昨日とは打って変わった好天の土曜日は、八幡山から飛田給とハシゴの旅。

 

メーンディッシュは飛田給だったが、絶好のチャリ日和に「京王線まで一丁走るか!」と決めたことで、八幡山寄り道プランが浮上した。

 

練習時間も確認しないままグラウンド周辺まで来ると、ワーキャーと〝お取り込み中〟の声が。もちろんビッグマッチ前日なので「非公開」という可能性もあったので、そろりと覗いてみると、旧勤務先の先輩記者が1人ポツンといるのを発見。

 

「Aチームは非公開で、練習後に選手が取材対応。いまはBチームなので見ていいんだよ」

 

結論から書けば、一本目はもぬけの殻となった練習を観ていたのだが、前週の慶應義塾戦を観ても、BKラインの攻撃力は目を見張る。何も今季からそうなった訳じゃないが、昨季以上に決定力を持つメンバーが揃い、学生屈指のアタックラインと称していいだろう(全チーム観てないので憶測ですが)。

 

中でもSO伊藤耕太郎くん。ファンの方なら、その能力はご存知でしょうが、自ら仕掛けてもヨシ、ラインアタックでも、レシーバーに最高のタイミングでパスを放るグレートパッサーでもある。この司令塔を次回、次々回のワールドカップに行かせられなければ、所属チームのコーチはお仕置きですよ―と言えるほどの才能に満ちた10番だ。ラグビープレーヤーという資源不足に喘ぐ日本だが〝秦野のファタジスタ〟ゆらぎくんと、この八幡山の司令塔を有するだけで、次世代司令塔に関しては楽しみでならない。

 

BK中心選手がすこしの期間離脱する様相の明治だが、慶應戦でもインパクトを残したCTB平翔太らBKの選手層は厚い。やはり昨季同様、日曜日はこの黄金BKにどこまでいいボールを供給できるかというFW勝負になりそうだが、神鳥監督は菅平での善戦などで昨季以上の手応えを感じている。「自分が就任してから、いちばんわくわくして試合を待ってますよ」という言葉を信じて京王線八幡山駅に向かった。

 

しかし、いまや往年の早明戦の位置づけでもある帝明戦に、紙媒体は1社という現実が、これからの大学ラグビーにどんな影響を及ぼすのか…。7人制のオリンピック最終予選や他のゲームもある中で、大学生の前日練習じゃそこまで記事にならないという判断を各社ラグビー担当はしているのも不思議ではないが、好奇心という領域まで踏まえると、なんとも寂しい限りだ。

 

日本代表、代表選手が所属するリーグワンに注目が集まるのはリーグ構想が浮上した段階で明白だった。だからこそ、大学ラグビーを、日本のラグビーの中でこれからどうキャラクタライズして行くかって、日本のラグビー風土の中では非常に大事だし、協会のチャレンジポイントを考えていたが、どうも〝野ざらし〟にされている印象。なかなかイングランドのバーシティーマッチのような位置づけを作ってやらないと、ここまでに築き上げた人気という〝財産〟を日本ラグビーは手離すことになる。

 

キヨさん(清宮克幸)が日本協会副会長就任直後に大学ラグビーのバリューを説いていたが、協会全体としてはどうもそこまで関心はないようだ。「日本」「関東」という2つの協会の間に存在する〝溝〟も影響しているのだろう。

 

そんなことを思いながら明治Bの練習を眺め、伊藤宏明ヘッドコーチ、神鳥裕之監督ともワールドカップや日本代表、代表HC人事のオフレコばなしをしてから、すこし巻き気味に飛田給へ。

 

プレシーズン府中ダービーは、開幕が近づく中で双方そこそこのメンバーでの勝負となったが、お互いにキャラクターと課題を見せ合う展開になった。

 

最初に主導権を掴んだのはブレイブルーパス。強烈な風上に立ったキックオフ直後から「むむっ」と唸らされたのは、積極的に接点を作り、そこで相手を押し込むフィジカルの強さ。激しく当たり、1歩でも1㎝でも前へ。小一時間前までいた八幡山のラグビーではないが、やるべきことをしっかり全うしてきた印象だ。

 

 

▲ブレイブルーパスのチームウェア背中にしっかりとプリント

された今季スローガン。果たして本チャンで1つになれるか!

 

 

だが、完全に相手を突き離せないスコアで折り返すと、今度はサンゴリアスが覚醒する。接点で前半以上にうまく芯をずらすようにして、2人目、3人目のスピードでボールを確保し、素早く展開するラグビーを取り戻した。ルーパスもデンジャラスゾーンまでは何度も攻め込むが、ブレークダウンで驚く程の反則を犯しチャンスをスコアに繋げることができないまま、スコア上はワンサイドのゲームに終始した。

 

もちろんここには、大幅に入れ替えたメンバーの影響もある。そこまで深刻ではないように感じたが、後半修正力を発揮したサンゴリアスと、すこし「?」な反則であったとしても修正できないまま相手にスコアを重ねられたルーパスに、選手層と、ここ数シーズンの優勝に関わるビッグマッチの経験数の差を感じずにはいられなかった。

 

 

試合後にはブラックアダーHCもシャノン、リッチーに声を掛けた。ブ「来

いってもらうさけ、準備していおておくんなはれ」シ&リ「まぢ!」てな

じゃないと思うけど…(選手情報だと両人プレーしたくてしようがないそうよ)

 

 

そんな中でも、ルーパスはリーチが先発で奮闘し、自動車免許の更新ですこしパフォーマンスを落したらしい(リーチ情報)ワーナーも健在ぶりを印象付けた。リーチは「まだ6割くらい」と手応えを語ったが、次週のプレマッチ最終戦、開幕戦へといい感触は掴んでいる様子。そこに、この日はスタンドで観戦したFLシャノン・フリゼル、SOリッチー・モウンガが加われば、破壊力は相当アップしそうだ。

 

試合はサンゴリアスのホームで行われ、府中市もからんだイベントではあったが、ルーパスがバイスキャプテンHO原田衛、FL佐々木剛、リーチ、ディアンズと4選手が平均5分程度の取材対応をしたのに対して、〝ホーム〟チームは勝者にも関わらず対応はナシ。試合後のファンイベント、選手のコンディションを優先しての判断だが、ファンイベントをしてからも4選手が順番に取材対応したルーパスとの差は明らかだった。これは、チームの置かれた事情や、チームの運営方針などが反映された〝差〟なのでやむを得ないが、結果としては、この拙文でもチーム方針を尊重して、サントリー選手への言及はやめておこう。