正月休止を終えて再開が迫る中で、リーグワンのコラムを挙げた。

 

実は昨年末の開幕前後を前提に準備をしていたものが、優先事項が生じたためのディレイでのアップ。その代わりという意味で、実際の選手のパフォーマンスも交えた〝味変〟も書き込んだ。

 

 

 

 

 

 

斜に構えた生き方を半世紀以上してきた身としては、海外VIP勢の日本、リーグワンに対する〝賛辞〟を素直に受け止めたくはないが、来日のためのポジティブファクターが増えていることは認めざるを得ない。それは昨秋の〝祭典〟での2カ月に渡る某国での生活で具に感じたものでもある。

 

その一方で、日本選手のパフォーマンスも、レジェンドが示唆するように、戦える次元に達しつつある部分もあるのだろう。個人的には「七掛け」くらいで見ているのだが…。百歩譲って日本の選手たちのポテンシャルが伸びているとすれば、当然のことだが、その能力をいかに本当のインターナショナルなレベルへと磨き上げていくかという、日本側の大きなタスクが生まれることになる。

 

エディーと岩渕専務理事が力説した、日本の若い世代を、どう国際舞台の強化サイクルに載せていくのか。具体的にいえば、U20後からリーグワン1、2年目の、とりわけリーグでも主力級ではないキャリアの選手たち。「磨けば光る」という選手が数多く存在する。

 

エディーは早くも高校、大学世代の視察を始めているが、トップによる視察を反映した上で、この世代の受け皿となる組織を立ち上げ、選手のポテンシャルを伸ばす必要がある。それがジュニアジャパンと名乗ろうが、U23、25と名乗ろうが構わないが、重要なのは海外の同じような世代との実戦経験を積むことはマストだろう。

 

話をVIPクラスの来日選手に戻せば、開幕からそれなりのパフォーマンスを見せてくれているのは日本のファンにとっては有り難いことだ。FW勢は自分の立ち位置、どうサポートへ動けばいいかを若干戸惑い、他の選手のプレーに反応して動く選手も見られるが、BK勢は概ねフィットしているように感じている。

 

そして、彼らの華麗なプレーの中には、誰もが真似できないものもある一方で、日本人でも出来るものもあると痛感する。例えばリッチー・モウンガのキック処理やカバー防御は、足の速さだけではなく、次のプレー、その次のプレーを頭にインプットしたあることによる初動の速さが効いている。明日から出来るプレーではないかも知れないが、目の前の現象への対処だけを教えるのではなく、頭の中でどんなゲーム展開の組み立てが出来ているかが重要になる。

 

年末の生駒の麓で会った某大学指導者が来年入学する即戦力であろう好素材を嬉しそうに語っていたが、同時に、いや、さらに重要なのは、即戦力ではない素材も含めて、いかに選手の能力を引き出し、磨き上げることが出来るかだろう。コーチという領域の人たちが大切なのは、選手を獲得することではなく、選手を育てることだ。

 

このような視点から、大挙来日したVIPたちをみると、ユース世代、つまり高校、大学世代の指導者には絶好の贈り物になる。もちろん高校生が出来ない、やる必要のないプレーも多々あるだろうが、彼らが身に着けるベーシックなラグビーをプレーする上で大切なものの最高のお手本になるからだ。一緒にプレーするチームメートなら尚更だが、観戦だけでも学びは沢山ある。

 

そして、リーグ側は、コラムの中でも書いた、いかに母体企業からの出費のバランスをとっていくかを考える必要があるだろう。このまま無下にマネーレースを放置すれば、ラグビーにとってあまり喜ばしくないシナリオも十分にあり得る。これは海外VIP選手の獲得だけではなく、いまだに野放しのカテゴリーA選手の扱いなどのネガティブな問題も併せて善処が必要だろう。

 

ファンが熱狂し、喜んでスタジアムに足を運んでくれている間に、このような問題を改善し、岩盤問題にもなろうとしているホストスタジアム問題、都市部一極集中の問題を、リーグワンだけではなくJRFUが一体となってクリアしてく必要がある。