歴史と釣りが好きだった父

2月21日は父の誕生日




生きてたら80歳だった



15歳から75歳まで

実に60年もの間

働いていた


物を売る商い人

初めはサザエさんでいう

三河屋さんのような

御用聞きの仕事



担当したエリアを回っていると

同級生の女の子が家から出てきて

なんとも恥ずかしかったと


雨の日も雪の日も

一軒一軒お宅を回っていると

辛い時もあったそう






奉公先の近所を回る夜鳴きそば屋の

ラッパ音

食べたくてもお金がない

家に仕送りしていたからだ

いつか、絶対食べてやる!

それを目標に、必死で仕事した

そして何ヵ月か過ぎ

念願の、夜鳴きそばを食べた

あの味は今でもハッキリ覚えていると

言っていた






でっち奉公先の

お母さんが作ってくれる

カレーライスも

絶品だったと

昭和30年代前半のこと



時は流れて

私が小学生の頃の話

父は釣り好きの仲間達と

毎週のように夜釣りに出かけ

初めて大きな鯛を釣り上げた




あの時は嬉しかったなぁと

クシャクシャに目を細めながら

最後の一年で話してくれた





人は死が近づくと

懐かしい味を


思い出すのだろうか?




とびきり嬉しかったことを


思い出すのだろうか?




どちらにしろ、そこには


懐かしい記憶と共に


「陰」ではなく


「陽」の感情がたくさん出ていた


それは自分の人生に

感謝できた人だけが

しみじみと味わえるものなのだろうか