このコラムは2018年5月に執筆、WOM Bangkok6月号に掲載されたものです)
価値観を合わせるのでなく、違う価値観を認め合うこと
先月、私達夫婦はネパールへ行っていました。ネパールには、タイ人の友人がネパール人との交際を実らせ、結婚式をするとの事で、国をまたいでお祝いに駆けつけたの
でした。
旅先での外国人同士の結婚式だからと、
気軽にゆかたで行くと主張した夫と、
きちんと礼装で参加したい私とは意見が分かれ、最終的には私の思いを尊重し、
夫が折れた形となりました。
そんな事も鑑みて今回は、
夫婦間で意見や思いが違った場合のすり合わせについて書きたいと思います。
夫婦と言えども、所詮は他人、育ってきた環境も違えば、価値観も違います。
良く 「結婚するなら価値観の合う人同士がいい」などと聞く事も多いのですが、
ざっくり した価値観が何となく合っていても、日々の選択の中ではひとつひとつの意見は食い違う場合も少なくありません。
大抵はどちらか、より拘りの強い方に、もう一方が合わせているのではないでしょうか。
私が大事だと思う事は、価値観が同じ、というのではなく、違う価値観を持ったまま、 話し合えるかどうかです。
私達夫婦は、思いを行動に表すと真逆になる事が多いので、
お互いの苦手を補う、と いう意味では最強のパートナーとなりうるのですが、
意見や思いが食い違った場合の すり合わせやどちらが折れるか、には時間をかけて話し合いを持ちます。
何故なら根本にあるのが「みんなそれぞれ違っている、それでいい」というコアな部分を大事にしたいから。
それでも夫婦で一つ、という単位で前に進む時、その違いが行く手を阻むこともある わけです。
お互いのこうしたい、を尊重するとなると、別の道を行く事になる。
旅行先などでは休みたい私と探検したい夫とは別行動をとる事もしばしば。
よく「相手の 立場にたって」ともいいますが、相手の立場にはなれない。
だって自分は自分なのだ から。
その自分が、大切だと思う相手が自分とは全く違う意見を持っている、
それに 対して、自分がどう思い、どう行動するか、だけが自分の範疇なのです。
相手の立場になれる、としたら正しくはそれは、その時相手が感じた嬉しいや、悲しいや、寂しい、困る、一緒に居たいなどを自分がどう受け止めるか、だけなんだと思 います。
それが次の行動になる。
その、行動の元の感情が何なのか、は言葉に出して表さなければわかりません。
言わなくても察してくれるだろう、とか慮るを相手に期待するのは、無駄と言い切りたい。
自分がどう感じ、どうしたいのか、相手がどう思って、その行動をしたい、またはしたくないのか、は聞かなくてはわからないわけです。
日々の小さな事から、そこをおざなりにもなおざりにもせずに、言う、聞く、を習慣 にしていくと、大きく衝突する事もなく、どちらか一方がストレスを溜め一気に爆発 をする事もなく、程よくお互いが自由で、何かを強要する事なく思いやり合って過ごせるのではないかと思うのです。
違いを理解したというより、違いがある、という事実を理解し、心を寄せられるか、 どちらも折れない時にはその話題は一旦保留にする。
違いを認め、尊敬し合っていれば、その時々で円満に収める事が出来るのだ、と、異国の地での、さらに違う国同士 のカップルの結婚式で改めて感じた事でした。
6月はジューンブライドの季節、結婚生活や夫婦のあり方を考えるには良い時期かもしれません。
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