▼リーグワン・プレシーズンマッチ 2021/12/18 千葉・市原ゼットエーオリプリスタジアム

コベルコ神戸スティーラーズ 31-10(前半10-5) クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

 

大学選手権3回戦を浮気して、遠路市原へ。

気温7℃に寒風吹きすさぶオリプリスタジアムで鐵と槍のバトルを見てきました。

前週の神戸vsリコーを見て、こちらの試合を観たいという欲望がさらに高まっての秩父、東大阪スルーとなったが、期待通りのゲームとなった。

 

一言でいえば、ヘビー級のタイトゲーム。

最終スコアは神戸の快勝に見えるが、残り7分で17-5というテストマッチのようなスコアでの重厚なバトル。

前週にリコーに重圧をかけた神戸だが、クボタのFWはやはり侮れない。

LOルアン・ボタの相手ボールをもぎる獲るようなスティールなど、互いにではあるがブレークダウンでのターンオーバーを奪い合う肉弾戦を寒風の中で堪能した。

 

ハーフタイムのスコアを見ると、後半かなりの風上に立つスピアーズにも期待はあった。しかし、反則の多さ(手元でクボタ10、神戸1)、ラインアウトミスでの自滅で突き放された。

後半39分のカウンターアタックからの近藤英人合谷和弘と繋いだトライは見事なスピードだったが、直後に好調の神戸WTBアンダーソン・フレーザーにダメ押しトライを奪われて万事休す。

 

クボタがホストとなった試合は、会見もクボタのフラン・ルディケHC、立川理道主将のみ。

なので、神戸サイドにお願いして、CTB李承信くんに話を聞いた。

 

リコー戦でも先発して、何度もいいアタックを見せていた承信くん。この日も変わらず、仕掛け続け、チームのアタックテンポを作り出していた。

帝京大を中退して、まだ20歳。間違いなく〝赤い旋風〟の要注意選手…どころか大学ラグビーを代表するSO/CTBになるポテンシャルを持っていたが、大学3年生世代で、このクラスでここまでやれるとはと毎試合関心してしまう才能である。

 

本人にプレシーズンの感触を聞くと、こう話してくれました。

 

「CTBに入って積極的にやれていると思います。結構体を絞ったので、ランのところ、ボールキャリーのところで、フットワークを使いながらプレーできています」

 

178㎝、88㎏。大学でも小兵のBKだが、切れ味のいい足運び、しっかりDFを正対してボールを受ける姿勢など、基本スキルがサイズ以上の〝厄介さ〟を相手に与える。

いまやジャパンでも190㎝級のBKがいる時代だが、このハタチは日本の宝になる。

 

名門・帝京大を離れるという大きな決断をした承信くんだが、神戸での生活に「20歳でいい経験をしていると思います。でも、そこはまだまだ満足せずにいきたいと思います」と旺盛に前を向く。

神戸の福本正幸ディレクターは地元のラグビースクールでコーチ時代に承信少年と出合い、その才能を認めていた。

通常通り帝京大を卒業しても獲得を目指していた選手が、すこし早くチームにやって来たことになる。

 

承信くん自身が考えるこれからのチャレンジは、コミュニケーションだという。

 

「ボールキャリーだったり、そういう部分は結構通用するのもあったので、そこを継続しながら、CTB、SOとしてコントロールというか、コミニケーションのところをもっとオーガナイズできるように頑張っていきたい。FWを動かす部分も含めてです。CTBとはいえ、ダブルSOみたいな感じので、そこはCTBででる試合でも10番の役割を意識してやってます」

 

SOにはクルーデン、CTBは主にインサイドなのだろうが、WTBでもスピードを見せる足はアウトでも使える。いづれにせよ、ミッドフィールダーではラフェエレ・ティモシー、この日もアウトで先発したアタアタに、リチャード・バックマンと凄まじいライバルが揃う。裏を返せばSO、CTBで学ぶべき才能に囲まれている。

 

しかし、こんな才能を、チームの育成だけに任せっきりというのは、あまりに勿体ない。

このぶろぐや他の機会にも何度も書いてきたが、次のジャパン世代、そして現在の代表選手層に厚みを持たせるポテンシャルを秘めた選手は、過去に例がないほど揃っている。

 

ちなみに、この市原のスタジアムには、こんなジャージーが飾られている。

 

 

このジャージーを着た多くの原石が、世界で戦う力をつけ、日本代表をベスト8という高みに押し上げた。

原石を磨くのは、ジェイミー・ジョセフHCではなく協会の仕事だということをお忘れなく。