極寒の東京郊外での高ジャパ候補合宿へ。

お目当ては、視察に来たこの方。

 

 

 

 

昨年12月の就任会見から、2回も扱ったエディーだが、来月あらためてのコラムも段取り中。そのためにも、今回の視察でも話を聞いておきたいという判断で、とぼとぼと東京西部へ向かった。詳しくは来月後半?のコラムをお楽しみに。

 

で、練習後にはご本人もしっかり取材に応じている。

 

「高校、U20との連携を取ろうという一環で見に来た。こらからも協力していきたい」

 

高校ジャパンは高橋智也監督、U20は大久保直弥HCと、ともにエディーが指揮したサントリーのOBが桜のジャージーの指導陣に据えられるが、コミュニケ―ション、連繋を強めていくにはいいのだろう。この日の午後は、チームを2つに分けてのゲーム形式。互いに、からにガチの本番という雰囲気は、エディーが直接見守るせいもあってか、この時期のものにしては相当白熱したバトルになっていた。

 

高橋監督は、代表HCとして再会した古巣の指導者について「これから高校世代がどういうモチベーションでリーグワン、代表に挑戦していくかという部分でも、エディーさんは自分を役立てればいいと話してくれている。こういうタイミングで来てくれたのはありがたいこと」と歓迎する。ラグビースタイルは、強力PRとして鳴らした高橋監督だがスピード重視は従来通り。エディーの掲げる「超速」も違和感なく受け入れられている。

 

コロナを挟んで、長らく高ジャパの強化に取り組んできた高橋監督だが、この立場で子供たちを眺めてきて、多くの選手が外国人ばかりになろうとしているリーグや代表に、子供たちが不安も抱えているという現実も感じ取っている。その中で、自分たち高校ジャパンがどんな将来のビジョンを掲げ、進化していけるのかという課題が浮上しているのだ。

 

そこを、旧知の仲でもあるエディーとは腹を割って話し合えているのが、いまの体制でのメリットであり、エディーも先に挙げた「自分を役立てればいい」と、エディーの存在をいい意味で利用しながら、選手のモチベーションを高めていく。

 

今回のキャンプで注目したのはFB/WTB宮里快一くん(名護)。コラムで書いたように、花園では、勝った負けたや、どの高校が強いのかの関心は低く、部員不足などで苦戦を続けるチームの話を聞いて回ったので、名護のゲームはグラウンド移動中の合間に数分見た程度だったが、沖縄というまだまだラグビーが広く普及していない地域で、これだけのポテンシャルを持った選手がいるのかと目を見張った存在だった。

 

 

 

 

練習後に話を聞くと「沖縄県では味わえないレベルでプレーできているので、どの練習もとても収穫が多いと思います。きょう朝、チームでストレングスのトレーニングをしたけれど、自分がチームで一番低い方なので、これから向上させていきたい」と高ジャパ候補のレベルの高さに驚いているようだったが、彼の秘められたポテンシャルは磨き甲斐は相当に残されているとみた。

 

兄・侑樹くん(HO)の早稲田大、三菱重工相模原ダイナボアーズで見せる身体能力をみれば、この兄にしてこの弟だが、進路は兄もプレーした憧れの大学ではなく、天狗の住むような京都北山の猛練習チーム。ジャパンOBが陣取るコーチ陣も含めて、磨かれ甲斐のあるチームを選んだ。イタリアへの当落は、アウトサイドBKの厳しいサバイバルで保証はないが、この段階で彼のような可能性に満ちた素材が世代最高の選手たちとやり合えることに意義があると感じたセッションだった。

 

エディーは先日のブリーフィングでも、高校、大学レベルの視察について「コーチングでは教えられないことをやっている選手は誰かという観点で見ている」と語っていたが、今回の視察では1人だけそうな選手を見つけている。

 

即代表招聘は現実的ではないが、これから本格化していくU20、そして2月のミニ(候補)キャンプで動き始める日本代表と、2027年へ向けたプロジェクトの中では、チャンスを与えられるかも知れない原石が、少なくとも1人はいるというのは楽しみだ。