決戦目前ながら、呑気に絵日記をアップします。

 

本日は、すでに我が町と化しているサンドニの一部ご紹介。

以前も触れたが、過去には悪名高き町だったが、いまは長閑な庶民の町(ただし、移民系の方が不安という人はご注意)。

 

この町の商店街の北側は、トラム1号線サンドニ大聖堂駅がある。メトロ13号線も停まる便利な場所だが、そこにBASILIQUE(正式にはCentre Commercial Basilique)という巨大複合ショッピング街がある。この町のランドマークってところか。

 

 

 

 

 

敢えて複合と書いたのは、写真でもわかるかな? 地上階が商店で、上層階は集合住宅、一部オフィス、ホテルも入る1つの町の様相を見せているからだ。

 

 

 

 

午前中に軽い朝食やコーヒーを一杯飲みたいときにも重宝で、よく使わせてもらっているのだが、カフェでぼーっと往来する人や、施設を眺めて感じるのは、ここが現代フランス版「スーク」だということ。

 

スークは、トルコやアラブ系諸国の市場で、どでかい建物の中に、間口1~3mほどの小さな店がぎっしりと並んでいる。手に入らないものはないという感じのマーケットだ。

 

 

▲こんなアラブ系のウエディングドレス屋さんも

 

▲巨大スポーツ店のル・ブリュのシャツの前のウインドウは何故かひびが

 

 

その現代版のような雰囲気がここにはある。

ただし、本物のスークと異なるのは、その設計上のプラン、アイデアだ。

上層階を見ると分かるが、かなり挑戦的なデザインも感じられる建物の集合体だ。

 

 

 

 

おそらく建てられたのも20~30年前か。その時代の挑戦的な設計を感じる外観で、日本でいえば行動成長時代の、すこし洒落た部類の公共住宅という感じだろうか。

 

その現代仏版スークの横には、以前紹介したサンドニ市場(マルシェ)もあり、金曜日のこの日は市場と〝スーク〟の間の道にも露店があふれ、まさに超巨大スークの体を成していた。

 

 

 

 

その〝スーク〟から徒歩1分にあるのが、我が臨時支局だ。悲しいことに、フランスくんだりまで来て、お世話になっているのはマクドナルド・サンドニ大聖堂店(そういう名前かなぁ)。「カフェの国で、なんでまたぁ?」とお笑いの方もいるだろうが、何と言っても電源である。

 

日本以上に電源には寛容な国(国鉄駅は電源、WiFi使い放題!)だが、確実にある、使えるとなるとマクドは安定感抜群なのだ。時間帯で、WiFiを止めているが、結局ルーターを持参したので電源が最優先。スタバも日本と似た感じで使い勝手はいいが、我がサンドニにはスタバなんて全くないので、どうしてもバーガー屋になる。

 

ただし、バーガーのクオリティーは日仏共通。出来る限り、カラメルサンデー&ナッツトッピング(この日は朝メシでプチ・バーガーセット)でPCを叩く。写真に上げた2階「角席」が定位置になってしまっている…。

 

 

 

 

ちなみに、何度行ってもマルシェは惹かれるので、この日も中を探索。魚屋さん、おばちゃんは一件怖そうだけど、カメラに気付くとポーズをとって「どこから?日本?だったら魚でしょ!」と大騒ぎ。彼女も、おそらくアラブ系(北アフリカか)の顔立ちだが、片言英語と翻訳アプリで話始めるとなんちも人懐っこい。ただ、まだまだ未熟者のため、人懐っこいヒトと悪人の分別は難しいのが、難儀でもある。

 

 

 

 

 

 

で、人懐こさなら、この日のランチのオヤジもだ。

外のメニューで「タジン・チキン」を読み取り中へ。注文して待つ間に、「モロッコで食ったタジンが美味くて虜になった。マントンで寄ったアルジェリアレストランもよかった」と話すと、「おお、そうか!俺もアルジェリアなんだ。北アフリカは、どこもタジンやクスクスだよ」と、国境線に囚われない自分たちの文化圏への誇りを感じるはなしぶりだ。

 

昨夜に続く、北アフリカ系メシだが、そうやら味覚がそちらに傾いている。こってり煮込んだスープ状の野菜と、それを染み込ませたクスクス、そしてローストやグリルしたチキンや肉類。この先、いわゆるヨーロッパの食い物に戻れるか、不安を感じながら、ホロホロのチキンにかぶりついた。

 

 

▲フレンチフライはマラケシュではあり得ないが、オリーブが入った煮込みはいい

 

 

このオヤジ、最高なのは料理に没入する小生の席に、コンと何も言わずにミントティーを置いてウインクしてくれた。アラブの民の歓迎の印。こってり甘いお茶だが、この料理にはコーヒーよりもこっちがいい。

 

先日、パリ市内でトラムに乗ろうとしたとき、車椅子の男性に、まるで友人のようなにこやかさで近づき、椅子を車両内へ押していたのも移民系のお兄さんだった。こういう光景は、各地で時折見てきたが、自己責任と自己主張を育む文化と、自分たちも様々な苦労をして生きてきた人たちの分化の違いを感じるときもある。

 

しかし、これだけ移民系の人があふれ、商店も彼らが必要な店、レストランばかりだと、いろいろ考えることもある。昨日まで数日過ごしたパリ東駅近くも、相当の数のアラブ、アフリカ、インド、アジア系の人たちの坩堝だが、それでもフランスという国の分化の中に溶け込んでいる印象がある。だが、サンドニは異国人がフランスを占拠しているようにも見えてしまう。

 

複合国家。

1つの国に、2つの分化、社会がある。

こんな小説を読んだのは、フィリップKディックだったか?

 

良し悪しではなく、それがいまのフランスという国だ。