自分は何にも持ってないのに

アイツはいつも俺を呼び出して

奢ってくれるんだ


呼び出したからと言って

アイツ、ペラペラ喋るわけでもなく

むしろ口数が少ない

アイツは昔からそうゆう奴なんだ




最初は俺はバカだから、奢ってくれるから

単純にそのことが嬉しくて。


要は俺にとって

得か損かで

遊ぶ友達を判断してたんだ


そんな俺は自分で自分のこと

図々しいってゆうか

情けねえってゆうか…

すげえ嫌なやつだと思ったんだ


だから、あまりにもこんな関係が続くから

俺もなんか悪い気がして

たまには俺にも奢らせろよってカッコつけて

ちょっと無理してアイツに奢った時もあったんだ



見栄張って着飾ってるのも

最初はモテるためだった


だけど精神的にボロボロだった時

髪型整えるのも面倒になって

オシャレなんかどうでもいーやってなって

普段着のままでアイツに会ったんだ



そんな俺を見せても、アイツはなにも言わなかった


どんな俺でも

コイツそのまま受け止めてやがる

やべーな、

コイツすげーなって思って

黙って俺を乗せたまま急に京都行こうぜ!

とか言い出してそのまま高速道路走ってさ〜


すっげえ行動力あるやつだから

そこは俺、敵わないって思ってる所なんだ



そんで、ある時聞いてみたんだ


お前さ、なんでいつも俺と遊んでくれるわけ?俺なんて金ないしダサいのに。


俺を呼び出したら飯代だって2倍かかるじゃん?

俺は、お前に全然飯を奢ってあげてないのに、なんで?って。



そしたらアイツこう言ったんだ




お前はいつも俺のことを否定しない

それにお前はいつも

俺の話を真剣に聞いてくれる


そして大事なことに気付かせてくれる



そんな風に言ってくれたんだわー

マジ神かよって思うんだ

俺の方が実は、アイツに助けられてんだよな





私:そっかー



と言いながら、それ以上は何も言わずに

私はニコニコしながら黙って運転していた。








ボロを着てても心は錦


母方の祖母がよく言っていた言葉が

頭の中に浮かんでいた。