出来るだけ明るい話をしよう

そう思いながら実家へ行く

父は居間のベッドで横たわり
テレビを観ていた


私が入ると「おはよ」と言って
少しはにかんだ笑顔


予定では床屋へ行って
その後お昼を食べに行こう
という父の提案だった


でも昨日母に言ったら
「切るほど髪の毛なんか伸びてない!
ヒゲも自分でそればいい!もったいない!」
と、冷たく言い放たれたそうだ


それで、どうするの?
と聞いたら
「とりあえず、カレーを作ってくれ」
と言うので、その間にお風呂に入ってもらう


流し台を覗いたら、食器がたまっていた

明らかにここ3日ぐらいは
放置であろう鍋も、水が張ってあり
そのままシンクにおいてあった


お風呂から出ると
のんびりテレビを観ながら
父は肌着の上着だけ着たまま
またベッドに座っていた


喉が渇いたらしく、私のいるキッチンに
ヒョコヒョコ歩いて来たが
腰が曲がり、前かがみで、
足は全然上がっていない


以前より確実にQOL(生活の質)は低下していたので、かなり驚いた

わずか5mほど歩くのに
4・5分かけて
ゆっくり、ゆっくり

それはまるで
歩き始めた赤ちゃんが
一歩足を出してはフラつき
転びそうになりながら
また一歩を踏み出す という感じだ


それでも室内で転んでから
「危ないから家でおとなしくしてなさい!」
と母に言われて
一週間くらいずっと家にこもっていたそうだ


やる事なす事、いちいち
叱られ、貶されてばかりいるので
ストレスもたまるし
自信も無くしていっていると感じた


「まーたこぼして!
ホントにあんたはどんくさいね!」

「いつまで着替えとるの!
はやくパパッと着替えやー!」

「何回言ったらわかるの?
なんで出来んの?」


私がいても、母はこんな風に
父にギャーギャー言っている
もうこれはDVだと思う

父がとてもかわいそう
でもケアマネさんからは
要支援1しかもらえず
入所にはほど遠い

この夫婦は離れていた方がいいと思う
夫婦にはいろんな形があるけれど
このままでは
お互いに良くないと思う


来年は金婚式を迎える二人
そして母は古希
「だからね、お祝いしたいと思ってるけど、お父さんがあんな風じゃね、、、」


本当は母が一番辛いんだと思う

子供には甘えたくない
出来ることは自分でする
若い人には負けたくない
父のことも心配だけど
私が働かねば!
働いている時は少しは忘れていられる
だから仕事を辞めないのだと思う


70才を目前にして
毎日八時間働くことは
とても大変だと思う
ましてや歩きっぱなしで
いくら丈夫な母でも
風邪をひく日が増えたように感じる
やはり無理してるんだ


私は、私に出来ることを
やっていくしかないのだろう
父ばかりではなく
たまには、母の愚痴も聞いてあげながら
上手くバランスを取っていこうと思う