしまったあの朝も

斎場から一旦実家へ
帰って来たんだよな〜


あの朝も蝉が鳴いていた
同じ雨上がりの
蒸し暑い朝だった



実家の玄関のドアを開ける時
元気に鳴く蝉が
羨ましくて
泣きそうになったんだった



これからの命と
燃え尽きた命



あの日何しに実家へ帰ったのか
覚えていない