Ⓒクボタスピアーズ船橋・東京ベイ

 

リーグワン第3節の神戸戦(22日、ノエビアスタジアム神戸)メンバーが発表された20日、東京ベイのフラン・ルディケヘッドコーチと南アフリカ代表HOマクコム・マークスの2人がオンライン会見に応じた。

 

もちろんマルコムのメンバー入りが主眼となった会見。隔離期間を明けたチームのキーマンは、こう意気込んでいる。

 

「まずは、こうして戻れたことが嬉しいし、プレーできることが何よりも楽しみです。現状ではチームもいい雰囲気だし、自分にも期待している。スタジアムでオレンジアーミーの人たちの前で戦うことを楽しみにしています」

 

ボカ=スプリングボクスで秋のテストシリーズ後、マルコムにとっては結婚式という大きなイベントがあったために、チームから2週間のオフをもらっての一時帰国。オミクロン株の拡散で予想外のハードルが出来てしまったが、6日間のホテル隔離、その後の自宅隔離を経て神戸戦に間に合った。

 

マルコム自身は、隔離を経ての合流を「正直、難しい状況だった。自分1人というものあったが、モチベーションを保ち続け、フィットしていくことは難しかった。ラグビーはチーム競技。他の選手のモチベとか、切磋琢磨してやっていく部分があるので、自分のベストを尽くして1日1日を出来る限りやってきた。まだフィット面とかで練習は必要ですが、チームのためにいちばんいい状況でもっていけるよううに頑張っていきたい。現状で出来る部分では準備はできていると思う」と難しさと、神戸戦への自信を語ったが、新婦と共に来日したそうなので、随分とhappyな隔離生活だったことでしょう。

 

実戦が、昨秋11月20日のイングランドとのテスト以来。ゲーム感覚が気になるところです。ゲームフィットという部分での不安があるのかを聞いてみると「それはない。自信はかなりありますし、自分の仕事をするだけです。能力を最大限に出していくだけです。確かに試合は去年の11月の代表戦からなかったが、チームもいい感じで仕上がっている」と語ってくれました。

 

 

 

2週間のオフは結婚の準備で、ほとんどラグビーからは離れた生活だったそう。来日前にはザンジバルに滞在していたそうで、「かなり熱いなかで体は鍛えてきた。走ったりフィットするための活動はしていました。南アフリカ出国時よりもフィットは出来たと思う。島なので、あまりラグビーの練習はできない。ビーチでランを多めにやって、フィットネスのほうに重点をしぼってやっていました。かなり走りました。あとはスイミング、シュノーケリングで、できるだけ呼吸系、肺を使うなどに意識していた」と語ってくれましたが、奥様とのバカンスが、いい気力の充電になったと期待しておきましょう。

 

対戦相手の神戸は、開幕の浦安戦よりも、前節の横浜戦が内容も悪化している印象。チーム、選手がモチベーションを落とす〝何か〟があったと考えた方が頷けるような内容でしたが、もう後がないとういう危機感で挑んでくるはず。昨季トップリーグプレーオフ準々決では23-21で凌いだ相手だが、2節までの勝敗に関係ないヘビー級の厳しいバトルになると考えたほうがいいでしょう。その強豪との激突に、ルディケHCは「われわれは次のタスク、ミッションへの準備はできています。エキサイティングで、いい1週間を過ごせています」と自信を漲らせています。

 

リザーブからのマルコムの投入には「キープレヤーの1人ですし、昨季の成績も彼のおかげもある。もうチームにフィットしているし、元気で、早くクボタで試合にでて貢献したいという気持ちもあるので、どれくらいやってくれるかも期待しています」と語っていますが、もう1人の復帰選手の存在もチームには大きな追い風になるでしょう。

 

昨季神戸戦でのレッドカードに伴う出場停止処分が明けるSOバーナード・フォーリーは、背番号10でメンバー入り。神戸戦で退場して神戸戦で復帰という因縁の試合になります。開幕から10番を背負ってきた岸岡智樹も奮闘しましたが、強豪・神戸戦を前にした、このゲームメーカーの復帰はチームのアグレッシブさを加速させるのは間違いないでしょう。練習と、出場可能だったプレシーズンマッチを見る限りは、チームへのフィット具合、ラインアタックを加速させる抑えの効いた鋭いパスは準備万全と考えてよさそうです。

 

〝謹慎期間〟も、いつもと変わらないおどけた素振りで周囲を和ませ(プレー以外では〝アイスマン〟ではないので!)、練習前後、そして試合観戦中には、しきりに選手、コーチと、時間をかけて話し合い、アドバイス、コミュニケ―ションを積み上げていくのが、バーナードの特性でもある。ルディケさんも「彼はオンフィールド、オフフィールド共にチームにエナジーをもたらしてくれる選手。マインド面でもリードしてくれるし、ラグビーに関する知識もすごいスマートな選手。いちばん彼が貢献してくれるのはゲームコントロールの部分。過去数年見ていてもそうだし、ワラタス、ワラビーズでも同じだが、彼に対してはエキサイイティングな気持ちだし、チャンスをものにしてスマートにやってくれると期待しています」と絶賛するゲームメーカーが、チームにどんなプラスをもたらすかも楽しみなゲームになります。

 

この会見に伴って、チームから一足早いお知らせがありました。

 

15日に起きたトンガでの火山噴火による被害が徐々に明らかになる中で、東京ベイは、神戸戦でトンガへの応援、支援の思いを込めて同国代表ジャージーと同じ赤のストッキングを着用して試合に臨むことになります。

 

 

これは、週明け月曜日のコーチミーティングで「何かをしよう」という意見が出て、火曜日には選手らが決めたそうです。昨季トップリーグで、母の日に因んでピンクのストッキングを使ったのに続くもので、奇しくも同じ神戸が対戦相手。同時に、東京ベイとしては、ブルーのセカンドジャージーのお披露目にもなる試合です。このような思いや提案が、運営サイドでも、本社サイドでもなく、選手側から出てくるのが、いまのチームのマインドをよく示しています。

22日は、ブルージャージーに〝レッドソックス〟というレアな東京ベイも楽しめそうですね。