その男は、地中海を見下ろす小高い丘に眠っていた。
永久に繰り返される穏やかな波音と、浜辺の子供たちの嬌声を子守歌に。
あの日、この男がボールを抱えて走り出してから、すべてが変わった。
ゴールへと失踪する少年の鼓動が、世界中に広がり、
そしていま少年が眠るフランス各地で高鳴る。
誰もいない墓石に、語りかける。
「すべてあなたのせいですよ。ウェブ。
世界は戦争やウィルスは克服したけれど、いまだにラグビ
ーという病に取りつかれた人たちがたくさんいるのです」
石の塊から答えは返ってこないが、答えは分かり切っている。
「次世でまたボールが私の所に来たら、抱えてゴールへと走るさ。兄弟よ」
これ以上語ることはないだろう。
あとは写真で
▲こじんまりしたマントンの街中。モナコ、ニースよりは落ち着いた
イタリア国境にも近い町だが、あまりエスニックの香りがしない?
▲そんな、こじんまりタウンにも素敵な映画館。さすがフランス
▲ビーチサイドに広がる町から、墓地へは急激な坂道を上る。
途中休憩の広場からは、素晴らしいCote d'Azurの海原が
▲こんな〝墓の細道〟の先にウェブは眠っている
▲墓地の中の案内図は「WEBB ELLIS」のみ。なんだか「ビ
ール冷えてます」「冷やし中華始めました」みたいなカンジで
▲エリスの墓地からも地中海が見える。お供
えは、もちろんジャージーと楕円のボールだ
▲不謹慎ながら、墓地からの眺めが素晴らしい。これを目的にでもいい