幸せの黄色いラーメン | ヒロポタンの足跡

ヒロポタンの足跡

これは、気まぐれヒロポタンのたどった足跡(主に飲食系 その他諸々)を忠実に、そして、写実的でありながらも叙情的な文章で綴った、臨場感溢れる心温まる手記です。

 子供は、見たもの、聞いたものに対して名前を付けるのが上手いと思う。戸籍上定まった固有名詞であろうが一般的愛称だろうが、お構いなしに自分なりに名前を付ける。ウチの子もその一人で、例えば東武宇都宮百貨店のことを今よりもっと幼い頃「ベイビーカー」と呼んでいた。たどたどしくも言葉を使い始めるようになった2才前後、屋内アナウンスで「…ベビーカーのご利用も…」などのセリフを繰り返し聴いていたことで、当時の本人はきっとここをベイビーカーという名の場所なのだと認識し、以降、車で近づく度に「ベイビーカー!」と元気よく叫びながら窓の先を指差ししていた。我が家では、それ以来今だに東武宇都宮百貨店のことをベイビーカーと呼んでいる。題名にある「黄色いラーメン」もその一つで、我が家では「幸楽苑」のことを指している。最も、キイロイラーメンとだけ聞くと、ラーメンが黄色いのかとの誤解を生じるかもしれない。多用は禁物である。
 午前中、ウチのカミさんが知人宅に用があったため、朝〜昼の食事を子供と二人でとることになった。折角なので、近辺で外食するかと思い子供に複数の案を提示したところ、すんなり幸楽苑で落ち着いた。個人的にはご飯食べ放題のやよい軒がイチオシだったので懸命に説得を試みたが、敢え無く不調に終わった。やはり一般的に、子供は四六時中ラーメン好きであるということをあらためて痛感した。
 常識的に11時または同時30分開店と想定していたが、ネットで情報確認したところ流行りの朝食戦略を導入しているらしく、朝8時から開けていることが分かった。子供も空腹を激しく訴えていたので早速足を運ぶことにした。

 
 何を注文するかいろいろ比較検討した結果、値段と量に対する費用対効果を考えて、当店人気総合第1位の中華そばに加え、餃子とご飯のセットメニューを選んだ。子供は既につけ麺と単品餃子で心を固めていた。
 宇都宮らしく、店内はジャズが流れていた。テーブルには各種の調味料が並べられていて、その中には「幸楽苑の素」というものもあった。これは一体どういった味なのかと思いを巡らせているうちに、我々のラーメン達が次々と運ばれてきた。
〈食べる直前〉
 午前11時を過ぎた辺りから一気に混雑してきたが、周りには目もくれず夢中で食べ続けた。
〈食べた直後〉
 
 最近のラーメン店はどこも特徴あるこだわりの味を持っていて、それはそれで大いに結構なことであると思うし、そのポリシーを捨てないでほしいと願っているが、その一方で、幸楽苑のような万民受けするファミリー型も是非街の一角にあってほしい。こう記述すると、幸楽苑にはこだわりがないように捉えられがちであるが、そうではない。気軽に、かつ老若男女が満足できる味も量的なものも持っている。言ってみれば、ユニバーサルデザイン化されたラーメンの味を楽しめることに他ならないのではないかと考える。 
 食後、子供は一点の曇りない満足そうな笑顔を崩さなかった。それは、自分には何物にも変え難いプライスレスのトッピングになった。