非常識なほどの早朝便で着いた羽田で清書してます。
昨日の試合です。
パスのあるいい試合でした!
やはりウェールズのゲームは際立っていますね。
相手を殺すのではなく、パスを生かす。
大分の夜、とはいえ小生、試合後は小倉に戻ったので大分に泊まらなかったのですが、またまたウェールズのパスを武器にしたラグビーが、この日を素晴らしい夜にしてくれました。感謝。
前戦で息を吹き返したようなフィジー。というよりも負けたウルグアイ戦が、ただ単にメンバー下げて自滅しただけともいえそうですが、その勢いは、この日も続いてました。
それに加えて、コンタクトでも体のデカさを武器にレッドドラゴンに挑んできたフィジーが、立ち上がりから主導権を握る展開です。
3分には右WTBジョシュア・トゥイソバさんが3人がかりのウェールズ防御を突破して先制トライです。右手一本でね!
8分にも連続攻撃からFBキニ・ムリムリバルくんも、ディフェンス2人のタックルを受けながら右手を伸ばすようにしてインゴールにボールを届かせました。
これでフィジーの10-0。最高の出だしです!
序盤戦の開始15分を経過してのスタッツを見てみましょう。
ポゼッション 15% : 85%
ラン 68m : 141m
パス 8回 : 33回
もちろん左がウェールズ。もう完敗の数値ですが、ここからようやくドラゴンが目覚め始めました。
この日のウェールズ。パスを駆使したワイドアタックだけじゃないフレーバーでフィジーに挑んでました。フェーズアタックではワイドにパスを回して攻めるだ毛ではなく、FWのランナーを縦に入れて連続ラックを作り、そこから外に展開というパターンも積極的に使ってました。
反撃ののろしは、前半17分。いつものBKによるラインアタックに、このFWを縦に入れるプレーも織り交ぜながらの連続攻撃で完全に自分たちのテンポを掴むと、SOダン・ビガーの必殺のキックパスをWTBジョシュ・アダムスがゴール目前で好捕してのチーム初トライ。最初の敵陣22mライン突破で鮮やかなトライを決めています。
この日のアタックについて、試合後の会見でウォーレン・ガットランド監督は「対フィジーに関しては、FWにボールをできる限りしっかりと持ってほしかった。ゲームペースを掴めず苦戦しているところもあった。できる限りフィジーを疲れさせたいと思ってました。われわれのフィットネスがあれだけ素晴らしかったのは、いままでのハードワークの賜物です。なので、そこを発揮していきたかったのです」とフィジー対策も踏まえて語ってくれました。すこし質問の意図が伝わりづらかったこともありましたが、名将のフィジー戦のビジョンはいくつか理解できました。
参考までに試合終了後のスタッツも挙げておきましょう
テリトリー 43% : 57%
ポゼッション 40% : 60%
ラン 384m : 465m
パス 167回 : 121回
実は、数値的にはウェールズの苦戦が伺われます。
他のエリアの数値も、せいぜいどっこいどっこい。
では、なぜウェールズが勝ったのか。多少のこじつけも我ながら感じるのですが、おそらくそんなに長いフェーズ回数ではなくトライが取れていたこと。
そして、タックルであろうと。
タックルの回数はフィジーの72に対してウェールズは126。タックル数には関しては試合の内容で評価が変わるものです。回数が多いのは防御時間が長かったとも解釈できるからです。ちなみに、この試合の成功率は、ほぼ同格です。
しかし、個人のタックル回数を見ると、興味深い数値が見えてきます。
両チームのトップ7人が全員ウェールズの選手で、上位6人が先発FW勢です。しかも、2位のFLジェームズ・デービス、3位LOジェーク・ボールは、10回以上のタックルをすべて成功させている。トップのLOアルンウィン・ジョーンズ主将は成功率は89%と2人には及ばないものの、成功回数16と断トツの数値です。先発LO2人で29回タックルして27回成功しているのもいいですね。
華麗なアタックに目が行ってしまうウェールズですが、ここら辺の地道で泥臭い仕事量で、それこそ派手派手でインパクトのあるフィジーの攻撃に対抗し続けた結果が勝利につながったのでしょう。ここらへんの数値が、寿司屋の親方みたいな風貌のガットランド監督のコメントにつながってますね。
ちなみにウェールズのファーストトライを決めたアダムズ選手は、フィジーの先制トライでは1on1のシチュエーションで、フィジーのWTBジョシュアさんに思い切りぶっ飛ばされトライを奪われてます。あの場面で絶対ボールは落とせなかったですよね。でも、ジョシュさんの挽回プレーは1トライに終わりませんでした。前半30分、後半20分と左オープンからトライを奪い、いわゆるハットトリック。自分のミスを2倍、3倍返しでアピールしてます。そりゃ、あのタックルミスやっちまったら、決勝トーナメントのメンバー選考考えりゃ必死になりますよね。
