2024年2度目の週末は、皆さん何処へ?

尊敬するデューク東郷に倣い、行動スケジュールを明かさない主義ではあるが、小生は外苑界隈での2日間。たまには、行く試合、行かない試合も交えて週末の展望なんかも書いておきましょう。

 

一番メディアが集まる(のかな?)のが、土曜の大学選手権決勝戦。

帝京大vs明治大という王道カードになっているが、大学ラグビーに関しては、昨年11月26日の関東大学対抗戦でのこのカードで、相当な確度で先は見えてしまったと感じている。

 

接点とスクラムという自分たちのストロングポイントで圧倒的な優位に立つのが王者・帝京だ。対する明治は、いまや大学屈指の才能あふれるBKラインを誇るチーム。過去の黄金時代も、このチームは実はいいBKを揃えていたのは間違いない。深いラインから縦に走り込むアタックラインは流れずに相手防御に刺さり、突破する。いまのメイジは、フラットなショートパスと、往年のアタックとは異なるイメージだが、選手権準決勝ではラインの角度(深さ)を変えたアタックから、好タックルの京都産業大の防御を崩す効果的なゲインをみせた。

 

この黄金BK。キーマンはもちろんSO伊藤耕太郎(國學院栃木④)だ。走りながらパスを受けるので、相手防御はすこし厄介だ。自ら仕掛けるスピード、ステップを持ち、ラインを走らせることにも長けたゲームメーカー。相手防御の相手スペースに、フラットに放り込むパスもいい。おそらく帝京は、まず接点の部分でFWにプレスをかけて、この10番を好きなように動かせないようにするはず。ここの凌ぎ合いで、もしメイジの10が「らしさ」を出せるとしたら、チャレンジャーにも見せ場が増えていくだろう。

 

同じことだが、勝負はスクラム、ブレークダウンにかかっているだろう。ここで帝京が2カ月前と同じ優位に立てば勝負は赤いジャージーに傾く。紫紺の8人が、このエリアでどこまで修正力を見せられるか。京都産業大戦でも、予想以上のスコアになったのは、このシーズン中、ゲーム中の修正力が効いているという印象だ。今回の最上級の相手にも、どこまで修正力を発揮できるかにかかる。素材としては、十分にその力はあるだろう。

 

土曜日は、正直、リーグワンの試合にも後ろ髪を引かれる思いだが、自転車通勤の千駄ヶ谷に。先日もSNSで呟いたのだが、前週の4週目で早くもマッチレースの気配もでてきた(ややせっかち)最高峰リーグ。まずは、ホストゲームでブルーレヴズサンゴリアスにどこまで喰らいつくか。現在2勝2敗のレヴズだが、敗れた相手、勝った相手を見れば、そのポテンシャルは現在の6位という順位以上の力はある。セットは言わずもがなだが、得点141(5位)、失点105(5位)、そしてリーグ1の反則数の少なさ(26)と数値的には優等生のチーム。上位につけるサンゴリアスだが、今季も相変わらずフィジカルバトルでは苦戦を強いられるだけに、このエリアでのどちらがどれだけ主導権を握るかが勝敗に影響しそうだ。このゲームは、レヴズ家村健太、サンゴリアス高本幹也という、将来性のある日本人ゲームメーカーの直接対決も見ものだ。

 

前節、イーグルスに喰らいついたダイナボアーズだが、今週の相手は現在最強の野武士軍団ワイルドナイツ。惜敗を勝利に繋げたいが、今週も厳しいゲームを強いられる。その中でも、自分たちのポテンシャルを引き続き出せれば次へ繋がる。目を見張るのはHO宮里侑樹のスローイングの成長。イーグルス戦はノーミスだったろうか? フィールドプレーは学生時代から折り紙付きだ。スローの安定で、プレー全体にも〝余裕の幅〟が広がるだろう。個人的には、常に惹かれるのがWTBベン・ポルトリッジのラン。まだ今季は1トライながら、すでにWTBの役割がフィニッシャーからチャンスメーカーに移行しつつある中で、あの初速からの加速力は魅力的だ。

 

