日曜のゲームを優先してアップしたが、今回は遡って土曜日のおはなし。

 

レギュラーシーズンの終了&プレーオフ前というタイミングで、リーグワンがらみのコラムを算段しているので、今回は簡単に土曜日のおさらいだけ。

 

先ずは事実関係から。ブレイブルーパスが勝ち、ブラックラムズが勝ち点5を逃したことで、確定事項がいくつか。まず、勝ったルーパスの2位が確定して、負けたラムズの10位、つまり入替戦進出とダイナボアーズの入替戦回避が決まった。あまり大勢に影響ない確定だとブルーレヴズの8位も決まっている。

 

脇道に逸れるけど、この結果、5月20日からの15人制男子トレーニングスコッド菅平合宿は、スティーラーズ、スピアーズ、ヴェルブリッツ、ブルーレヴズ、ダイナボアーズの5チームの選手だけで行われることになったわけね。ちなみにエディーさんは、そこに大学生も入って来ると語っているが…。

 

で、土曜の取材は秩父宮へ。港区を舞台にした府中ダービーは、リーグ2位を走るルーパスが3位のサンゴリアスを36―27で凌いで二番手を確保した。わずか順位で1差という違いだが、これから先の明暗は瞭然だ。勝者は準決勝でのワイルドナイツ戦を回避して、敗者は勝ち点で4位イーグルスに1差まで詰められ、次節の成績次第では〝最強の相手〟との4強戦を強いられる。

 

スコアは9点差、トライ数ではサンゴリアスの4対5で、終盤の追い上げで「接戦」という表現も当てはまるかも知れない。だが、個人的な印象では、かなり早い段階で「勝負あり」と感じる80分だった。それくらいの差があった印象だ。

 

立ち上がりからの攻防で、ルーパスの防御が組織的に機能して、アタック自慢のサンゴリアスをゲインラインより前に止めるシーンが目立った。サンゴリアスサイドから見れば、アタックで相手の防御の綻びが作り出せない。かなり「しんどいな」というゲームを強いられた。ルーパスは前半最後に右サイドを崩されトライを許したが、それまでの10分近くを守り続け、サンゴリアス自慢のアタックを封じ込んだ防御のしぶとさは、プレーオフへ向けた大きな収穫だろう。

 

キーポイントは「スローボール」。順位的にはチャレンジャー側のサンゴリアスが、ブレークダウンから彼らのテンポでボールを出せなかった。この日の勝負は、ここに尽きるというゲームだった。

 

サンゴリアスの先発SH齎藤直人が連続攻撃からアタックラインにボールを供給しようとしても、1拍、もしかしたら0.5拍スローダウンさせられてしまう。接点でのルーパスのインパクトが明らかに強く、そこに上乗せして、サンゴリアスHO堀越★健介主将が「グレーゾーン」と指摘した、ブレークダウンでルーパスが仕掛けたギリギリのプレーで、ボールや人に絡まれてテンポのギアを上げられないバトルを、立ち上がりから強いられた。

 

敗れたサンゴリアスは自ら「アタッキングラグビー」を標榜するチームだが、自分たちの速いテンポを創り出すには、やはり接点でいい球出しが不可欠だ。今季喫した4敗や1分け、そして10点差以内の勝利では、接点で重圧を受けたことが響いている。あるOBが、こんな言葉で悔やんでいた。

 

「あれだけコアになる選手がいなければ、苦しい試合になる」

 

確かに、チームがボールキャリーで核と期待するBRショーン・マクマ―ンが長期離脱し、頼みのサム・ケインも1月20日の第6節を最後にピッチを離れる。接点とは別問題だが、OBKチェスリン・コルビの不在も痛い。

 

もちろん、ルーパスも不動のSOリッチー・モウンガの欠場と、同じようにフルハウスの布陣ではない。サンゴリアスだけが、ハンデを強いられたわけじゃないが、このゲームでは接点で競り勝てなかったことが、自分たちの強みを引き出せないという敗因を招いたのは間違いないだろう。

 

勝者を見れば、そのリッチー不在の中で、スティーラーズと引き分け、下位で低迷するヒートに1点差の辛勝とかろうじて負けを回避してきたが、ここに来てV候補の宿敵にしっかりと勝ちきれた結果は大きなプラス要素。もちろん、接点がカギを握るゲームに、BRリーチ・マイケルが2カ月ぶりにスタメン復帰したことも大きな追い風になったが、こちらもとあるOBが「去年までなら、この数試合で負けていただろう」と〝負けない〟勝負強さを感じている。

 

先にも触れたように、2位を確定したルーパスと、まだ4位の可能性もあるサンゴリアスと、わずか9点差での明暗は大きい。今週末の最終節は、勝者は完璧な調整ゲームに充てられるのに対して、敗者は勝つことにフォーカスを当てた戦いを強いられる。ルーパスが大きくメンバーを落すことはなくても、ほとんどのメンバーがどこかに故障や痛みを抱えている中で、コンディショニングを優先できる恩恵は絶大だ。