バイク屋さんはなぜ儲からないのか

バイク屋さんはなぜ儲からないのか

元?現?オートバイ屋さんが熱く語ります。やってられません、ほかのことやって儲けますよ、もう。

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今、手元にヒットエアーのMotorradがある。
Motorradがどのようなモデルなのかというと、
全体のイメージは一般的なモーターサイクル用ナイロンハーフコートと大きくは違わない。


肩と肘、そして脊髄にはパッドが入り、着用すると逆三角形になりマッチョに見える。
ややぽちゃでもね。


それもこれも、ライディングポジションに合わせた立体裁断のおかげで、
実際にバイクに乗ってもどこかが突っ張ることもないし、
ジャケット全体であっと驚く重量なのだけれども、着てしまえばそれもあまり気にならない。


右胸に搭載されているキーボックスのゴツさやパッドによって、
ちょっとした鎧をまとっている感は拭えないが。


このキーボックスがなにかというと、
エアーバッグを膨らませる最重要装置で、ここに炭酸ガスボンベを装着する。
そして、あっと驚く重量の主犯はこいつでもある。


ちなみに、MotorradのLサイズ手元計測では、2kgを超えていて、
クリーニング屋さんの針金ハンガーにかけてぶら下げてみたら、
程なくハンガーがやる気をなくし、変形してジャケットが落ちてしまった。


しかし、しかしだ、それだけ重たいジャケットではあっても、
前述した通りの立体裁断で、バイクに乗っている分には至って快適である。


重たさを感じさせない理由は、前述の立体裁断が重要であることは言うまでもないが、
地味に重要なのが、しっかりした縫製である。


縫製が甘ければ、衣類はその形を維持出来ず、型くずれし、
本来の姿を留めておくことはできない。


デフレ衣類の着心地の悪さは、型も悪いが縫製も悪いことが原因なのである。
型が崩れなければ、姿勢も乱れ難くなり、自ずと疲労感も少なくなる。
無限電光(の社長さん)は、度重なる問題を尽きることの無い情熱と、
技術者としての工夫で見事に解決し、遂にヒットエアーの開発に成功した。
それは文字通り身を削る苦労の後に得られた成功だった。
そして世の中に存在をアピールするべく、とある見本市に出展した。


見本市は終了してしばらく、とあるモーターサイクル量販店からコンタクトがあった。
その量販店では、車両を購入してくれた客へ、
ヒットエアー(この当時はおそらくエッグパーカ)の購入権を特典にしたいから
独占契約を結びたいという。


無限電光のバランスシートは、この時点で火の車などという状況ではない。
大口契約は喉から手が出るほどの好条件。
しかし、そもそもヒットエアー開発の動機とは、
一人でも多くのライダーから事故後のリスクを軽減させたいというもの。


残念ながら独占契約では目的から遠ざかってしまう。
無限電光は、理念を貫き、契約を断った。


倒産寸前だった無限電光を救ったのは、日本ではなく海外だった。
ヨーロッパのとある国(失念)の警察に採用されたのである。


と、時間軸がこの辺りでとあるテレビ番組に紹介されたのだと思うのだが、
その直後からしばらく圧倒的な品薄になり、入手困難な時期が長いこと続いた。


それからも複数の国の警察に採用が決まり、
遂に日本の白バイ隊員の一部ではあるが、着用されることとなった!


様々な幸運も有ったのだろうけれど、ここに至まで諦めずに貫いた信念には敬服する。







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ヒットエアーのエアーバッグは再利用可能である。
けれど自動車のエアーバッグは使い捨て。
その差はどこにあるのか、そしてその差こそ、
ヒットエアーの開発が極めて困難だった理由でもある。


まず、なぜ自動車のエアーバッグは、
一度展開してしまうと再利用不可能で使い捨てなのかというと、
火薬の爆発による熱や衝撃で諸々のダメージが発生するからである。


火薬の一瞬の爆発力は、大容量の気室を満たすのにはとても魅力であるし
、交通事故は万に一つの出来事なのだから、使い捨てでもさほど問題にもならない。
そもそも、エアーバッグが作動するほどの衝撃を受ければ、
車両本体の再生も諦めなければならない可能性も少なくないだろうから。


けれど、身体の近くで爆発させるには、あまりにもリスクが高すぎる。
それに、軽微な転倒などでうっかり風船が膨らんでしまう可能性もあるのなら、
使い捨てというのは案配が悪い。


そしてそれが無限電工を苦しませることにもなった。
そもそも、ヒットエアーのエアーバッグは複雑な形状をしている。
それを瞬間(市販されているヒットエアーで0.5秒らしい)で展開させなければならない。


どうやって?
どうにかして。


結局、そのどうにかする部分に時間と金をつぎ込んで、会社の資金は底を突き、
のっぴきならぬ状況にまで追い込まれることとなったのだけれど、


しかし、バイク乗りの死亡リスクを少しでも少なくしたい、
という開発者(無限電光の社長さん)の情熱がヒットエアーを完成に導いたのである。