このスタジアムのアールとカナルの直線が見事
一日遅れの絵日記ですが、試合当日の出来事を。
① でもパンのおはなしをしたが、再び「食」について。
因みに、小生にとって「パン」、とりわけ①のようないわゆる〝総菜パン〟となると「小麦粉と油の塊」程度にしかみていない。世界の9割方が「ワタシ、パン好きなんですぅ~」などと宣う昨今だが、個人的にはパンの存在価値、存在意義というのは、かのレイモンド・カーヴァ―による崇高な短編『ささやかであるけれど、役に立つこと』に尽きる。
で新潟メシだ。
前夜、そして試合日のヒルと、地元民に勧められた回転および〝回らない〟寿司店をリレーした。しかし、双方とも店のグレード自体は「回転」レベル(すこし高級な回転と、安価な寿司屋)だけどね。
最初の店は万代の繁華街の真っただ中にあるお店。確かに人気店らしく、パッド形式の予約入力では「1時間以上待ち」という説明。まぁ、申し込み人数、店内混雑具合で「そんなことない」と思いつつ申し込んで、待合シートで30分強待たされカウンターへ。
回転寿司屋では気にしなくてもいいとも思いつつ、やはり寿司屋で写メは伊達も酔狂もないので写真は割愛するが、結論から書くと「中」…まぁ、すこし親切で「中の上」といった程度か。ネタはそこそこ〝新潟基準〟としても、シャリが個人的には減点だ。酢の効かせ方がもう一歩足りない。なので魚の旨味、風味を上手く演出出来ていないと、勝手に感じながらつまんでいた。
▲寿司屋は入り口まで📸トロリーと足は関係ないから
この酢飯問題は、翌昼の店も感じられた。つまり、新潟の鮨は酢が控えめってことか? まぁ誰か越後の鮨事情に詳しければご指南いただきたい。
なので、2軒目を出た時は「新潟市ではあるが、へぎそばでよかったか…」などと呟きながら試合会場へと向かった。総じての印象だと、双方共通の評価ポイントとしては、鰤が標準より安価な割には鮮度、味共にヨシ。〝地〟のものかは「?」だが、かわはぎも悪くなかった。ちなみに昨今、かわはぎさんは肝を載せて出す店も少なくないが、この白身魚ならではの繊細さを楽しむには、敢えて肝抜きだ。いずれにせよ、概ね白身の魚に〝分〟がある越後の2日間だった。
で、ここからビッグスワンおよび周辺の再考になるので、ウンザリな方にはお許し願いたい。
この日は、①で紹介したパン屋とは逆サイド(つまり新潟中心地側)を、やはり3分ほど行くとある卵専門店から。すこし早目の昼メシを終えて、代表戦用の臨時シャトルの乗り場に行くと、予想外にガラガラ。すこし早い時間だからかと思いながら出発目前の観光バスタイプの車両に飛び乗った。
そのバス停(臨時)から近くにあったのがこのお店。前日もパンか卵かと悩んだ店だったが、入ってみると主力は本来の生卵の販売と、卵を使ったスイーツ類中心。おやつ代わりにコチラの2品を購入して、巨大スタジアムへ向かった。
で、お味のほうを書いておくと、全然文句をつけるレベルではないが、もし来月ビッグスワンに来るとしたら、おそらく…。イートインのカフェでお茶とスイーツならアリかもね。「だし巻サンド」のほうは、農耕なバターと、うっすらではあるがマスタードが効かせてあるのだが、それがマイナスに働いている。この2つのフレーバーが目立ちすぎて、本来の卵の味も出汁の香も十分には楽しめない。プリンも、こういう〝王道〟系のものなら、すこし昭和のプリンっぽく硬目(最近流行ってるけどさ)で素朴な味わいを期待したが、イマイチ〝いまどき〟の味だった。
卵専門店ということだったので、さぞかしふんだんに卵感満載と期待過多だったこともあったが、せっかく「卵」を強みにするなら、そのアドバンテージポイントをディフォルメしたものが食いたかった。
で、その試食の前に、スタジアム周りをぶらついての発見もあった。①で紹介した「森」とはビッグスワンを挟んで逆側の〝スタジアム前広場〟といったエリアもかなり高評価をあげていいと空間と感じさせられた。
▲道沿いのタイルに見えるが、奥側(写真上部)のスタジアム前のくつろ
ぎスペースから、カナルに架かる橋へ上る階段の最上部に円形タイルの模
様が施されているのも、ちょいと手を掛けていい雰囲気を作り出している
そこそこ広大な敷地をどう使うか――。これって、昨今の大型ヴェニュー設計の知恵の絞りどころで、多くはただただ無用の長物の如き醜態を晒している。だが、ここは巨大さが良し悪しどちらにもなる器と、その周辺を上手く調和させようという配慮を感じさせる構造でもあった。
鳥居野潟から引かれた水路を「カナル」と称して、その行き止まりがスタジム横の水辺になっている。そこに、多くの人が集まれるアリーナのような広場があり、大きな帆のような屋根の下には椅子、テーブルが並ぶ。
「カナル」の両側はこんもりと盛られた〝人工土手〟が作られ、その土手上部分に並木のように植えられた広葉樹が、弁当を広げる家族や一息つく散歩おじさんに木陰を作ってくれる。土手に配されたベンチも、その間隔が、隣のシートから適度に距離が作られているため、いい具合にプライベートが保たれ、告白も別れ話も問題なさそうだ。かなり絶妙のスペース感覚と感じた。その一方で、「直線」がほとんどない自然(風な)造形の中に、直線的なカナルと円形の巨大スタジアムの作り出す、こちらは自然とはかけ離れたシャープな構図も悪くない。
▲なんだかイングランド・コッツウォルズを歩くと出くわす風景のよう
むしろ、4万5000人を収容する巨大スタジアムが「陸上トラック付き」というのが、最大(最低)かつ致命的な欠点と総括せざるを得ないのが残念だ。新潟ダウンタウンからなら自転車でも心地良い(坂がないからね!)移動で辿り着け、わずかながらカフェ、飲食(もちろんコンビニも)も点在し始めたのも大きなプラス材料だからこそ、陸上トラックが恨めしい。
結果的に越後は2泊の旅程となったが、それは、東大阪への旅の合間に少々足を伸ばしたい場所があったから。それでも数年前、十数年前の滞在と比べると、新潟は遥かに華やかで活気に満ちた町に変貌していた。そんな町だからこそ、この先も楕円球との接点を、持続可能的に持ち続けることが出来るかが気になる。
仕事等で地方都市を訪れて感じるのは、その地域地域で普及活動に汗を流す方々の、エディー流に書けば「エフォート」と同時に、どんどんラグビーが日常から離れていく不安感だ。業務的な理由で、スピアーズがホスト戦を開催するなど、他の地方都市よりはトップレベルのラグビーに触れるチャンスはあるのかも知れない。だが、リーグワンチームのメーンホストとなる可能性は極めて低く、代表戦も今回のように8年ぶりとなると、この先、どんな術と技を駆使して人を集まられるのだろうか。
カナダという相手も響いたとしても、JRFUにとって大きな資金源としたい代表戦チケットの販売力については、目線を上げていかねば、いまでさえコストカットに頭を痛める正代表、シニアレベルの強化の活動資金を上向きへ変えていけなければ、この先ランク上位のティア1ネイションズとの運営能力というバトルでも十分に戦えないことになるのか――という不安を感じてならない。
絵日記のはずが、楕円のハナシにも転じてしまったので、今回はここらでご勘弁を。