この「加速スピード」は、日本代表にとっても大事な武器になると考えている。象徴的なのは、かの〝世界最速の医学生〟福岡堅樹だが、ジャパンはいまだにポスト堅樹のスピードを取り戻していない。果たして代表コーチ陣がどこまでポスト堅樹を必要としていたかは「?」もあるが、ジョネ・ナイカブラ(ブレイブルーパス)がこのタイプのランナーとして期待されていたのは間違いない。彼の今季リーグワンでの加速力を見ると、何かを「掴んだ」のがフランスだったという印象もあるが…。いづれにせよ、ボアーズの14番の加速は、エディーの新チームでもチャレンジしてほしいスピードだ。カテゴリーAだが、すでに31歳。ここから2027年を目指すのは、セレクション上もすこしマイナスポイントになるが、現時点ではまだスピードに衰えはないように見える。

 

相模原には「個人的に」と前置きする選手が多いのだが、今節はメンバーを外れた元府中の住人、ジャック・ストラトンも気になる男だ。SH兼SOが売りの二刀流だが、惹かれるのはスナップ、つまり手首の強さで捌く#9でのパスワークだ。府中時代から、9番をつけたゲームは負け試合が多いと、なんとなく感じているが、あまりにもテークバックに依存する投げ方をする日本人SHが多すぎる中で、あの手首だけでボールを捌けるスキルはスピードにこだわる日本ラグビーで生かしたい。まだカテゴリーBの選手で29歳だが、#14同様にチャレンジさせる価値はあると推している。

 

もちろん、このチームには常に刺さりまくるFL坂本侑翼という不動の存在がいるのだが、かれについては、それこそ言わずもがなの選手だ。ここに、こちらも言わずもがなの実績を持つ元オールブラックのヘモポが強烈な3列を組むのが1つの強みだが、今季加入の吉田杏がかなり高いモチベーションをプレーで見せているのが、いいエッセンスになっている。サイズとスピードという天から授かった才能は大阪桐蔭高時代から誰もが認める。才能に溺れているというよりは、彼のここまでのラグビー人生は、「そこそこ」力を出せば容易に乗り越えてこれたという印象だ。それが、今回の愛知県豊田市からの移籍で、「何か」を掴もうという姿に満ち溢れる。ここまでの序盤戦での杏くんのプレーを見る限りは、持て余してきた才能をフルにアウトプットしようという姿勢を感じさせる。ここで、いままでの自分から脱皮出来れば、新しい吉田杏を見ることが出来ると密かに期待している。

 

土曜日、もう1つのカードはイーグルスvsブラックラムズ。前節はイーグルスにしては雑さが目立つゲームをしてしまったという印象だからこそ、今週は締め直してくるだろう。一方のラムズは、ようやく前週で全敗グループから1歩抜け出したが、ここ数シーズン同じ見方をしている。とにかく得点力。防御ではリーグ2位という数値を残すだけに、いかにアタック力を伸ばせるかが課題だ。

 

今季は、カテゴリーA獲得が待望されるアイザック・ルーカスを自由度の高い#15で起用するなど、攻撃力アップに腐心中だが、3敗中の2試合は8点差内の惜敗。このチームらしいロースコアゲームは4戦中3試合で失点が20以内というスコアに表れているが、攻撃力でもう一声というジレンマが続く。個人的には、アイザックが#10でボールに触れる機会を増やした方が相手は嫌なように思うが、とりあえずフリーで持てるポジションで、どこまで得点力を伸ばせるかを模索する。もちろん、まだオフシーズン中のメイン平の復帰で、ポジションの書き換えもあるだろうが、CTBハドレー・パークス、栗原由太、WTB西川大輔と魅力のアタッカーが揃う。FWでもNO8ネイサン・ヒューズや、フランスから絶好調のアマト・ファカタヴァら、アタックが強みの選手がいりだけに、ポテンシャルを引き出せば〝次のスピアーズ〟になる可能性を秘めているだけに、ヒューイHCの下での熟成の時を持ちたいチームだ。

 

おっと、土曜日のカードだけで、かなり書いてしまった。テビタのぶろぐも書いたし、今回はここまででアップして、日曜日のカードは追って書くことにしよう。