空気の冷たい土曜日は、対抗戦優勝決定戦を浮気して浦安へ。

 

決定打はもちろん試合前々日の浦安でのアウエーチームのメンバー発表だったが、11月の大学生のゲームも大きく影響した。帝京大の早稲田戦、明治戦を観てしまうと、もう大学ラグビーの関心は「2位以下」争いになってしまったのと、国立での100回目の伝統の一戦も今回の回避には大きく影響して、〝生コルビ〟観戦へ。

 

でも、感心したのは、むしろホストチームのコルビ対策。スタンドのファンはコルビがボールを持てば「すごい!」と大はしゃぎだったが、D-Rocksフィフティーンは、世界最高峰のトライゲッターを、ちょっといいランナー程度に封じ込めた。

 

「内だけ切られたくなかった。内に切るのが上手いので、外だけ切らすようにして入れたのでよかった。全然いけるなと(いう感触)。わざわざミーティングでコルビ(の映像を)出して、コイツはタックルしても絶対に足を外してくるから一生掴み続けとけとディフェンスコーチから言われてたので、しっかりマークしてました。」

 

誇らしげに話してくれたのはCTBで先発した本郷泰司くん。帝京大では苦しいシーズンにスキッパーとしてチームを引っ張りFLまで務めたが、このハードタックラーだけではなく、ライン防御全員が15番がボールを持つごとに、しっかりと反応してトップギアに入る前に、その小さな体に突き刺さった。

 

本郷くんで付け加えておくと、前半にサンゴリアスが鮮やかな左展開から帝京の後半、CTB尾崎泰雅がコーナーポストに一直線に加速したのを、ゴール前ぎりぎりのハードタックルでタッチに押し出すスーパープレーも披露している。今季のディビジョン2では、このハードタックルが炸裂するかも知れない。

 

コルビも、相手の裏へのキックに対して、リアクションからの落下地点へのスピード以上に、プレーを予期した動きだしなど、リーグワンの日本選手では及ばない判断力の高さ、速さを見せたが、プレーした前半40分という時間でのパフォーマンスは「ぼちぼち」だった。

 

 

▲トップメンバーでもない練習試合ながら満席完売!これもコルビ効果?

 

 

ま、本人にとっても、開幕前のウォームアップという位置づけだったはずだ。何度かランも見せ、この日はWTBに入った松島幸太朗との連携も見せたので、公式戦へ向けた感触は掴めただろう。残念ながら取材対応なしというチーム判断だったので、本人のサンゴリアスデビューのコメントはナシだが、そこらへんはコルビと同じような背丈の田中澄憲監督がこう語っている。

 

「(先発起用は)本人もやるという話もしていたので、我々もコンビネーションとか、やっておくほうがいいと思った。コンディションも悪くなかった。(キック処理)あれをフェアキャッチできるのは、すごいですよね。普通出来ないと思う。読む力だと思うし、ディフェンスの上がるタイミングだとか、やはり1個1個の細かいところが一流ですね」

 

これまでも多くのスター選手がプレーしてきたサンゴリアスだが、田中監督はトライゲッターとして以上のコルビ獲得の恩恵を感じている。

 

「びっくりするのは、小さいですよね。ただ、小さい選手が世界のトップでプレーしているというのは、ウチの皆も話してたが言い訳出来ないですよね。だからウチの選手も希望というか夢を持ちますよね。自分次第だと、あらためて思ってくれるでしょう。やはりスタンダードをどの状況でも出せるというのが、トップである由縁だと思う」

 

気になる松島幸太朗とのポジションだが、この日はコルビ15番、松島幸太朗14番という布陣で臨んでいる。

 

「いろいろなチョイスかなと思います。状況によって。たぶん背番号関係なく変わっていくこともあると思うし、こっちがやりたいことも含めて変わっていくと思う。きょうはチームオーダーです。マツ(松島)はいつでもFBできますし、チェスリンはWTBが基本ですけど、BKスリーはいろいろなポジションをやっておくべきとも思うので」

 

2人のコンビネーションについては、まだまだ熟成中という印象だ。お互いが互いを意識したためか、すこし自分で行きすぎるシーンもあった。だが、この2人が2人以上の怖さを相手に与えるのは、おそらくお互いのアタックスキルで、互いの良さを引き出せるコンビを掴んだ時だろう。ここの熟成は、今日の40分でも得る物はあったはずだし、これからの楽しみだろう。

 

今日は見学だったサム・ケインについても田中監督は触れている。

 

「もうちょっと…チェス(コルビ)よりコンディションとしては時間をかけた方がいいかなという判断ですね。開幕? 状況次第ですね」

 

コンディション理由とバックローの役割分担を考えると、サムのNZ国外デビューはすこし急がずかも知れないが、これもファンには楽しみになる。

 

 

▲報道陣は急遽やってきたスポーツH社ラグビー担当程度だった

が、渦中のこのおじさん、失礼この方も。ちなににご機嫌でした

 

 

最後にゲームに触れておくと、今季もディビジョン2というが不思議なD-Rocksにも、やはり昨季逃したものの理由も感じさせるゲームではあった。

 

敵陣22m内のラインアウトなど、スコアに繋がるチャンスを、結構な割合で相手タップ、ノットストレートなどで失っている。この日は双方、Bチームに近い布陣だったため、そこまで徹底して分析されてもいないはずなのに。もちろん、サンゴリアス側のLOサム・ジェフリーズらの高さや反応の良さはあったにしても、おそらく小さなミスや意思疎通の悪さなどが、ゲームの主導権を掴むような状況で起きているのだろうが、ここらの精度アップやディシプリンをどこまで精度アップできるかが、シーズン終盤の大一番を勝ち切るための課題になるだろう。

 

その一方で、後半に関してはホストが24-21とリードで終えている。ここは、サンゴリアスもラインアウトミスや、ブレークダウンでボールをコントロールし切れず(一言でいえばユルいラック)にボールを奪われるなど課題を残している。ともに落とし気味のメンバーだったことを考えると、来週からの本番に直結する課題ではないかも知れないが、選手層の厚みも含めていかにチームのスタンダードを保ち、上げていくかを考えれば、互いに宿題という収穫を得た80分だった。

 

ちなみにコルビは対応ナシだが、是政から浦安に引っ越したケレビは対応。こんな日はカルビでも食って帰ろっと!