▲横河との入替戦を制してトップイーストA昇格を決めた丸和フィフティーン。

ラグビー界のモモタローになれるか     (提供:AZ-COM丸和MOMOTARO'S)

 

 

 

3月に新体制の発表会見を開いた丸和運輸機関ラグビー部について書いた。

 

 

 

 

正式には「AZ-COM丸和MOMOTARO’S」と名乗る。コラムの中身は、随分と新GMにスポットを当てたものになったが、このチームがいま置かれた状況を踏まえると、面白い人選と感じている。

 

コラム内でも触れているが、いま、この若いチームに必要なのは、グラウンド上の強化と同時に、チームのマネジメントという領域なのは間違いない。そのフィールドでNEC、明治大、日野と手腕を振るってきたのが細谷GMだ。

 

丸和という企業が、従来のラグビー界に参入した企業とすこし違う匂いがするのは、間違いなく一代でこの会社を育ててきた和佐見社長の存在が大きい。会社同様に、ご自身の剛腕でチームも「勝者」へと引き上げようとしている。

 

ワンマン体制の企業によるチーム強化はメリット、デメリットが明らかに大きい。普通の企業が数年をかけて達成するテーマを瞬時に実行に移せる可能性もある一方で、トップの判断でチームの存続すら左右される。コラムを書くに当たって考えたのは、負の要素を忖度するよりも、ポジティブな領域で、この和佐見社長のパッションがラグビーに恩恵をもたらすのであれば、それに越したことはないという思いだ。そこをどういい方向へリードできるかが、細谷GMの手腕にかかっている。

 

今回の「丸和」の前には「板橋」のコラムをアップした。一見関連のなさそうな2つのストーリーだが、共通したテーマがある。取材をした中心人物、組織が、まだ絵空事だとしても、最終的な目標として「スタジアム建設」を構想として持つことだ。

 

このご時世、数万人を収容する器は、そうおいそれとは建てられないのが現実だ。資金はもちろん、敷地や市民感情など、竿を指すものはいくらでもある。でも、だからこそ、どんなストーリーを思い描き、周囲を巻き込みながら、ストーリーを編むことが出来るかが重要になる。絵空事の中に、針の穴程度かも知れないが、先へ進めるストーリーを感じたことが、取材しコラムを書くモチベーションになった。

 

もちろん、サッカーが様々な連携をしながらスタジアムを着実に増やしている現実を考えれば、ラグビーフィールドの「足踏み」がすでに「後退」になってしまっているのではないかという危機感も明らかにある。以前も紹介したキンセラの〝ことば〟を逆説的にとらえれば「作らなければ誰も来ない」のだ。

 

今回の丸和コラムを読むと、お気づきになる方もいるだろう。本来、このようなコラムを書くためには、丸和運輸、そしてモモタローズを引っ張る和佐見社長ご自身の言葉と思いが必要だ。だが、コラムをアップするタイミングと、1編のボリュームを考えると、細谷GMの話だけで満杯だとの判断で、敢えて社長の登場は、新体制会見でのコメントに止めた。そこに、文末に敢えて書き入れた社長インタビューという続編構想の模索が始まっている。

 

自分自身の好き嫌いでいえば、あまりピッチから遠ざかった話は好まない。取材、記事はあくまでプレーヤーズファーストだ。だが、22年の東京大学との提携も含めて、この桃太郎便のボスの楕円球への情熱は興味深い。

 

リーグワンが佳境に入り、大学は準公式戦、その先にはエディーのチームも動き始める春の間に、続編が書ければいい。