まだまだダウンジャケットが有難い頃に聞いたハナシをコラムに上げた。

 

「渡邊拓斗ですけど、春に出てくると思います。おもしろいですよ」

 

秩父宮のメーンスタンド。リーグワン公式戦を並んで観戦していた時に、こんな話をしてくれたのは東海大の木村季由監督だった。

 

遥か昔の、あの男の姿が思い浮かぶ。その息子が、東海大のレギュラージャージーを掴もうとしている?

東芝関係者との過去の雑談から、本格的にはラグビーはしていないとは認識していたのが、思わぬ成長をしているのか? あの男〝万吉〟の息子なら、もしかしたらもしかするのか?

そんな思いから、5月の半ばに、東海大キャンパスを訪れた。

 

会っての印象は、そこまでに聞いた相手の誰もが口を揃えた「真面目なヤツ」と同時に、こういう大男の「あるある」である寡黙さは感じさせない話ぶり。おしゃべりという点では、親父は遥かに上ではあったが、言葉を探しながらも、ストレートに自分の思いを伝えようとする少年のような実直さは、どこか親父を彷彿とさせた。

 

 

 

 

コラムでも再三触れたように、まだまだ俄かPRだ。厳しく書けば、PRどころかラグビープレーヤーとしても俄かの領域だろう。そんなレベルのアスリートではあるが、様々な関係者に話を聞く中で、印象深かったのは木村監督の言葉だった。

 

「努力する才能はある」

 

一言で表現すれば、その実直さ、一途さが、渡邊拓斗という男が、誰からも愛される理由だろう。だが、さらに一歩踏み込むと、指揮官が語った「努力する才能」を、会う人誰もが感じ、認めるからこそ、この俄かPRに手を差し伸べてくる。

 

 

 

 

占い師ではないので、「おそらく」の話は差し控えたいが、来春の進路についてはほぼほぼ固まろうとしていると考えている。素材としてはまだまだ未知数の領域ではあるが、〝伸びしろ〟への期待感と〝他の理由〟から、採用の判を押すチーム(企業)があるだろう。そこで、夢破れて仕事に専念するのも一つの生き方だ。だが、どこまで自分で高みを這い上がって行けるのかというスタートラインには、是非立ってほしい。

 

そのためには、木村監督が東海大で与えてくれた挑戦のチャンスを、この1年でどこまでモノにして、結果を残せるかも重要な意味を持つ。次のステージで輝くためにも、この1年の努力は大きな意味を持つ。

 

昨日の自分より今日の自分を進化させる――。誰も強制しないそんなチャレンジを、逃げずに毎日挑戦し続けることが出来るか。いつでも、どこにでも、探せば逃げ道は幾らでもある。だからこそ、真っ向から向き合う事に価値がある。

 

渡邊拓斗の挑戦が楽しみだ。