法隆寺 五重塔の話。
少し知識のある人向け。
奈良県にある法隆寺は、1300年前に聖徳太子が建立したとされ、金堂・五重塔のある西院伽藍は世界最古の木造建築とされます。
特に五重塔は、頭身の幅程もある深い軒の出と、「雲斗」「雲肘木」と言われる独自の様式が見どころとされます。
少なくとも、観光ガイドはそう言うはずです。
下の写真でも、塔身から迫り出した雲肘木で力肘木・尾垂木を支え、軒を大きく迫り出させる架構が見て取れます。
しかし、この塔の特徴は、力肘木と通し肘木で組まれる内部架構にあります。
この力肘木は塔の対面側まで貫通して「井」の字状に側柱〜四天柱の柱頭を繋ぐ他、その交差部から隅柱頭にも架かり、尾垂木を支持します。
通し肘木は力肘木上に「ロ」の字状に組まれ、側柱筋で上下三列3列、塔身内部では上下2列に架けられます。
これらの組合わせにより、塔身内部では「田」の字型にも似た立体的な井桁架構が組まれます。
雲斗や雲肘木と併せて、構造が外観にストレートに現れている事こそ、法隆寺五重塔の意匠的な特徴と言えます。
また部材径の大きさも注目すべきで、30年後に建てられた薬師寺三重塔では、各部材が細分化されて複雑な組物になっているのが分かります。
対して法隆寺五重塔は、一つ一つの部材に大径長尺材を惜しげもなく使っています。
こうした贅沢な木取りは、法隆寺西院伽藍を最後に見られなくなります。