そのジョシュさんの後半20分のトライですが、美しい一撃でした。まず左展開からCTBハドリー・パークスが思い切り縦を突いてロングゲイン。すると次の順目のフェーズで今度は同じCTBのジョナサン・デービスが、パークスの突進で歪ができたフィジー防御のスペースを突く。必死のフィジー防御の重圧を受けながらもデービスは外側の左手でオフロードパスを浮かせると、コーナーぎりぎりのところでアダムズくんがボールを受けて、エビぞりのようによじりながら体を残してインゴールに飛び込んだのです。
強さと柔らかさ、そして最後の曲芸師のようなプレーを織り交ぜたゴージャスなトライ。これぞレッドドラゴンというトライに、屋根付きスタジアムが大好きなウェールズの皆さんの大合唱がキャンバス製の屋根にこだましました。あ、布なんで、こだまはしないね。
今大会、幾度か触れたようにカード乱舞の大会になってます。実は、この試合でも両チーム仲良く2枚ずついただきました。ただし、レッドかなぁ~なんて思った危険なプレーがイエローだったり、すこし〝赤狩り〟つまりヒステリックなジャッジは沈静化してるのかなーなんて期待もしましたよ。
で、カードに負けず劣らず、というかカードで一難去って、今度はコイツか? とすこし身構えたのがTMOです。北川景子のダンナさんが日本代表のLO〝トモ〟を略したんとちゃうぞー、ここ試験出るぞー、じゃなくて、新手のたまごかけご飯でもない。平たく言えばビデオ審判ですね。
この日は手元で数えて6回かな。13分に1回くらいのペース? 試合終わるの遅れる遅れる。これまでもうんざりするほどTMO見させられてきたけど、これから重要な試合が増えてくるので、レフもどんどん〝えむって〟くるんちゃうの?
でも、この試合でのTMOをあまり煽るつもりはないんです。
というのは、この日のTMOって試合したのがウェールズとフィジーだったからだと、勝手に納得している物件が多かったと思うのです。理屈よりも、試合後の印象でもあまりTMOの不快感はないんです。実は。
これは、やはりこの2チームがかなり高度なハンドリング技術を駆使して、相手防御とのギリギリのやり合いの中で、パスをしているシーンが多かったからだと思います。とくにフィジーかな。「フラットパスか? フォワードパスか? どっちやねん」というプレーが、ビデオでねっちりとチェックされていたのです。
だからTMO=悪代官、越後屋という考え方はやめましょう!
で、もう少しだけ余談を。
【その1】オモロ編
前半26分のことです。ウェールズボールの敵陣ゴール前左のスクラム。左のショートサイドを8-9-11というオプションでしょう。準備してたヤツね。で、これもTMOで11番アダムスさんがタッチ(グラウンディングより体がタッチの外に出たのが早いという判定だが、かなり際どい!)。ただしフィジーの反則のアドバンテージがあり、ウェールズは再びスクラムを選択。すると、SHガレス・デービスさん、今度も同じように左のショートサイドにいるアダムスにパスしたのよ。性懲りもなく。今度はキレイにタッチに押し出されてしまいましたけどね。でも、その直後に連続攻撃からの左オープン攻撃で、ついにアダムスくんインゴールを攻略したのです。なんだか執念深いトライって感じでしたわ。
【その2】美しい瞬間編
後半20分のトライに負けない美しい光景が見れたのは、後半15分くらいでした。パントを捕ろうと、ウェールズのSOビガーさんとFBウィリアムズ選手が共にジャンプして交錯。空中で頭部を打ったビガーさんが、グラウンドに倒れたところに、ウィリアムズ選手の体が再び頭部を直撃したのです。
選手を搬送するためのカートもグラウンドに入り、倒れているビガーさんに横づけという状態。でも、ビガーさん、なんとか立ち上がると、カートも担架も拒んで脳震盪のメディカルチェックを受けるために駆け出したのです。ウェールズファンが多数を占めるスタンドは拍手喝采、阿鼻叫喚、酒池肉林の大騒ぎだったのですが、その喧騒の中でビガーさんがピッチ外にでたところに、フィジーのベンチ選手2人が駆け寄り、握手し、肩を抱いて敵のゲームメーカーを労っていたのです。
こういうシーンを、ぜひちびっ子、そしてラグビーに詳しくない方々に見てほしいですね。
それにしても、ビガーさん。オーストラリア戦では、味方防御があまりにもあっけなく抜かれてしまったためオーストラリアの巨漢CTBケレビさんと、鉢合わせのように激突されてKO。そして今回も味方との激突で退場と、なんだか痛めつけられっぱなし! 何かにとりつかれてるんかね。
くわばらくわばら。