恐怖の週末真っ盛り。熊谷への1泊2日の旅に、土曜の夜の私事、そして日曜の早起きとばったばたな中だが、注目の熊谷決戦に簡単に触れておこう。

 

皆さんどのような味わいだったでしょうか。小生個人的には、さすがリーグワントップを走る両雄の実力を十分に堪能した決戦でした。

 

で、簡単に勝負を語るとしたら、後半開始からの10分間が全てだったという印象。

試合前のコイントスでは、野武士の坂手淳史主将が風上でのキックオフを選んだ。つまり、後半は猛烈な風下で戦うことになる。スキッパーは「後半、風か変わるかも知れないし」とおどけたが、風上の前半である程度のマウントを獲りたいという思惑があったようにも思える。逆転の名手(盟主)のようなチームではあるが、今季、間違いなく乗っているビジターを早い時間帯で勢いに載せるのは得策ではないという心象はあったのではないか。

 

赤城おろしが吹き付ける記者席で40分を観終えて感じたのは「野武士は完全風上の中でのリード9点は満足のいく数字か?」という疑問。しかし、その疑問も折り返しからの10分でしっかりと〝正解〟を見せてくれた。

 

風上から9点ビハインドを引っくり返そうと野心に満ちた狼士のアタックを、野武士がミッドフィールドで強固な青い壁で封じ込め続ける。実は前半途中から、この相手が攻めに攻めても期待したゲインが出来ず、むしろ接点を下げていく展開は見え始めていた。それが、最高の形で炸裂したのが41分からの10分間だった。

 

まず後半開始5分のトライで24-10とリードを広げ、このチャプターの結末は狼士の連続攻撃を#7ラクラン・ボシェーもタックル&南アの野武士#12ダミアン・デアレンデのサックによるPK→ラインアウト→右展開からの#12ディラン・ライリーの絶妙なグラバーキックをFB山沢京平が際どく押さえるトライに結実している。

 

9点ビハインドを追うビジターにとっては、反撃のためにどうしてもスコアしたかった時間帯が、真逆のストーリーになってしまった展開。折り返しは9点だった点差が、わずか10分で19点に広がってしまった。すこし乱暴だが、この山沢のトライで概ね勝負は決まったと感じてしまった。そこから一時は5点差まで迫ったチャレンジャーは見事だったが、やはり勝負の10分間で、エリアゲームよりもトライを意識して、結果的に逆襲を喰らったチームのナイーブさが敗因だろう。

 

ビジターにとっては痛恨の今季初黒星だが、そう悲観する必要はない。トッド・ブラックアダーHCも「伸びしろがあることを証明した」と振り返るように、最強の相手からの学びは多いはずだ。順当にプレーオフに進み再び激突するとしたら、リーチ・マイケル、ジェイコブ・ピアース、ジョネ・ナイカブラというコアメンバーの復帰も期待できる。

 

再戦がさらに楽しみになる80分だった。