ワールドカップ前最後の試合の振り返りと、その先を。

 

終盤まで競った展開は、すこし前進と評価もできる。4年前でも、南アフリカにしっかりとやられて、本番でスパークしたチームだ。組織力を、残された時間で、どこまで上げていけるかが勝負だろう。チリ戦で、しっかりとステップアップして、大きなターゲットになるイングランド戦へと仕上げていけるかが勝負になる。

 

 

 

 

コラム後半は、リーダーシップという若干精神論に踏み込む内容にしたが、選手32人誰もが頭もハートも「ウチのリーダー」というマインドで戦うには、すこし時間が必要だろう。姫野が、このチームの中で多くの選手がリーダーだと認めていたとしても、試合を重ねること、このリーダーの下で失敗、成功を積み上げて、ようやく本当のスキッパーになるのではないか。

 

リーチが主将として、チームを引っ張ってきた経緯を見ていると、どうしてもそんな思いがこみ上げてくる。

 

実は、その背景には、本当にこのチームが1つに繋がっているのかという思いもある。ここは、セレクションの影響もあるのではないだろうか。大きくひっくるめれば「技術的」な評価かも知れないが、多くの人が「?」と感じた人事の中には、そうではない理由も聞こえてくる。もし、選手が同じような受け止め方をしていれば、2019年のようなアンサンブルを奏でるのは、当時以上に難しいかも知れない。

 

組織力の完成度を上げるのは、そう容易じゃないことだ。だが、ディテイルを磨き上げるような作業に驚異的な集中力を持つのも、ジャパンの強みの1つだ。4年前のコラムでは伝統工芸の職人のような表現で選手を語ったが、その磨き上げる技術は、我が家の近くにも数十年前には少なくなかった町工場の職人のようでもある。

 

その職人技と、まだフルハウスで出し切っていない、トニー・ブラウン仕込みのアタックがブレンド出来れば、トレヴィーゾでは燻っていたフィフティーンが、輝き始めるのだが…。

 

 

そして、これもここまで来ると余談だが、SOに呼びたい男が1人いる。