2018年8月10日
「フェルメールの仮面」小林英樹
なにげなく借りてきた小説。
キーワードは、
模写
贋作
保存と公開
模写の優れた技術、それは同じ作品をもう1枚作り出すことができる。
で、その技術で、新しい作品を作ってしまうと、それは贋作と呼ばれる。
ばれなければ、新発見となる。
現代を生きるユウイチロウ、優れた模写技術を習得し、
これから画家としてどうするか悩んでいる。
フランス革命直後を生きるアンリ、ドラクロワの時代、
画家としてはぱっとしない。お金を得るため、贋作の道にはまっていく。
アンリがフェルメール風に描いた作品は、今、
ワシントン・ナショナル・ギャラリーに
『赤い帽子の女』
そして『フルートを持つ女』は伝フェルメールとして収蔵されている。
そしてもう1枚、描きかけのフェルメール。
これを、ユウイチロウが、完成させるということに。
ユウイチロウの師は言う。
ルーブルに収蔵されている『モナリザ』でさえ模写。
『レースを編む女』はユウイチロウの模写とすり替えられている。
誰も気づかない。
ずっと展示していけばそれは劣化し、また、傷つけられる危険に
常にさらされている。
そう言うならば、「修復」というものでも、それはもう、
オリジナルの画家が描いたもの、肉筆でない、新しい絵の具。
構成だけが、画家のオリジナル?
すぐれたものは、そのように更新され、受け継がれていくべきなのか?
わからんね。
で、ユウイチロウの描いた『室内の女』は、ワシントンにある2枚の
フェルメールと同じ板に描かれている。
つまり、これが真作と認定されれば、
ほかのあやしげな『フルートを持つ女』も、
真作となるというからくり。
もうすぐ、日本に、フェルメール8枚が展示される。
8/35だという。35枚のうちの8枚。
その中に、問題の1枚がありますね。
『赤い帽子の女』
物語中では、アンリの同胞、愛した画家グザビエとの合作とされ、
右利きと左利きのタッチが混在すると書かれてますが・・・
これは事実?フィクション?
ヒロミのいままで出会ったフェルメールおさらい。
1 2005 日本 窓辺で手紙を読む女(ドレスデン)
2 2008 日本 マルタとマリアの家のキリスト(エジンバラ)
3 2008 日本 ディアナとニンフたち(マウリッツハイス)
4 2008 日本 小路(アムステルダム)
5 2008 日本 ワイングラスを持つ娘(アントン・ウルリッヒ)
6 2008 日本 リュートを調弦する女(メトロポリタン)
7 2008 日本 ヴァージナルの前に座る若い女(個人)
8 2008 日本 手紙を書く女と召使い(アイルランド)
9 2009 ロンドン ヴァージナルの前に立つ女(ナショナル)
10 2009 ロンドン ヴァージナルの前に座る女(ナショナル)
11 2010 ウィーン 絵画芸術(ウィーン)
12 2011 ミュンヘン 天秤を持つ女(ワシントン)
8 2011 日本 手紙を書く女と召使い(アイルランド)
13 2011 日本 青衣の女(アムステルダム)
14 2011 日本 手紙を書く女(ワシントン)
15 2012 日本 真珠の耳飾りの少女(マウリッツハイス)
3 2012 日本 ディアナとニンフたち(マウリッツハイス)
16 2013 アムステルダム 牛乳を注ぐ女(アムステルダム)
13 2013 アムステルダム 手紙を読む青衣の女(アムステルダム)
4 2013 アムステルダム 小路(アムステルダム)
17 2013 アムステルダム 恋文(アムステルダム)
18 2013 ハーグ デルフトの眺望(ハーグ)
3 2013 ハーグ ディアナとニンフたち(ハーグ)
19 2015 日本 天文学者(ルーブル)
20 2016 日本 水差しを持つ女(メトロポリタン)
なんとなく、混乱してるけど、20作品でいいのかな?
ワイングラス(ベルリン)
赤い帽子の娘(ワシントン)・・女ではないのね・・・
真珠の首飾りの女(ベルリン)
以上3点はヒロミにとって初ですか?
最近のわたしは、作品だけでなく、作者や生誕地や背景を追いかけている。
作品が素晴らしければ、あとはどうでもいいとも言えるけど。
それについてくるいろんなものも、あわせて考えれば、もっと興味深い。
フェルメールは、作品が少ないがゆえに、
ついてくるものがすごく多い。
こういう小説、オマージュといえば聞こえはいいが、贋作も?
メーヘレンの作品も展示してもらいたいものですね。
予約制ですか。いつが空いていますか?